異世界ベースボール ~フワッとしか知らなかったので、なんだかおかしなルールになりました~

アーム・ザ・コニー・ロト男

第一七話『マコ・オコ』(脚本)

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〇球場のベンチ
レヴィリック「・・・まさか、帝国に野球を知っている者がいたとはな」
レヴィリック「しかもマコと違って完璧に理解している」
マコ「どうしよう、レヴィリック?」
レヴィリック「・・・これに関しては今更どうこう言っても仕方ない。なんにしても今は目の前の問題をどうにかする必要がある」
ドロシー「盗塁問題ね」
レヴィリック「こちらもキャッチャー役を用意する必要がある」
レヴィリック「という訳で、マコ。お前がやれ」
マコ「えっ! 私!」
レヴィリック「正直、ウチのチームで余っているのは、お前しかいない」
マコ「いや、そうだけど! ドロシーの球なんて取れないよ!」
ドロシー「マコが受けたら、たぶん、はじけ飛ぶわね」
マコ「ほら!」
レヴィリック「別にドロシーの球を取る必要はない。 俺に考えがある」

〇中世の野球場
実況コカンダ「ハッピーズは得点を挙げられずに攻撃を終え、続く三回の表・帝国ドラゴンズの攻撃」
実況コカンダ「おっと、どうやら守備位置に変更があるようですが・・・・・・」
解説ヒルダ「マコ選手がキャッチャー壁の隣に立ちましたね。・・・なるほど、そういうことですか」
実況コカンダ「? と、いいますと?」
解説ヒルダ「ハッピーズはキャッチャーが必要だと判断したようですが、ドラゴンズのように球を取る必要はない」
解説ヒルダ「マコ選手の役割はキャッチャー壁に当たった球を即座に拾い、対応する、という役目なのでしょう」
実況コカンダ「なるほど。・・・しかし、これまで最終兵器として温存されていたマコ選手ですから、見事な立ち回りを期待したのですが」
実況コカンダ「これは少々、肩透かしという感じがしなくも・・・・・・」
解説ヒルダ「なんですか、鳥?」
実況コカンダ「い、いえ! なんでもありません!」
解説ヒルダ「・・・その判断は本当に正しいのですか、レヴィリック?」
実況コカンダ「ドラゴンズは打順が一巡し、打席に立つのは、オークキングのトシマサ選手に変わり一番に入った、ラファエル選手」
実況コカンダ「控え選手として登録されていましたが、帝国四天王の一人に数えられます」
実況コカンダ「ドロシー選手、第一球を投げた! 見事な変化球でまずはワンストライク。マコ選手が転がる球を拾い、ドロシー選手に投げる」

〇球場のベンチ
クルトガ「見事な山なりボールだな」
レオンハルト「ある程度予想はしていましたけど、どうやらマコさんは本当に野球についてほとんど何も知らない素人だったようですね」
クルトガ「その素人をキャッチャーに据えるか。 苦し紛れの策でどこまでやるのか楽しみだ」

