エピソード33(脚本)
〇洋館の一室
ロク「うーん・・・・・・なるほど」
僕はついつい唸ってしまう。当てが外れた。
魔法を使わずに、火を起こす方法が過去にあったのなら、それを使用した可能性があると思ったけど、間違っていた。
レストルア「ロクは、被害者は殺された可能性が高い、と思っているんですか?」
レストルアの問いに、僕は頷いて返す。
ジョマ「でも方法は無いんですよね、だったら事故じゃないですか」
少し投げやりな感じで、ジョマが言った。それも一理ある。
ロク「そうなんだけど、万が一殺されてたら、犯人を野放しにすることになるから」
僕の言葉に、レストルアもジョマも、押し黙った。
ロク「・・・・・・事故なのか」
僕のつぶやきに、レストルアが反応する。
レストルア「何か、殺人かもしれないと思わせる物が、あるんですか?」
はっきりとあるとは言えない。でも。
ロク「強いて言うなら、タイミングかな」
ジョマ「タイミングって、何かありましたっけ?」
疑問に首を傾げながら、問いかけてくるジョマ。僕は頷いて答えた。
ロク「ネリアル氏が、最年少で教授になったこのタイミングで、だよ」
何か思い当たる事があったらしくジョマが「あぁ、そういえば」と頷く。
自分で嫉妬がどうのと、けしかけたんだから忘れる訳はない。
ジョマ「確かにですねぇ」
唸りつつ、ジョマが言った。そこにレストルアが、申し訳なさそうに声をあげる。
レストルア「すみません、教えていただいてもいいでしょうか?」
ロク「あっ、ごめん、ハウンドに報告してないね」
協力は望めないと思っていたから、後回しにしていた。
レストルア「ハウンドに対しての報告義務はありませんので、気する必要はありません・・・・・・ただ」
少し赤くなって、レストルアが言葉を続ける。
レストルア「私個人としては、ロクの力になりたいと、考えています」
ジョマ「けっ、発情犬が」
ジョマが毒づいて言葉を吐く。発情って、何を言っているんだろう。手伝ってくれようとしているんじゃないか。
正義の心からくる言葉を、そんな風に言ってはいけない。
僕はジョマの頭を軽くはたいてから、レストルアに返事をする。
ロク「ありがとう、嬉しいよ」
レストルア「・・・・・・いえ」
僕はとりあえず、聞き込みによって得た情報を、レストルアに話して聞かせた。
途中、ジョマと同じような疑問を感じた様なので、それも、しっかり答えておく。
レストルア「なるほど・・・・・・話を聞くと、確かにタイミングからして・・・・・・無いとは言い切れませんね」
深く頷いて、レストルアが言う。それを見てジョマも口を開く。
ジョマ「私も、嫉妬でやらかした人がいる気がしますね・・・・・・勘ですけど」
概ね三人の意見は一致した。やっぱり怪しい。