魔道士は虹色の夢を見る

星月 光

第3章 彼を知り己を知れば(脚本)

魔道士は虹色の夢を見る

星月 光

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〇西洋の街並み
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット(少し言い過ぎただろうか)
シグバート・フォン・ブラッドショット(だが・・・ オレの言ったことは間違っていない)
ミモザ・クラリティ「それでヴィオラ様ったら・・・」
ノエル・エンジェライト「なるほど それは興味深いですね」
ミモザ・クラリティ「あ、シグバート様・・・ 迎えに来てくださったのですか?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「あ、ああ・・・」
ノエル・エンジェライト「買い出しと宿の手配はすませました」
シグバート・フォン・ブラッドショット「そうか ご苦労だったな」
ミモザ・クラリティ「・・・シグバート様 ヴィオラ様はご一緒ではないのですか?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・・・・」

〇黒背景
ヴィオラ・コーディエ「・・・・・・」
???「やりましたね兄貴!」
???「ああ これで俺たちは一生遊んで暮らせるぞ」
ヴィオラ・コーディエ「・・・うっ・・・」
???「あ、お目覚めみたいですよ」
ヴィオラ・コーディエ「・・・!」

〇荒れた小屋
ヴィオラ・コーディエ「・・・ここは!?」
???「やっとお目覚めかい」
ヴィオラ・コーディエ(縛られてて動けない! それに、剣がない!?)
ヴィオラ・コーディエ「雷精クロッカスよ、わが叫びを聞け!」
ヴィオラ・コーディエ「・・・・・・」
ヴィオラ・コーディエ「あれっ?」
ヴィオラ・コーディエ「雷精よ! わが叫びを聞け!」
ヴィオラ・コーディエ「・・・ま、魔法が使えない!?」
???「その縄は闇商人から求めた特別なやつでな 魔力を封じる効果があるんだ」
???「大枚はたいた甲斐がありましたね、兄貴!」
ヴィオラ・コーディエ「あたしをどうする気だ!?」
???「・・・おい ほんとにこいつで間違いないんだろうな」
???「お姫様にしちゃあ、ちとアレじゃねえか?」
ヴィオラ・コーディエ(・・・お姫様? あたしを誰かと勘違いしてる?)
???「けど兄貴 王子と対等に話してるのはこの女だけでした」
???「この女はブラッドショットの王子の婚約者ですよ 間違いねえ!」
ヴィオラ・コーディエ「・・・はあ!?」

〇西洋の街並み
ノエル・エンジェライト「・・・なるほど そんなことがあったのですか」
ノエル・エンジェライト「シグバートさん 貴方の発言および行動は不適切であると言わざるを得ません」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ「シグバート様、ひどいです! わたし、ヴィオラ様をお迎えに行ってきます!」
シグバート・フォン・ブラッドショット「待て、ミモザ! ひとりでは・・・」
ノエル・エンジェライト「シグバートさん ミモザさんを追いましょう」
シグバート・フォン・ブラッドショット「あ、ああ・・・」

〇荒れた小屋
ヴィオラ・コーディエ(こいつら、あたしとミモザを間違えたのか!?)
???「大事な婚約者をひとりにするなんて、男の風上にも置けねえ王子様だな」
ヴィオラ・コーディエ(そりゃ、婚約者じゃないし)
???「従者どもも勝手にどっか行っちまうし 人望ないんですかね?」
ヴィオラ・コーディエ(従者? ・・・ミモザとノエル?)
ヴィオラ・コーディエ(そりゃ、従者じゃないし)
???「ブラッドショットから身代金をがっぽりいただくぜ」
盗賊「盗賊人生20年 ようやく苦労が報われるってもんよ」
盗賊「やりましたね兄貴ぃ」
ヴィオラ・コーディエ「・・・・・・」
ヴィオラ・コーディエ(くそっ、縄が緩まない!)
盗賊「ところで兄貴 請求はスペサルトにしたほうがいいんじゃないですか?」
盗賊「王子の婚約者は庶子だという噂ですぜ」
盗賊「しょし?」
盗賊「妾の子ってことです」
盗賊「スペサルト王は自分の後継者である王女様を嫁に出したくなくて、追放した庶子を引き取ったそうですよ」
盗賊「ブラッドショット側からすれば、庶子が消えたなら代わりに王女を寄越せってなるだけですが・・・」
盗賊「てめえの後継者を嫁に出したくないスペサルト王は、救出のために動かざるを得ない、か」
盗賊「よし こいつを連れてスペサルトまで行くぞ」
盗賊「王都スペサルタイト行きのポータルはプレナイトの北西でしたっけ」
盗賊「バカやろう なんのために食費を切り詰めてまで携帯ポータルを買ったと思ってんだ」
盗賊「ポータルの魔力充填が終わり次第スペサルタイトへ行くぞ 奴らに嗅ぎつけられる前にな」
ヴィオラ・コーディエ(まずい!)
ヴィオラ・コーディエ(時間を稼いで、拘束を解かなきゃ!)

