ニキビファイター狩屋くん

石塚環

市民の美肌を守って19年。我こそは!ニキビファイター!(脚本)

ニキビファイター狩屋くん

石塚環

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〇並木道
佐藤 麻希(はー、治んないなあ・・・)
「あ、いた。麻希さーん!」
佐藤 麻希「狩屋くん!」
狩屋 悠一「やっと見つけた。麻希さん。きみのほっぺた、ニキビが・・・」
佐藤 麻希「ニ、ニキビじゃないから!」
狩屋 悠一「ニキビなんだろ。オーラでわかる」
佐藤 麻希(オーラ?)
狩屋 悠一「僕が助けよう!変身!」
佐藤 麻希「か、狩屋くんが・・・!?」
佐藤 麻希「ハワイアンになってる!?」
狩屋 悠一「活動に予算を使うから、変身コスチュームが腰みのしか用意できない」
狩屋 悠一「僕はマイナーなヒーローだから、安月給なんだ」
佐藤 麻希(ヒーローにも、格差があるのかあ・・・)
佐藤 麻希「腰みのだけって、変身する意味ある・・・?」
狩屋 悠一「動きやすいからこれでいい。・・・ヒーロースーツには憧れるけど」
佐藤 麻希「寒そうで見ていられない・・・」
佐藤 麻希「そうだ!これ巻いてよ!」
狩屋 悠一「ありがとう、麻希さん!」
狩屋 悠一「・・・って、しまった。名乗るのが遅れた」
佐藤 麻希「知ってるよ。同じ大学の狩屋くんでしょ?」
狩屋 悠一「狩屋とは仮の姿!」
狩屋 悠一「市民の美肌を守って19年。生まれたときからみんなの味方!」
狩屋 悠一「我こそはあぁぁ!!」
佐藤 麻希「え、太陽が!?」
狩屋 悠一「ニキビファイターーーー!!」
  狩屋くんがポーズを取った瞬間、太陽が真上にあがり、彼を照らした。
狩屋 悠一「・・・ふ、決まった!」
狩屋 悠一「太陽さん。いつもありがとうございますー」
太陽「がんばれよー、ニキビファイター」
狩屋 悠一「はい、太陽さんもお疲れ様ですー」
佐藤 麻希「なんで、太陽と会話できるの!?」
狩屋 悠一「ヒーローは、陽の光を利用して登場するのがセオリーだからね。会話くらい簡単だよ」
狩屋 悠一「さあ、麻希さん。絆創膏を外すんだ。きみのニキビを見せてごらん」
佐藤 麻希「いや!大学生にもなって、ニキビができるなんて恥ずかしい・・・」
狩屋 悠一「恥ずかしくないぞ、ニキビは!」
狩屋 悠一「僕は毎日、いろんなニキビを見ているからわかる。大人ニキビなんてよくあることだ」
狩屋 悠一「ひとつできたからって落ち込んだり、自分がいやになったりするなら、完全に悪影響だ!」
狩屋 悠一「さあ、絆創膏を外してくれ」
佐藤 麻希「うん・・・」
狩屋 悠一「これは!もしかして、指でつぶしたのか?」
佐藤 麻希「だって、早く治したいから・・・」
狩屋 悠一「つぶしたら、全然治らないよ。ほら、聞こえないか?」
佐藤 麻希「え?」
ニキビ?「ひどいよー、まきちゃん。ぼくたちをつぶさないでー」
ニキビ?「ぶしゃってしないでー」
ニキビ?「ぼくたちをやさしくいたわってー」
佐藤 麻希「なに私のニキビにアテレコしてんのよ!?狩屋くん!」
  私がつっこみをしようとしたら、狩屋くんはバク転して逃げた。
狩屋 悠一「僕にはわかるんだ。嫌われ者のニキビたちの気持ちが」
狩屋 悠一「こんなに重症になったら仕方ない!応急処置をするぞ、麻希さん!」
佐藤 麻希「お、応急処置ってなにを・・・?」
狩屋 悠一「目を閉じてくれ」
佐藤 麻希「え?」
狩屋 悠一「僕にしかできないことだ。こんなところでするのは致し方ないが・・・」
狩屋 悠一「すぐに終わるから、さあ、目をぎゅっと!」
佐藤 麻希「いやいやいや、なにする気!?」
ニキビ(狩屋)「ああ、ぼくたち、はやくらくになりたいよー」
佐藤 麻希「だからアテレコするな!」
狩屋 悠一「さあ、麻希さん。ニキビもこう言ってることだし!」
佐藤 麻希「ああー、もう!」
佐藤 麻希(ほっぺたにやわらかいものが・・・。まさか、キス?)
佐藤 麻希「うそ!?ニキビがなくなってる!?きれいさっぱり!!」
狩屋 悠一「い、痛い・・・」
佐藤 麻希「狩屋くん!?」
  狩屋くんがほっぺたをさすっている。手を離すと・・・。
狩屋 悠一「ニキビチェンジキッスが成功したようだな。これで、麻希さんのニキビが僕に移った」
佐藤 麻希「どうして!?どうして、こんなことを!」
佐藤 麻希「ニキビなんて毎日洗顔すれば治るんでしょ!?なんで、わざわざ自分の肌を汚すの・・・?」
狩屋 悠一「それはね、麻希さん。僕はきみのことが・・・」
狩屋 悠一「いや、ゴホンゴホン!マフラーのお礼だよ。じゃあね、麻希さん!」
佐藤 麻希「待って、狩屋くん」
佐藤 麻希「予備、持ってるの」
佐藤 麻希「ニキビいじらないように、貼ってあげる」
狩屋 悠一「ありがとう、麻希さん!それではさらばだ!」
狩屋 悠一「太陽さーん。退場するんでお願いしまーす」
太陽「よしきた」

