週末カウンセラー はっちゃん

笑門亭来福

第四話(繋がってるぅ?)(脚本)

週末カウンセラー はっちゃん

笑門亭来福

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週末カウンセラー はっちゃん
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〇大教室
はっちゃん「待つことは、待たないことと見つけたり!」
はっちゃん「とは、言ったものの、」
はっちゃん「何か日常が変わる訳でもなく・・・」
はっちゃん「ん?」
はっちゃん「え?」
はっちゃん「鳥? いや、あれは!」
事務局「おはようございます」
学生1「ニワトリだけに」
学生2「朝が早くて」
学生3「結構、けっこう、コケッコー」
事務局「事務連絡です」
学生1「てかさあ、何でニワトリ?」
学生2「ハロウィンでもないしね」
学生3「コスプレ流行ってたっけ?」
事務局「頑寺居(がんじい)先生ですが」
事務局「本日付で退職されました」
「え!」
はっちゃん「えぇぇぇェ!?」
事務局「マインドフルネスBは」
事務局「当面、臨時休講です」
事務局「今後の対応は、ホームページにてお知らせします」
事務局「本日は、これにて解散!」

〇エレベーターの中
子供は風の子「こんにちは、風の子です」
子供は風の子「欲望を乗りこなし、また帰って来ると」
子供は風の子「宣言した頑じぃに、はっちゃんは」
子供は風の子「したためた手紙を渡せず」
子供は風の子「頑じぃの帰りを待つと、腹をくくり」
子供は風の子「爆走しつつ、叫びます」
子供は風の子「待つとは、これ即ち、待たないことォォォン」
子供は風の子「はっちゃん・・・」

〇まっすぐの廊下
  えーっと・・・ たしかこの辺よね?
  来ることないもんなぁ・・・
「総務課、そうむか、ソウムカ・・・っと」
はっちゃん「でも・・・何を話したらいいの?」
はっちゃん「練習しとかないと」
はっちゃん「あのぉ、マインドフルネスBの受講生なんですが」
はっちゃん「あらぁ、この度は・・・」
はっちゃん「は、はい、さっき聞いたばかりで」
はっちゃん「我々も今朝、聞いたばかりで」
はっちゃん「びっくりしました」
はっちゃん「本当に」
はっちゃん「・・・」
はっちゃん「・・・」
はっちゃん「で、そのぉ、退職理由とかは・・・」
はっちゃん「それがねぇ、何も言わないらしいの」
はっちゃん「一言も?」
はっちゃん「自己研鑽ですとしか・・・」
はっちゃん「先生と連絡をとりたいんですが・・・」
はっちゃん「電話は繋がらないし」
はっちゃん「先日送った郵便も、宛先不明で戻ってきたし」
はっちゃん「・・・」
はっちゃん「・・・」
はっちゃん「空想で行き詰まるって・・・」
学生1「出た!」
学生3「大きな声、何事?」
学生2「あ、あいつ、ムキー! そんで、ウキー!」
学生3「何か言ってるわ」
学生1「落語の稽古?」
学生2「とりあえず、私は逃げる」
学生3「ま、ほっときましょ」
学生1「あら、やだ、目があっちゃった」
  そそくさと、部室に入る
  そこは、サークル「落研」
はっちゃん「あ、あれは、スリーアミーゴす」
はっちゃん「頑ちゃんのこと、何か知ってるかも」
  古めかしい看板には「落研」とある
はっちゃん「へぇ、うちの大学にも落研あったんだ」
はっちゃん「お邪魔しまーす」
  邪魔するなら帰ってぇー
はっちゃん「はいよー・・・ って、なんでやねん」
はっちゃん「もう! とにかく入るんだから!」