〇西洋の街並み
ミモザ・クラリティ「ヴィオラ様ー!」
ノエル・エンジェライト「ミモザさん ヴィオラさんはいましたか」
ミモザ・クラリティ「それがどこにも・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・妙だな この辺りで別れたはずなんだが」
シグバート・フォン・ブラッドショット「なんだ? なにかが光っているな」
ミモザ・クラリティ「これは・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「学園の徽章だな」
ノエル・エンジェライト「ええ ・・・ぼくたちは全員身につけているようですね」
ミモザ・クラリティ「では、これはヴィオラ様の・・・?」
ノエル・エンジェライト「その可能性が高いですね」
シグバート・フォン・ブラッドショット「まさか・・・ 仮面の戦士、か?」
ミモザ・クラリティ「え?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「研究員に聞いたんだ 近頃、仮面を被った戦士が魔道士を狙っている、と」
ミモザ・クラリティ「では、ヴィオラ様は・・・!」
ノエル・エンジェライト「まだそうと決まったわけではありません 周辺を捜索しましょう」
ミモザ・クラリティ「わたし、目撃者がいないか探してみます!」
シグバート・フォン・ブラッドショット「待てミモザ 今の話を聞いていたか? 単独行動は・・・」
ミモザ・クラリティ「ですが・・・ ヴィオラ様をおひとりにしたのはシグバート様ではありませんか!」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・!」
ノエル・エンジェライト「ミモザさん 責任の所在を問うのは後にしてください まずはヴィオラさんを探しましょう」
ミモザ・クラリティ「は、はい・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「まずは周囲の聞き込みをしよう」
シグバート・フォン・ブラッドショット「誹りを甘んじて受けるのは・・・その後だ」
ミモザ・クラリティ「ヴィオラ様、どうかご無事で・・・」

〇荒れた小屋
ヴィオラ・コーディエ(まだ縄は解けない・・・!)
盗賊「98、99・・・100! 魔力の充填は完了だ」
盗賊「んじゃ行きましょう!」
ヴィオラ・コーディエ「・・・・・・」
ヴィオラ・コーディエ「おまえたち、待ちなさい!」
「!?」
ヴィオラ・コーディエ「ブラッドショットとスペサルトの婚姻連帯を妨害する危険性を理解した上でわたしを拐かすのですか?」
盗賊「な、なんだ?」
盗賊「急にしゃべり方が変わりましたね」
ヴィオラ・コーディエ(これ、ミモザじゃなくてレオナだな)
ヴィオラ・コーディエ(まいっか)
ヴィオラ・コーディエ「質問に答えなさい 理解しているのかと訊いているのです」
盗賊「いや・・・」
ヴィオラ・コーディエ「世界を構成する7つの精霊の名を言ってみなさい」
盗賊「えーと 火のアザレ、風のスペア・・・光のストロー」
盗賊「土のヴァニラ、雷のクロッカス、氷のヨット、闇のシャドウ・・・ですね」
ヴィオラ・コーディエ「・・・その通り」
ヴィオラ・コーディエ(よく知ってたな あたしだってシグバートに叩き込まれる前は、雷精以外うろ覚えだったのに)
ヴィオラ・コーディエ「精霊から魔力を授かった7人の人間はそれぞれ国を興しました 今の7王国と呼ばれるものです」
ヴィオラ・コーディエ「つまり王家の血が濃い人間ほど魔力量が大きいのです」
ヴィオラ・コーディエ(学園長やノエルみたいな例外もいるけど)
盗賊「なにが言いてえ?」
ヴィオラ・コーディエ「王家は力の均衡を保たねばならない どこかの国に偏れば戦争の火種になりかねませんから」
盗賊「均衡を保つために結婚するってことか?」
ヴィオラ・コーディエ「ええ 今回のことがプレーンやカーネリアに知られれば侵略戦争が始まるかもしれません」
ヴィオラ・コーディエ(って前にミモザとシグバートが言ってたんだよな)
盗賊「・・・って んな御託はどうでもいいんだよ!」
ヴィオラ・コーディエ「うわっ!?」
盗賊「戦争になる? だからどうした」
盗賊「世間知らずのお姫様に教えてやるよ おれらは平和なんか望んじゃいねえ」
ヴィオラ・コーディエ「本気なのか!? 戦争になって魔法が飛び交えば、世界は!」
ヴィオラ・コーディエ「女神が再び現れる前に滅びる! 魔道士たちがしてきたことも全部無駄になる!」
ヴィオラ・コーディエ「学園長があたしたちに託した夢も・・・!」
盗賊「おれらの知ったことじゃねえな」
盗賊「戦争になれば略奪強奪し放題ってな」
ヴィオラ・コーディエ「けど・・・」
盗賊「兄貴 やかましいから気絶させときましょうよ」
盗賊「おう」
ヴィオラ・コーディエ「っ・・・!」
盗賊「さあ、ポータルを発動・・・」
盗賊「ぐあっ!?」
盗賊「兄貴!?」
盗賊「な、なんだてめえ!?」
盗賊「ぐっ! あ、あに、き・・・」
???「・・・・・・」

