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きせき

エピソード26-青色の刻-(脚本)

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〇配信部屋
明石青刻「少し話が逸れてしまったので、戻すと、」
明石青刻「貴方は現時点では東兄さんと彼の使用人さんを疑っていないということですね」
黒野すみれ「そう、なりますね」
明石青刻「・・・・・・では、現時点で疑っている人は誰になりますか?」
黒野すみれ「疑っている人・・・・・・」
明石青刻「えぇ、さっき、トキさんを何度も疑ってしまったと言ってましたね」
黒野すみれ「・・・・・・」
明石青刻「意味としては現在進行形で疑っている、」
明石青刻「もしくは現在は疑っていないが、場合によっては疑う人物の候補に入ってくる」
明石青刻「って感じでしょうか?」
黒野すみれ「そう・・・・・・ですね。そうであって欲しくはないですけど」
明石青刻「そうですね、僕も彼女が犯人だとは思いたくないですね」
明石青刻「じゃあ、玄人君はどうでしょう。彼に何度か、胡蝶庵で会ったのでは?」

〇古民家の居間
玄人「青刻様にここに黒野様がいるから貴方の手伝いをしてくるように、と」

〇屋敷の書斎
玄人「あ、すみません。仕事のメッセージが・・・・・・」

〇銀閣寺
玄人「こちらから入れますので、どうぞ」

〇広い厨房
玄人「青刻様から黒野様に飲みものを持っていくよう言われてまして」

〇露天風呂
玄人「(あ、黒野さんだ・・・・・・)黒・・・・・・」
黒野すみれ「えっ・・・・・・」
玄人「く、ろのさま?」
玄人「く、黒野様っ!!」

〇配信部屋
黒野すみれ「そうですね・・・・・・玄人さんも違うと思います」
明石青刻「それは何故?」
黒野すみれ「まず、彼が春刻を狙っても、貴方が当主を相続するには」

〇黒
黒野すみれ「朝刻さんも」
黒野すみれ「東刻さんもいる筈です」

〇配信部屋
黒野すみれ「仮に春刻、朝刻さん、東刻さんを次々、消す予定だったとしても、」
黒野すみれ「明石家の相次ぐ不審死ということで疑いは玄人さんや貴方に向きます」
黒野すみれ「また、あの朝刻さんや東刻さんが無策で命を狙わせてくれるとも思えないですし、」
黒野すみれ「夕梨花さんはさておき、南田さんを何とかできるのでしょうか」
黒野すみれ「それを掻い潜って玄人さんは彼らに近づく、少なくとも私には無理ですね」
明石青刻「成程。確かに、玄人君が彼を凌ぐ凄腕の暗殺者でもなければ難しそうですね」
黒野すみれ「それに、毒を手に入れたり、作ったり・・・・・・も」
黒野すみれ「できないのではないのでしょうか?」
明石青刻「そうでしょうね。僕も彼が毒を作ったりは無理だと思います」
明石青刻「あ、勿論、理系の大学出身ではなかったと思いますし、」
明石青刻「どこかの暗殺者の方みたいに、昔のつてなんかもないでしょうね」
明石青刻「では、僕はどうでしょう? 僕は実は、中学も高校も行っていないんです」
黒野すみれ「え・・・・・・」
  彼の真理が記されているだろう、封筒はなかった為、

〇貴族の部屋
  私は目の前の彼の情報は何1つ、持っていなかった。

〇配信部屋
黒野すみれ「中学も高校も?」
明石青刻「えぇ、もっと言えば、小学校もまともに行ってません」
明石青刻「大学・・・・・・は、大学にもあまり興味はなかったんですけど、」
明石青刻「この国はまだ出身校がどうのって言ってるような国なので、適当な大学に入りました」
  あ、勿論、自身で試験を受けて・・・・・・ですがと
  言う彼。
  相変わらず、表情は分かりにくくて、
  彼がどう思っているのか、いまいち伝わってこない。
明石青刻「そんな僕に、春刻君を亡き者にするなんてできるんでしょうか」
明石青刻「あと、朝兄さんと東兄さんも夕梨花さんと南田さんを何とかして?」
明石青刻「そんなことはとても可能とは僕には思えないのですが・・・・・・」
黒野すみれ「・・・・・・果たして、そうでしょうか」
黒野すみれ「貴方はさっき、「玄人君がいないと何もできない」って言ってました」
明石青刻「まぁ、正確に言えば、「玄人君がいないと何もできないんですよ」だった気がしますけど」
黒野すみれ「・・・・・・貴方は確かに、玄人さんの主人かも知れませんが、玄人さんではありません」
黒野すみれ「玄人さんに何かを命じることもできれば、他のお兄さん達にも会いやすいと思います」
  そう例えば、こんな感じに・・・・・・。

〇レンガ造りの家
明石青刻「やぁ、兄さん。良い天気ですね」
明石朝刻「ああ、青刻か」
明石青刻「すみません、今日はこれから東兄さんとお話しする予定があるかと思うのですが、」
明石青刻「その前に例の頼まれ事で2人で、ご相談したいことがあって・・・・・・」
明石朝刻「あぁ、構わないよ。夕梨花さん、悪いんだが・・・・・・」
夕梨花「はい、暫くは私を含め、他の方がお部屋の方へ近寄らぬようにいたします」
明石朝刻「ありがとう。助かるよ。じゃあ、行こうか、青刻」

