君の隣に僕が生きてる

咲良綾

【最終回】エピソード12.未来へ(脚本)

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咲良綾

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〇総合病院
福成シアン「おかあさん!」
小牧穂多美「節奈おばちゃん、退院おめでとう」
芳田節奈「ありがとう」
  マゼンタの遺したサンプルは、
  シアンの欠陥修復治療だけでなく、
  節奈おばちゃんの治療にも効果を発揮した。
  シアンは福成教授の養子になった。
  複雑と思われた各種手続きには、役所勤めの時夫さんが一役買ってくれた。
福成章介「節奈、足元に気をつけて」
  福成教授と節奈おばちゃんは結婚する。
  節奈おばちゃんは戸籍上も正式に、
  シアンのおかあさんになる。
福成シアン「おかあさん。 今日から、一緒の家に帰るんだよね」
芳田節奈「そうよ。よろしくね、シアン」
芳田節奈「穂多美、引っ越しの手続き、 全部任せてしまってごめんね」
小牧穂多美「大丈夫!お父さんが手伝ってくれたから」
  わたしは実家に戻った。
  小牧さん・・・お父さんは、
  頼るとめちゃくちゃ張り切ってくれる。
芳田節奈「通学遠くなって大変じゃない?」
小牧穂多美「ううん。バイク通学、楽しいよ」
福成シアン「ほたの妹に会ったよ。 すっごく可愛かったよ」
芳田節奈「私も日乃香ちゃんに早く会いたいな」
小牧穂多美「退院祝いと結婚祝い、 みんなで盛大にやるからね!」

〇空
  マゼンタ、見てる?
  この明るい未来は、あなたが作ったんだよ。
  正しく生きられたわけじゃない。
  みんなが間違えた。
  でも諦めなかった。
  だから、繋がった。
  あなたのこと、忘れないよ。
  あなたが燃やした命、守りたかったもの。
  わたしも、大切にするから。

〇センター街
小牧日乃香「シアンお兄ちゃん、まだかな」
小牧穂多美「日乃香はシアンのことほんとに好きね」
小牧日乃香「うん! シアンお兄ちゃんは日乃香の推しなんだ」
小牧穂多美「推し・・・ファンってこと?」
小牧日乃香「まあそうだけど・・・あっ、来た!」
福成シアン「お待たせ」
小牧穂多美「!?!?!?!?」
小牧日乃香「シアンお兄ちゃん、可愛い・・・!」
福成シアン「ありがとう。 好きな人とお出かけするからおしゃれにしたいって言ったら、店員さんが選んでくれたんだ」
小牧穂多美「店 員 さ ん ・・・ ! 間違えてる、間違えてる! いや、似合ってるけど!」
福成シアン「え、変だった?」
小牧日乃香「変じゃないよ!! 可愛い!! お姉ちゃんのお嫁さんにぴったり!!」
小牧穂多美「え、一体何を言ってるの、日乃香・・・」
福成シアン「ほたのお嫁さん? 僕、ほたと結婚するの?」
  があぁあーっ!
  可愛いけど、可愛いけどぉ!
黒川鎖衣「おいシアン、なんて格好してんだよ」
福成シアン「ええとね、清純ぽいけどセクシーで小悪魔で 男はイチコロなんだって」
黒川鎖衣「男をイチコロにしてどうするんだよ・・・」
久我山時夫「あぁ・・・思い出すなぁ。 一瞬で終わった初恋の思い出・・・」
福成シアン「初恋?そういえば前に聞いたことあるよ。 鎖衣を女の子と間違えたんだよね」
久我山時夫「そうなんだよ・・・ こいつ顔だけは美少女だったから・・・」
黒川鎖衣「なんだよそれ!初耳だぞ!」
福成シアン「でも、女の子じゃないといけないの?」
久我山時夫「いけないの!これは俺の宗教なの! いくら顔が好みでも男の時点で萎え萎えなの!」
久我山時夫「まあそこは人それぞれだから、 シアンは男の子を好きになってもいいんだぞ」
福成シアン「僕は、ほたが好きだよ」
久我山時夫「くっ、ブレねぇな、お前・・・ 相変わらずピュアが眩しいぜ」
小牧日乃香「鎖衣さん、時夫さん、こんにちは」
黒川鎖衣「こんにちは」
久我山時夫「はー、今日も日乃香ちゃんは天使だね~」
久我山時夫「よし!日乃香ちゃん、イケメンと遊ぼうぜ!」
小牧日乃香「うん!」
久我山時夫「そこで鎖衣の手を取るのはどうしてかな・・・」
小牧日乃香「? イケメンって、鎖衣さんのことでしょ?」
久我山時夫「天使、容赦ねぇ・・・」
小牧穂多美「シアン、また背が伸びたんじゃない?」
福成シアン「うん、すぐ鎖衣みたいになるよ。 そしたら結婚できる?」
小牧穂多美「いや・・・まあ・・・ 法律的には、18歳になれば」
小牧穂多美「でもシアンは、まだ世間を知らないでしょう。 もっと広く世界のことを知ってからの方がいいと思うよ」
福成シアン「うん。勉強頑張る。 教えてもらってばかりにならないように、 僕は僕でちゃんと頑張る」
福成シアン「僕はほたの後ろじゃなくて、横にいたいから」
  左手に、シアンの右手が滑り込んできた。
  あたたかい。
福成シアン「そういえば、時夫が言ってたんだけどね。 僕が寝てる間に、ほたがファーストキス奪ったって、ほんと?」
小牧穂多美「・・・・・・は?」
  まさかあの、薬を飲ませたときの?
小牧穂多美「いやいやいやいや、いや、あれは、 ノーカウントでしょ!」
福成シアン「してもいいけど、 そういうのは起きてるときにして」
小牧穂多美「いやいやいやいや!そういうんじゃなくて! そういうつもりじゃなくて!」
小牧穂多美「もーーーー、時夫さんのバカーーーーっ!!」
久我山時夫「はーい!呼ばれて飛び出て時夫さんだよーっ!」
小牧穂多美「蹴らせろーーー!!」
久我山時夫「ぐほぁ!!」
久我山時夫「穂多美ちゃん、甘え方が刺激的・・・」
小牧日乃香「みんな、早く行こうよー!」
小牧日乃香「時夫さん、鎖衣さんと二人で 日乃香をブランコして!」
久我山時夫「はいはい、喜んで!」
小牧日乃香「わーい!」