〇西洋の街並み
???「光精よ この者に癒やしを」
???「風精よ 我が身に天駆ける力を」
ヴィオラ・コーディエ「・・・・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・ヴィオラ!?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「おい、しっかりしろ!」
ヴィオラ・コーディエ「う、うう・・・ん」
ヴィオラ・コーディエ「・・・シグバート!? ここ、プレナイトか?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「生きていたか ・・・よかった」
ヴィオラ・コーディエ「えっと・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「行くぞ ミモザとノエルも心配している」
ヴィオラ・コーディエ「う、うん・・・」

〇西洋の市場
ミモザ・クラリティ「ヴィオラ様!」
ヴィオラ・コーディエ「ごめん 心配かけたね」
ミモザ・クラリティ「いいえ ご無事で本当によかった」
ヴィオラ・コーディエ「ノエルも、ごめん」
ノエル・エンジェライト「いえ それよりヴィオラさん 貴方を誘拐した人物は・・・」
ミモザ・クラリティ「ノエル様!」
ノエル・エンジェライト「・・・そうでした その話は後にしましょう」
ミモザ・クラリティ「シグバート様、ヴィオラ様 わたしたちは先に宿へ行ってますね」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・ヴィオラ」
ヴィオラ・コーディエ「・・・なに?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「先ほどはすまなかった」
シグバート・フォン・ブラッドショット「オレは間違ったことを言ったつもりはない」
シグバート・フォン・ブラッドショット「だが、もう少し言葉を選ぶべきだった」
ヴィオラ・コーディエ「ううん あたしも・・・ごめん」
ヴィオラ・コーディエ「シグバートの言うとおりだ あたしは感情で突っ走りがちだし、みんなほど魔力もない」
ヴィオラ・コーディエ「魔力はどうにもできないけど 自分の行動に気をつけることはできる そうだよな?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ああ オレも己の言動を省みなければな」
ヴィオラ・コーディエ「・・・あたしさ みんなは魔物を見たことがないかもって思ってた」
ヴィオラ・コーディエ「だからあたしがなんとかしないとって思ったんだけど・・・」
ヴィオラ・コーディエ「あの様子だと、みんな魔物と戦ったことがあるんだな」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ミモザは魔物の討伐で日銭を稼いでいたことがあるからな」
ヴィオラ・コーディエ「えっ!?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「オレも昔、デアネイ・・・ミモザの妹に連れられた先で魔物と相対したことがある」
ヴィオラ・コーディエ「そうなんだ・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「さ、そろそろ宿へ行くぞ」
ヴィオラ・コーディエ「うん ・・・あ、シグバート」
ヴィオラ・コーディエ「ありがと 助けに来てくれて」

次のエピソード:第4章 予兆

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