5話:世界の異常は止まらない【1】(脚本)
〇学校の廊下
栗木田 真衣「ひっさはね!すっごい面白いんだよ~!」
1年生「えっと、くりちは、その子のこと好きなんじゃないの?」
栗木田 真衣「好きだよ!友達として!」
1年生「あ~そういうやつね~」
1年生「わ、わかった。それじゃぁ、またね~」
1年生「でたよ、友達」
1年生「意味わかんなくね?」
1年生「友達、友達、って男あさってる噂」
1年生「本当だったね」
愛田 星乃「大丈夫? 栗木田さんと話していたみたいだけど」
愛田 星乃「あの子、あんまり良い噂きかないから、ちょっと心配しちゃった」
1年生「愛ちゃん! 心配してくれてありがとう~」
1年生「男あさってる噂、本当だったね、って話してたんだ~」
「ね~♪」
〇住宅街の道
威流 楓「ダンス部の見学に来るかと思ったのに」
威流 緋雨「嘘だろ」
威流 楓「楽しく踊った仲じゃん~♪」
威流 緋雨「どこが!?」
威流 楓「で、どっか見学した?」
威流 緋雨「・・・バスケ部」
威流 緋雨「友達に誘われたから」
威流 楓「へ~」
威流 楓「女バスには可愛い1年生が入るらしいね」
威流 緋雨「・・・」
威流 緋雨「そうみたいだな」
威流 楓「目は口ほどに物を言う」
威流 楓「ただ500年も流れていたわけじゃないよ」
〇男の子の一人部屋
威流 緋雨「田中よし子を確認してきた」
威流 楓「どうだった?」
威流 緋雨「俺の勘違いだった」
威流 緋雨「あんたが言う3人目を教えてくれ」
ー1年A組 栗木田真衣ー
威流 楓「緋雨と同じクラスの子だよ。 接触してない?」
威流 緋雨「してない」
威流 緋雨「できるだけ早く確認する」
威流 楓「よろしく頼むよ」
威流 緋雨(やっぱり栗木田だったか・・・)
威流 緋雨(3人目だと分かってる以上、早く儀式をして、家族を生き返らせないといけないが・・・)
怖いのか?
威流 緋雨(失敗すれば死ぬもんな)
威流 緋雨(いや。犠牲は覚悟の上だ。 あいつに言いたくないのは、)
威流 緋雨(そうだな。まだ信用ないからだ。 不真面目で、飄々として、信用に値しない)
威流 緋雨(よしっ。アレを試す価値はある。 俺だけでも確実に見極めなければ)
〇魔法陣のある研究室
ー4月・入学式前日ー
医師「吾妻緋色様、お目にかかれて光栄でございます」
威流 緋雨「威流緋雨です」
医師「教会からお話ありましたか」
威流 緋雨「はい。 この後、手配された家へ行きます」
医師「私とは威流様の御体についてお話しできればと思います」
医師「託身から半年経ちますが、御体の具合はいかがでしょうか?」
威流 緋雨「ぶどうの香りや味に敏感になりました」
医師「日常生活にも特殊体質が現れていると。 それによる弊害はどうですか?」
威流 緋雨「今のところ大丈夫です」
医師「かしこまりました。 報告書より、キリスト再臨に関係する人物から、葡萄の香りがすると伺っております」
医師「では、こちらをどうぞ」
医師「これは紅茶です。 飲んでみてください」
威流 緋雨「なんだこれは!?」
医師「では、こちらを」
威流 緋雨「俺は未成年だ」
医師「舐めるぐらいです。 料理にも使われていますから」
威流 緋雨「・・・」
威流 緋雨「さっきの紅茶と同じ味がする!?」
医師「これがワイン。葡萄酒の味です」
医師「先ほど”紅茶”と称した物は、一人目の御方の、」
医師「血です」
医師「どうやら威流様は、血液からでも、キリスト再臨に関係する人物がお分かりになられるようです」
医師「こちらもどうぞ」
医師「確信に変えていただく為、どうぞその目でご覧ください」
医師「私の血です。 舐めてみてください」
威流 緋雨「・・・」
威流 緋雨「血の味がする」
医師「キリスト再臨に関係のない人物の血は、変わらずということですね」
医師「この事柄が威流様の御力になれば幸いです」
〇おしゃれなリビングダイニング
ー7月・夏休み最後の登校日ー
威流 緋雨「いただきます」
威流 楓「おはよう~」
威流 楓「ちょっと、ちょっと、 そんな急いで食べなくても・・・」