〇遊園地の広場
小牧日乃香「時夫さん!ポップコーンのワゴンがあるよ!」
久我山時夫「はいはーい、君のお財布、時夫さんだよ! 日乃香ちゃん、何味がいい?」
黒川鎖衣「時夫のやつ、ゲロ甘だな・・・」
小牧穂多美「将来自分の娘とかできたらどうなっちゃうんでしょうね、あの人」
小牧穂多美「鎖衣さんは新しい職場、どうですか?」
黒川鎖衣「ああ、だいぶ慣れてきたかな。 世間に隠れずに研究ができるのはありがたいよ」
小牧穂多美「時夫さんとは仲良くやってます?」
黒川鎖衣「まあな。ああ見えてだらしない奴ではないから、家事分担もうまく回ってるよ」
  あれから2年。鎖衣さんと福成教授はシアンの容態が完全に落ち着いてから、ヒトクローン研究に区切りをつけて職場を移った。
  研究所住まいだった鎖衣さんは、引っ越して
  時夫さんとルームシェアすることになった。
福成シアン「ほた、チケット買ってきたよ。何乗る?」
  シアンはフリースクールに通っている。
  学力は随分追いついてきたが、ピュアでほんわりした性格は相変わらずだ。
  わたしはこの春から大学生。
  遺伝子研究の分野に進む。
小牧穂多美「・・・ねえ、生まれ変わりってあると思う?」
黒川鎖衣「なんだ、突然」
小牧穂多美「もしマゼンタが生まれ変わるとしたら、絶対に鎖衣さんの娘なんだろうな・・・って思って」
黒川鎖衣「おいおい、結婚できるかどうかもわからないのに、娘って」
小牧穂多美「頑張れ~」
黒川鎖衣「全く・・・じゃあ穂多美が母親になるか?」
小牧穂多美「は?」
福成シアン「ダメだよ!ほたは僕と結婚するんだから!」
黒川鎖衣「とは、限らないのが人生だよ。 初恋なんて若い頃の病気みたいなものだからな」
福成シアン「鎖衣と一緒にしないでよ! ほたはグラビアアイドルじゃないもん!」
黒川鎖衣「お前、なんでそれっ・・・」
黒川鎖衣「時夫だな~っ!!」

〇空
  拓けた未来は、可能性に満ちている。
  間違えても諦めないで、
  隣にいる人と手を繋いで、
  わたしたちは明日を生きてゆく。
  ─ 完 ─

コメント

  • すっごく素敵なお話でしたっ!!!!!!✨ありがとうございます!!!!!!!✨みんなが生きてて本当に良かったですー!!!!!!!!✨( ;∀;)✨

    ほたが大人になる頃恋愛で一波乱ありそうですね💓

    シアンの意外な姿にびっくりしつつ・・・あれ?これはこれで・・・いけるやつかもしれない・・・なーんて考えてしまいましたねっ!!😘✨

    素敵なお話ありがとうございました!!✨

  • エンディングムービーまで観させて頂きました。良かった。みんな助かった…。

    しかしサンプルから出来た技術が凄そうで、実は世の中大変なシンギュラリティが起こってそうな雰囲気を感じました。多分人工臓器が可能になったということですよね。そこ広げてもって感じではありますが地味におおって思いました。

    歌も曲も良かったです。
    そして素敵な物語ありがとうございました。

  • やっとラストまで読むことが出来ました。
    (でも、ちゃんとお話しは頭に入っていました。)
    途中まで、これはシアンが哀しい最期で終わり、ホタミがトキオとくっついて終わる作品なのかと思っていましたが、まさか、まさかの誰一人置いていかない大円団でしたね😂
    とくに教授と節奈さんがくっついてシアンが養子(?)になったのには驚きました。
    新たな三角…四角関係も楽しそうで、素敵な作品でした。

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