週末カウンセラー はっちゃん

笑門亭来福

第三話(再会前夜1)(脚本)

週末カウンセラー はっちゃん

笑門亭来福

今すぐ読む

週末カウンセラー はっちゃん
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇観覧車の乗り場
はっちゃん「何だったんだろう・・・」
はっちゃん「これって、別れ、なのかなぁ・・・」
観覧車係の人「お嬢ちゃん、まだ、たくさんチケット残っとるよ」
はっちゃん「あ、はい、乗ります」
観覧車係の人「気をつけて」

〇空
はっちゃん「はぁー・・・頑ちゃん・・・はっちゃん」
はっちゃん「って、名前で呼びあって」
はっちゃん「私がパン?」
はっちゃん「バターになりたいよおー」
はっちゃん「なんちゃって」
はっちゃん「警策(きょうさく)で、気絶するまで連打して・・・」
はっちゃん「血を舐めあって・・・」
はっちゃん「一心同体で・・・保健体育で・・・」
はっちゃん「1日30時間以上、思い出して・・・」
はっちゃん「今日は、これ、完全にデートやん」
はっちゃん「はぁーっ、依依恋恋(いいれんれん)だよーんっと」
はっちゃん「もうね、どっちがパンで」
はっちゃん「どっちがバターかわからんわ!」
はっちゃん「いや、二人とも、バターのような日々でした」

〇街の全景
はっちゃん「時間が、ハサミで切り取られたような・・・」
はっちゃん「また、戻ってくるって、長旅に出たんかい」
はっちゃん「矛盾しとるやないかい!」
はっちゃん「不器用なんかなぁー」
はっちゃん「人は皆、日に何度も、鬼になり、仏になる」
はっちゃん「よしっ、決めた!」
はっちゃん「手紙を書こう」
はっちゃん「あの時みたいに「君の口から聞いてみたい」って、キャー、バンバン」

〇観覧車の乗り場
観覧車係の人「ちょっと、お嬢ちゃん!」
観覧車係の人「まだ、5周分も乗れるぞー」
観覧車係の人「おーぃ、あんたら、猪突猛進やなぁ」

〇大教室
  一週間後
はっちゃん「あ、う、うん」
はっちゃん「テ、テス、テス、yo yo yoyo」
はっちゃん「なんだか、恥ずかしいなー」
はっちゃん「あの時は、すっと、迷いなくできたんだけどなぁ」
はっちゃん「頑ちゃんへ」
はっちゃん「お元気ですか」
はっちゃん「いやだ、もう涙が出てきちゃった」
はっちゃん「早くない 私?」
はっちゃん「あなたが突然、観覧車からダッシュして」
はっちゃん「一週間が経ちます」
はっちゃん「何度思い返しても、事情が理解できずにいます」
はっちゃん「私は忘れ去られ、放置された」
はっちゃん「バターの欠けたパン」
はっちゃん「あの日、私の朗読で感極まったあなたを」
はっちゃん「私は警策(きょうさく)で、何度も打った」
はっちゃん「誰もいない静かな教室」
はっちゃん「響きわたる警策の音と」
はっちゃん「あなたの「もう一度」という声」
はっちゃん「そして失神」
はっちゃん「血だらけのあなたを抱え」
はっちゃん「血を舐めると、あなたは目を覚まし」
はっちゃん「私の口の周りの血を、そっと」
はっちゃん「舐めとってくれました」
はっちゃん「気持ちが抑えられず」
はっちゃん「新しい血も流れました」
はっちゃん「それからは、もう、一日100時間でも足りないくらい」
はっちゃん「あなたが頭の中で分裂し、増殖し」
はっちゃん「あぁ、二人ともバターの日々が・・・」
はっちゃん「突然ハサミで切り落とされたような不条理」
はっちゃん「何がどうなったのか」
はっちゃん「あなたの頭の中を開いてみたい」
はっちゃん「情けがあるなら、分からせて!」
はっちゃん「あなたの気持ちを!!」

〇幻想空間
  はっちゃんは、手紙を握りしめ
  勢いよくリヤカーで疾走します
  リヤカー???
  中古のリヤカーを改造した
  はっちゃんの移動式パン屋さん
はっちゃん「黒い薔薇には、黒いハート」
はっちゃん「白い薔薇には白いハート」