威流 緋雨「あ、朝練に遅れるんだ」
威流 緋雨「先に行く」
威流 楓「朝練には遅すぎるでしょ」
威流 楓「もっと面白い嘘ついてよね」
〇スーパーの店内
リポーター「こちらのスーパーでもですね。 現在も、ボジョレーヌーボーが、入ってきていないようです」
リポーター「売り上げにも影響出ているのでしょうか?」
店員「えぇ。お客様は毎年楽しみにしておられますので、その分、売り上げにも影響が出ています」
リポーター「生ハムやサラミ等の輸入食品も、未だ店頭に並んでいないようですね?」
店員「そうですね」
店員「しかし、日本産が注目を浴びるようになり、新しい商品が代替として並んでいます」
リポーター「日本産が注目を浴びるのは喜ばしいことですね。 それではスタジオにお返しします」
〇おしゃれなリビングダイニング
威流 楓「へ~。 前にもこんな事あった気がする」
威流 楓「歴史はほんと、繰り返すんだね」
〇教室
─朝・HR前─
栗木田 真衣「よっちゃん~♪ お誕生日おめでとう!!」
田中 よしこ「おおー! くりちよく覚えてたね~!」
栗木田 真衣「忘れるわけないっしょ!」
栗木田 真衣「そんでこれよ!」
栗木田 真衣「なめこちゃん♪」
田中 よしこ「くりち~! あんたはほんまにええ子やな~!」
栗木田 真衣「よっちゃん好きって言ってたもんね!」
田中 よしこ「あとで食す!」
栗木田 真衣「おう!たべてな~♪」
岸野 俊介「お、田中さんは今日誕生日か~」
栗木田 真衣「うん。きっしーはいつなの?」
岸野 俊介「お、俺は、」
岸野 俊介「しがつふつか」
栗木田 真衣「あちゃ~入学してすぐのやつか~」
栗木田 真衣「私も夏休みど真ん中だから。 はっぴーばーすでーされないやつ~」
岸野 俊介「じゃぁさ! 夏休みに栗ちゃんのハッピーバースデーしようよ!」
栗木田 真衣「え!?いいの!?」
岸野 俊介「もちろん!もちろん! それじゃぁ、ふた」
栗木田 真衣「そしたら皆で遊びに行こうよ!」
栗木田 真衣「よっちゃんと、ひっさも!」
栗木田 真衣「ねぇ~ひっさ~」
威流 緋雨「いや、俺は」
岸野 俊介「だめだ。ひっさも参加決定だ」
岸野 俊介「皆で遊び行った方が楽しいもんな!」
栗木田 真衣「でも、ひっさは」
岸野 俊介「だいじょぶ!だいじょぶ! そんな事言ってもコイツ楽しみにしてるから!」
威流 緋雨「わかった」
威流 緋雨「いつにするんだ?」
「いつにしよっか!?」
栗木田 真衣「私はいつでもいいよ~ 部活ない日であれば」
岸野 俊介「でも栗ちゃん、他にも友達と遊んだりとか」
栗木田 真衣「あ~! 臨時休業なんすよ~」
栗木田 真衣「今は君たちに大売出し!なんてね~♪」
〇住宅街の道
─帰り道─
岸野 俊介「ひ~今日も部活しんどかったー」
威流 緋雨「中学幽霊部員のわりには」
威流 緋雨「真面目に部活参加してるんだな」
岸野 俊介「そりゃぁな!」
岸野 俊介「栗ちゃんがいるんだから、かっこわるい事できねーだろ」
岸野 俊介「でも、今日、俺やっちまったよな~?」
岸野 俊介「栗ちゃんに嫌われてねーかな・・・」
威流 緋雨「心配する程でもないだろ。 ただ予定を聞いただけだ」
岸野 俊介「でもまさか、栗ちゃんが、ハブられているっていうか・・・」
威流 緋雨「まぁ、女子の事はよく分からんからな」
岸野 俊介「でも、ひっさが一緒に遊び来てくれるから良かったよ」
威流 緋雨「え、なんで?」
岸野 俊介「なんでって。 栗ちゃんを悲しませる事は、俺が許さん」
威流 緋雨「でもお前は、二人で行きたかったんじゃないのか?」
岸野 俊介「そ、それはそうだけど! 栗ちゃんが皆って言ってんだから、しょうがねーだろ」
威流 緋雨(こいつも大変だな)
威流 緋雨「日程決まったら連絡してくれ」
威流 緋雨「じゃ、また部活で」
岸野 俊介「おう!」
〇一軒家の玄関扉
???「吾妻緋色君、ちょっといいかな?」
威流 緋雨「どちら様ですか?」
???「君に話があるんだ。 御宅にお邪魔しても?」