〇古民家の居間
はっちゃん「へぇーっ!」
はっちゃん「和風ぅーっ」
はっちゃん「校内に畳の部屋があるなんて!」
学生1「まぁ、とにかく、座って」
はっちゃん「ありがとう」
学生2「まさか、討ち入りじゃないわよね」
はっちゃん「まさか・・・この前は、その、ごめんなさい」
学生2「まぁ、貸しってことで」
学生3「で? 何叫んでたの?」
はっちゃん「先生の連絡先を・・・総務課に聞く・・・練習を・・・」
学生1「落語の練習かと思ったわ」
はっちゃん「その・・・あなたたちなら・・・先生のこと、何か、知ってるかなって・・・」
学生2「残念だけど、さっきの事務連絡で知ったところ」
はっちゃん「・・・」
学生3「先生のことが心配なのね」
はっちゃん「・・・はい」
学生3「うちの客に、甲冑つけた人を見たっていうのが何人かいて・・・」
はっちゃん「え、それって!」
学生3「他にいないわよねー、甲冑の人なんて」
はっちゃん「どこで? どこで、見たんですか?」
学生3「それがねぇ、意外なんだけど・・・」
学生1「大学辞めて幼稚園とか、基本に戻って・・・」
学生3「いや、それが、どうも、ホストクラブらしい」
「えぇぇぇェェェェっっッ!!!」
「そっち?」
学生1「客と話しとか、できなさそぉー」
学生2「まぁ、見ては見たいけど・・・」
はっちゃん「どこ? どこですか? どこのホストクラブ?」
学生3「気にはなってたのよねぇ」
学生3「行っちゃうー?」
「🎶 行っちゃうー」
はっちゃん「・・・その、何を話したらいいか・・・」
学生1「練習しとくぅ? さっきみたいに」
学生2「男は土俵! 女は度胸!」
はっちゃん「なんとかなるか・・・」
はっちゃん「なんとかしなくちゃ!」
「落合名言集ぅー!!」
「ヒントをもらっても実行しないと、成果は上がらない」
「YES 落合 博●」
はっちゃん「呪文?」
「落合研究会の合言葉」
「今日の落合語録は・・・レッツゴー!!」
はっちゃん「落研って・・・まさかの」
  ドドドドドドドドドォォォォ・・・

〇カジノ
はっちゃん「来ちゃった・・・」
学生1「OH ゴージャスっ!!」
学生2「うーん、♪ 逆ハーレムの香」
学生3「ホストクラブっていうか、カジノじゃない?」
はっちゃん「とにかく! ぶっつけ本番!」
「OH! 鼻息・嵐ネー」
店員「いらっしゃいませ」
店員「当店は初めてですか?」
店員「それでは、システムの説明を・・・」
「ここも、コスプレかぃっ!?」
店員「それでは、皆様の担当を紹介します」
店員「HEY ドリー カモン!」
事務局「いらっしゃいませ」
「あぁぁーっ」
はっちゃん「事務連絡ぅーっ!?」
事務局「はぃ、細かいことは気にしない」
事務局「皆様、ラッキーですよ」
事務局「きょうはイベントの日」
事務局「本日のテーマは「戦国」」
事務局「武将のダンス、後に、握手会となってます」
事務局「戦国さん カモン!」
頑じぃ「・・・」
頑じぃ「武士道とは何か」
頑じぃ「己を見つめ」
「己を知り」
「己を律する」
  冴え渡る鼓の音
  響き渡る笛の音
「・・・」
頑じぃ「・・・」
事務局「はいっ! 次、握手会ですっ!」
事務局「順番です、並んで下さ〜い」
「ここしかない」
はっちゃん「落合語録!「かごめかごめ」」
「なぜ、それを!」
はっちゃん「行くわよ!」
  一斉に頑じぃを取り囲み、唄いだす
  囲みを少しづつ、小さくしながら
「か〜ご〜め〜、か〜ご〜め〜」
はっちゃん「か〜ご、の、な〜かの、と〜り〜は〜」
事務局「と〜り〜は〜!」
「い〜つ〜、い〜つ〜、で〜や〜る〜」
はっちゃん「よ〜あ〜け〜の〜、ば〜ん〜に〜」
「つ〜ると、か〜めが、す〜べった〜」
はっちゃん「後ろの正面、だ〜れっ?」
頑じぃ「!」
  背後からのハグ、そして
はっちゃん「すきっ!」
事務局「・・・」
事務局「お客様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

〇カジノ
  ドドドドドドドドドドドドドドドドド
  あ、逃亡
事務局「本日は、これにて解散っ!」
  いいのか、頑ちゃん、これで!