〇見晴らしのいい公園
  さすがに息が切れたので
  一休み
  鳥が鳴いている
  普通に癒される、この景色
  観覧車から見た青い空・・・
はっちゃん「さて、開店、開店っと」
  ♪ 黒い薔薇には、黒いハート
  ♫ 白い薔薇には、白いハート
  🎶 パンだyo
  ♬ パンがあるyo
  バターがお似合い、ロールパン
  バターが乗ってるメロンパン
  バターが染みるぜショック(食)パン
  横で警策の素振りに余念がない? はっちゃん
  遠くに二人組
  カップル?
  ん? あの金属が触れ合う音は!
頑じぃ「・・・」
「・・・」
「吾輩が頑じぃである」
  隣りで腕を組んでいるのは
  スリーアミーゴす2 !
学生2「お腹空いちゃった」
学生2「あー、パン屋さん、絶妙ォ」
  何故隠れるの、私?
学生2「ねぇ、地味だけど、美味しそう」
学生2「どれにする?」
学生2「ねぇ、この長いパンさぁ」
学生2「二人で反対の端から食べ始めたら」
学生2「んー、もう、どうなっちゃうの」
学生2「ど、ど、ど、どーなっちゃうの?」
学生2「うふふ、すみませーんっ」
学生2「この、バターがしたたるフランスパン」
学生2「おねがーぃ」
はっちゃん「へーい、ちょいとお待ちを」
学生2「ねぇ、お持ち帰っちゃう? いっしょに」

〇炎
  数え唄が響く
「ひとーつ、人には欲がある」
  警策を構える、はっちゃん
「ふたーつ、再び欲がでる」
  警策を振りかぶる、はっちゃん
「みっつ、みつかる欲がある」
  警策を振り下ろす、はっちゃん
はっちゃん「天誅だわさ」
はっちゃん「いやさ、寸止めでござるよ」
学生2「何すんのよ、もう」
  小走りに去る

〇見晴らしのいい公園
はっちゃん「どうして急に、いなくなるの?」
頑じぃ「・・・」
はっちゃん「どこに行くの?」
頑じぃ「・・・」
はっちゃん「何を犠牲にして」
はっちゃん「何をつかもうとしてるの?」
頑じぃ「絶対、欲望に負けない」
頑じぃ「小学校3年の頃」
頑じぃ「母は毎日のように」
頑じぃ「新しい友達を家に連れてきては」
頑じぃ「僕に千円札を握らせ」
頑じぃ「外で時間を潰してこいと言った」
頑じぃ「帰りが早すぎると、怒鳴られ、叩かれた」
頑じぃ「新しいお友達には、目つきが悪いと、足蹴にされた」
頑じぃ「毎日、怯えるように、夜遅く家に忍びこんだ」
頑じぃ「その血が僕には流れている」
頑じぃ「絶対に欲望に負けたくない」
頑じぃ「己を律するんだ」
頑じぃ「それから何十年と、座禅を組み、瞑想し」
頑じぃ「呼吸を整え、己を見つめ、昂ぶりを抑えた」
頑じぃ「でも、君と出会って、僕は変わった」
頑じぃ「自分で自分を止められない」
頑じぃ「何十年の修行を、一瞬で吹き飛ばす」
頑じぃ「そんな欲望を知り、乗りこなし」
頑じぃ「また、帰って来る」
  頑じぃが、再び去る
  遠くで、スリーアミーゴす2が
  頑じぃと腕を組む
はっちゃん「・・・」
はっちゃん「聞いた話と、目の前の事実が」
はっちゃん「ぐっちゃんぐっちゃんになって」
はっちゃん「どうすりゃいいのさ、このわたし」
はっちゃん「もう泣くなわたし」

〇雷
  はっちゃんは
  持っていた、頑じぃへの手紙を
  丸めて咥え、噛み砕く
  全速力でリヤカーを引き
  逆走で爆走する
  仏から鬼へ変身し、叫ぶ
はっちゃん「ただの甲冑プレイボーイ野郎じゃねーか」
  噛み砕かれた手紙が、宙に舞う
「「待つ」って言うのはねぇ」
「この世で一番苦しいことなんだからぁぁぁぁ」

〇エレベーターの中
子供は風の子「こんにちは、風の子です」
子供は風の子「僕が初めてのひとぉーっ?」
子供は風の子「はい、だめーっ、第一話から欠かさず出てるからねっ」
子供は風の子「次回は美井(びい)さん、いよいよ登場できるかなぁ?」
子供は風の子「美井さん分からないの?」
子供は風の子「はい、振り出しに戻るーっ」
子供は風の子「もう、ちゃんと読みなよーっ」
子供は風の子「ところで、話が変わるんだけど」
子供は風の子「赤ちゃんって皆んな」
子供は風の子「🎶 「ラ」の音で泣くんだって!?」
子供は風の子「スタートは皆、同じなんだよね」
子供は風の子「どこで変わっちゃうんだろう・・・」
子供は風の子「次回予告「繋がってるーっ?」」
子供は風の子「次回も見てね、きっとだよー」

次のエピソード:第五話(逃げ恥)

コメント

  • 奇跡も魔法もあるんだよ!!

成分キーワード

ページTOPへ