〇漫画家の仕事部屋(物無し)
明石朝刻「成程。じゃあ、この件はこの通りにするということで・・・・・・」
明石青刻「えぇ、じゃあ、僕はこれで・・・・・・」
明石朝刻「あぁ、わざわざ来てもらってありがとう」
明石青刻「いえいえ、あ、兄さん。もう1つ、大事な用事を忘れてました」
明石朝刻「あぁ、あ・・・・・・」
明石青刻「(ごめんね。貴方には恨みはないんだけど、東兄さんにはあの人がついてるからさ)」
明石青刻「(あとは東兄さんかあの専属使用人さん辺りに疑いがかかれば上出来かな)」

〇配信部屋
明石青刻「成程。それなら、もしくは・・・・・・ありえるかも知れませんね」
明石青刻「機会があれば試してみましょうか。まぁ、もういなくなっている人がいるので、」
明石青刻「その通りの脚本だと上手く演じられないかも知れませんが・・・・・・」
黒野すみれ「・・・・・・」
  私は「試してみましょうか」という彼の言葉に
  ぞくっとする。
  いや、普通に考えれば、冗談なんだろうが、
  冗談と片づけるには底深い感じが彼からする。
  それこそ、当主の座なんて関係なく、
  ゲームの何かのように考えているような・・・・・・
  しかも、
  彼にはあのオルゴールが爆発した仕掛けを
  作ったという疑いもある。
  それに、
  彼は私が昨日を何度も繰り返しているのを知っている。
黒野すみれ「はっきり言って、今は貴方が1番、怪しいと疑わざるをえません」
明石青刻「そう、ですね。僕が春刻君や秋川さんでしたっけ? 彼を殺していたかも知れない」
明石青刻「貴方を殺しかけたように」
黒野すみれ「やっぱり、あのオルゴールは貴方が・・・・・・?」
明石青刻「ええ、サプライズ用のオルゴールだったんですが、火薬の比率を間違えてしまいましてね」
  そう言うと、彼は私が何度か見ていたオルゴールを
  デスクの1番下の棚から取り出した。
明石青刻「良いですか?」
  そう言いながら、彼はオルゴールを巻き始める。
  どうやら、台座の下部が回るようになっていて、
  像が回転しながら音楽が流れ出すという仕組みらしい。
明石青刻「音楽が暫く流れて、」
明石青刻「音楽が止まると・・・・・・」
黒野すみれ「音楽が止まると?」
明石青刻「・・・・・・」
黒野すみれ「・・・・・・」
明石青刻「蒼帝屋.comから税込45000円にて絶賛販売中・・・・・・」
明石青刻「ただ、ちょっと立て込んでる時に作ったのがあって」
明石青刻「破棄しようした際に悪魔のような手違いで、胡蝶庵に行ってしまったんですよ」
黒野すみれ「(本当にそんなこと、あるの・・・・・・か?)」
明石青刻「あ、本当にそんなこと、あるのか? って思ってます?」
明石青刻「まぁ、真相なんて得てしてそんなものですよ。特に、春刻君が憎かった訳でもない」
明石青刻「ましてや、明石家の当主なんて僕には無理な話なんです」
明石青刻「そもそも、僕の実母は明石刻世さんじゃないのだから」
黒野すみれ「刻世さんの子じゃ・・・・・・ない?」
明石青刻「あ、一応は刻世さんと、朝兄さんのお父さんとの間の子ってことになっているんです」
明石青刻「僕はもうこの世にはいない筈の人間・・・・・・なので」
黒野すみれ「この世に・・・・・・いない筈の人間?」
  俄には信じがたい話をまるで、口笛でも吹くように
  ひょろりひょろりと言ってのける彼は今度はデスクの
  1番上の棚を開く。
  そこには、『明石青刻について』と書かれた封筒があり、
  彼は私にその封筒を差し出した。
明石青刻「あとはそうだな・・・・・・これを見てもらえば、より信憑性が出るかも知れませんね」
  そう言うと、彼は左の足の靴下を脱いで、
  足の裏を見せてきた。
明石青刻「まぁ、腕とか手首とか分かりやすい場所じゃなくて良かったですね。お互い」
黒野すみれ「こ、れって・・・・・・?」
明石青刻「貴方にも多分、同じものがついている筈ですよ」
明石青刻「まぁ、数字は貴方の方が多いかも知れないですが・・・・・・」
  彼の足の裏・・・・・・
  そこには「5」という数字が浮かび上がっていた。
黒野すみれ「(痛々しそうには見えないけど、何だろう・・・・・・底の見えない感じがする)」
  しかも、彼は言った。

〇配信部屋
明石青刻「貴方にも多分、同じものがついている筈ですよ」

〇黒
黒野すみれ「(・・・・・・と)」

〇黒
明石青刻「僕もある意味、この時間ではない時間からやってきたんですよ」

次のエピソード:エピソード27-青色の刻-

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