〇古民家の居間
はっちゃん「はぁーっ・・・」
「はぁーっ・・・」
学生1「まさか、逃げるとはねぇ」
学生2「急に抱きつくからじゃないの?」
学生3「囲んで、背後からのスキ〜って、超速攻ぉー」
はっちゃん「反省は・・・してます」
はっちゃん「でも・・・逃げなくても」
学生1「それなー」
学生2「逃げ恥・・・なのかな」
学生3「手がかりが・・・切れたわね」
はっちゃん「あのぉ・・・」
「なに? どした?」
はっちゃん「お客さんって、何ですか?」
「?」
はっちゃん「先生の噂、お客さんから聞いたって」
学生3「あー、あれはね」
学生1「この人、お店やってんのよ」
学生2「スタンドバー「アミーゴ」」
学生3「オンラインバーなんだけどねー」
学生1「この人がママで」
学生3「この人がチーママ」
学生2「この人は「太るがママ」」
学生1「・・・」
はっちゃん「オンラインバーって、お酒とかどうすんの?」
学生3「あー、家飲みの人がサイトに繋がる感じよ」
学生1「私は最初客だったの」
学生2「私も・・・落研に入る前に」
はっちゃん「お金払って家飲みすんですかー!?」
学生1「お客も色々で、寂しいからとか・・・」
学生2「話しができない日が続いたでしょ」
学生3「人って、確認しないと不安みたいなのね」
はっちゃん「何を? 何を確認するの?」
学生3「生きてるってことを」
学生1「そうね、自分で何万回叫んでも、あてになんないっていうか」
学生2「他人様に言われて、初めて安心するみたいなとこ、あるよねー」
学生3「人間の本能みたいな面もあるしね」
学生1「群れから離れると危険だっていう、太古の遺伝子があるのかしらねー」
学生2「あぁ、もちろん、さっさと持ち帰っちゃう奴もいるけど」
はっちゃん「そんなもんなのー?」
「そんなもんなのよー」
学生3「で? どう?」
「いっしょにやってみないー?」
はっちゃん「やってみるぅーっ!」

〇エレベーターの中
子供は風の子「こんにちは、風の子です」
子供は風の子「はっちゃんが、チーママデビュー!」
子供は風の子「スリーアミーゴす、とも仲良くなっちゃう」
子供は風の子「な訳で、お客さんからもすぐに大人気」
子供は風の子「オンラインの母、じゃなくて、姫として行列出来ちゃって」
子供は風の子「まさに夢の国」
子供は風の子「それはそうと、頑じぃは、どうなったか」
子供は風の子「見届けてやってね」
美井(びい)さん「・・・」
子供は風の子「あ、覚えている人いるのかな? 第一話の美井(びい)さんです」
子供は風の子「こらえきれなくて、出て来ちゃった」
子供は風の子「もう少しの辛抱だよ・・・」
子供は風の子「次回予告「逃げ恥」」
子供は風の子「お楽しみに〜」

次のエピソード:第三話(再会前夜1)

コメント

  • 私もはっちゃんのように、空想の中で行き詰まってしまうことがあります。自分が二人いても、話は進まない。やはり、人間は他人からの承認によって、自分の存在を確立する。太古より刻まれし人間の本能が、「群れなせい!」と叫ぶ。はっちゃんよ、オンラインで群れなせい!群れを作って、姫になれい!

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