〇中世の野球場
実況コカンダ「三回の表・ドロシー選手の奮闘で三者三振。しかしその裏の攻撃でもハッピーズは得点を挙げられず三者凡退」
実況コカンダ「四回の表・ここで出てくるのは、先ほど見事なホームランを見せたエンシェントドラゴンのユズハ選手」
実況コカンダ「バッターボックスに入るというか、聳(そび)えるユズハ選手に、ドロシー選手、大きく振りかぶって、投げた!」
  ブン、ピューン
実況コカンダ「またもや尻尾の強烈な一振り! 真っ直ぐな打球はラインオーバー! なんと二打席連続ホームラン! これで4対0!」
ドロシー「くそっ!」
実況コカンダ「これにはピッチャーが大きく項垂れる!」
マコ「・・・・・・ドロシー」
実況コカンダ「続く5番は、前打席でバントから盗塁を重ね、得点を挙げたレオンハルト選手」
実況コカンダ「ドロシー選手・第一球を投げた!」
ドロシー「!」
実況コカンダ「そして、レオンハルト選手、再びバントの構えだ!」
  こつん
実況コカンダ「綺麗に成功させ、ボールがその場に落ちる! しかし回転が弱いか、すぐ傍に立つマコ選手の目の前だ!」
実況コカンダ「レオンハルト選手、走る! マコ選手もボールを拾う・・・・・いや、その手が止まった! どうしたマコ選手!?」
マコ「・・・・・・」
解説ヒルダ(自分が拾って投げても一塁に届かないと躊躇している)
ヤマクモ「よこせ、小ぶりな者よ!」
マコ「! ヤマクモさん、パス!」
実況コカンダ「おっとここで、走ってきたヤマクモ選手に、マコ選手がボールを放るようにして投げ、空中で受け取ったヤマクモ選手が腕を振る!」
実況コカンダ「ドロシー選手顔負けの速球は、そのまま一塁へ! これはアウトだ!」
レヴィリック「よし!」
レオンハルト「やれやれ上手くやられてしまいましたか」
マコ「ありがとう、ヤマクモさん。助かったわ」
ヤマクモ「・・・気を付けろ、小ぶりな者。 貴様、狙われているぞ」
マコ「えっ?」
実況コカンダ「さあ、続く6番は賢者クルトガ。 魔法の杖を両手に打席に立ちます」
実況コカンダ「ドロシー選手、第一球を投げた!」
クルトガ「我が力を見よ」
  カキン
実況コカンダ「打ち上げた! これも大きい!」
解説ヒルダ「・・・・・あの球、何か変ですね」
パキマビ「ファガ!」
ファガ「任せろ! これなら取れる!」
実況コカンダ「さあ外野中央を守る鷹の獣人ファガ選手。背中の翼を羽ばたかせて、宙を舞う!」
ファガ「よし、捕った!」
  ビリビリビリ
ファガ「うががががっ!」
実況コカンダ「な、なんだ! ボールをキャッチしたファガ選手、空中で震えたと思ったら、そのまま頭から落下し始めたぞ!」
解説ヒルダ「! クルトガです! あの球を打ちあげた時に、電撃魔法を付与させたのです!」
実況コカンダ「そんなことができるんですか!」
解説ヒルダ「オリハルコン製の球の特性を利用した打球。ドロシーがやったのと同じ発想です。まさかバッターそれをやるとは」
実況コカンダ「ファガ選手が地面に落下するとともにボールも転がる! しかし左外野を守っていたパキマビ選手が急ぎ駆け付け、これを拾った!」
パキマビ「レヴィリックさん!」
実況コカンダ「クルトガ選手、二塁を回って三塁へ! これはメインベースも狙っているぞ!」
レヴィリック「くっ! しかたない! マコ!」
マコ「やっぱり、私!」
実況コカンダ「マコ選手、レヴィリック選手からの球をなんとかキャッチ、メインベースの前に立ち構える!」
クルトガ「どけ! 下手くそが!」
実況コカンダ「クルトガ選手、そのままマコ選手に突っ込ん・・・・・・」
  バキッ

〇黒

〇球場のベンチ
マコ「・・・・・・うーん」
ユニファ王女「・・・大丈夫ですか、マコさん?」
マコ「あれ? どうしてユニファが目の前に?」
ユニファ王女「マコさんに回復魔法を使う為に降りてきたんです」
マコ「というか寝てた私?」
ユニファ王女「ほんの少しの間だけです。先ほどクルトガさんとぶつかって、頭を地面に打ち付けて意識を失われたんです」
ユニファ王女「気分は悪くないですか?」
マコ「うん。ユニファのおかげでもう大丈夫。 ・・・それで試合はどうなった?」
ユニファ王女「先ほどの判定は、マコさんがボールを落したので、ドラゴンズの得点となりましたが、クルトガさんの行動で揉めています」

〇中世の野球場
ドロシー「アンタ、わざとやったでしょ!」
クルトガ「進路を妨害した神の御使いが悪い。 それにキャッチャーをやらせるなら防具を付けさせるのが基本だ」
ドロシー「訳の分からないことを言っているんじゃないわよ!」

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