〇並木道
佐藤 麻希(お昼なのに、一瞬で夕暮れに変わっちゃった)
  狩屋くん・・・いや、ニキビファイターは夕日に向かって走って行った。

〇テラス席
麻希の友人「麻希、最近、綺麗になったね!なんかやってるの?」
佐藤 麻希「美肌活動!」
佐藤 麻希「ちゃんと洗顔して、睡眠と運動!食事も変えたの!」
麻希の友人「へえ、詳しく教えて!」
佐藤 麻希「顔は優しく洗うの。肌をこすっちゃダメ。あとね・・・」
佐藤 麻希(私が美肌になれたのは、狩屋くんのおかげだ)
麻希の友人「いろいろ教えてくれてありがとう、麻希。じゃあ、またね」
佐藤 麻希「うん、またね」
佐藤 麻希(・・・狩屋くん、どうしてるかなあ)
「ニキビファイターのご協力、ありがとうございます」
佐藤 麻希「あ、狩屋くん!協力って?」
狩屋 悠一「言っただろ?僕はみんなの美肌を守るのが使命なんだ」
狩屋 悠一「僕のニキビ治ったよ。絆創膏、ありがとう」
狩屋 悠一「・・・僕、麻希さんをずっと見ていたんだ。肌が綺麗になったから、ますます魅力的になったね」
佐藤 麻希「まさか、狩屋くん。私のこと・・・」
狩屋 悠一「うん。僕は麻希さんが・・・」
佐藤 麻希(ああ、人生はじめての告白・・・!)
狩屋 悠一「・・・あ」
狩屋 悠一「話の続きをしよう。麻希さん。僕はきみのことが・・・」
佐藤 麻希「ちょっと。告白するのに、なんで変身したの?」
狩屋 悠一「僕は、誰かのニキビオーラに気づくと、つい変身してしまうんだ。・・・すまない」
佐藤 麻希「じゃあ、先にニキビ問題を解決しなさいよ」
佐藤 麻希「私への告白は、あとでじっくり聞くから」
狩屋 悠一「ありがとう、麻希さん!では、また会おう!」
佐藤 麻希「またねー!」
狩屋 悠一「やっぱり、僕の好きな人は最高だな!」
佐藤 麻希「え、いま『好き』って言った?」
狩屋 悠一「おっと、うっかり愛がこぼれてしまったよ。ふははは!」
佐藤 麻希(狩屋くん、いまでもマフラー使ってるんだ)
  狩屋くんが走り出すと、太陽が真上にあがる。
佐藤 麻希(狩屋くん、キラキラしてる)
佐藤 麻希(狩屋くん。あなたは、私の・・・いえ、みんなのヒーローだよ)

コメント

  • 太陽、腰みの、狩野くんのイメージが頭から離れなくなりそうです!彼女が潰したニキビ達の言葉を理解できるなんて、まさにニキビファイターの鏡だと思います。

  • ニキビ気になりますよね。
    気になるけど、さわってはいけないやっかいなものです。
    ニキビファイターって発想がおもしろかったです!
    太陽まで味方にしてるあたりすごいな、と!

  • ニキビができて陰鬱になった昔のことを思い出してしまいますね。あの時に仮屋くんと出会えてたらと思います。笑顔と美肌を生み出す彼は偉大です!

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