異世界ベースボール ~フワッとしか知らなかったので、なんだかおかしなルールになりました~

アーム・ザ・コニー・ロト男

第一五話『聖国ハッピーズVS帝国ドラゴンズ』(脚本)

異世界ベースボール ~フワッとしか知らなかったので、なんだかおかしなルールになりました~

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〇中世の野球場
マコ「いよいよ、ザッハ帝国との試合が始まるね」
ドロシー「それで、レヴィリック。結局、レオンハルトたちの作戦は分かったの?」
レヴィリック「このひと月、あらゆる手段を使って調べたんだがガードが固くてな。残念だが分からなかった」
レヴィリック「正直、相手の手の内は読めていない。だがこの勝負、負けるわけにはいかない」
マコ「ねぇ、レヴィリック。この試合に勝つことができればこの世界は変わるんだよね?」
レヴィリック「変わる」
レヴィリック「平和を唱えるユニファ王女率いる我がユグド聖国が、騎士国と帝国という二つの巨大国を戦争以外の手段で退ける」
レヴィリック「これが紛れもない事実となれば、戦乱の世に一石を投じる事となり、確実にこの世界の風向きは変わる」
レヴィリック「だがそれを成し遂げるにはユニファ王女だけでは足らない」
レヴィリック「マコ、お前の存在も重要だ」
マコ「誰もが恐れ戦く神の御使いとして、でしょ」
レヴィリック「違う。ユニファ王女と共に平和の為に奔走する神の御使いマコとしてだ」
マコ「平和の、神の御使いとして?」
レヴィリック「お前が言うように、神の御使いのことを傍若無人な恐怖の存在と考える者はまだまだ沢山いる」
レヴィリック「だが、お前自身と接し、その考えを改めた者も多い。俺やドロシー、ここにいる面々のようにな」
マコ「みんな」
レヴィリック「この世界は変わる。今日がその第一歩だ」
マコ「・・・よし、やってやろう! ここまで来て勝たなきゃ嘘だもん!」
レヴィリック「その為に色々と準備もしてきた。 出し惜しみはナシだ。全力で行くぞ!」
ハッピーズ一同「おう!」

〇空
実況コカンダ「さあ、始まりました。世紀の一戦」
実況コカンダ「聖国ハッピーズVS帝国ドラゴンズ」

〇中世の野球場
実況コカンダ「その結末を見ようと、ここ、ウィルピッチ球場には、近隣諸国からも多くの観客が詰めかけております」

〇球場の観客席
実況コカンダ「実況はワタクシ、鳥人族の良い声でおなじみコカンダ。そして解説は・・・・・・」
解説ヒルダ「メイド長のヒルダです」

〇球場のベンチ
  帝国ドラゴンズのベンチ
クルトガ「改めて見ると向こうの守備位置は変わっているな。内野が五人に外野が五人か」
レオンハルト「そしてキャッチャーはいない」
クルトガ「今やこれがヤ・キュウのスタンダードか。知っているこちらとしてはヌけているようにしか見えんな」
レオンハルト「ハッピーズ一強の現状では仕方ないのかもしれません」
レオンハルト「ですが、いずれ誰かが気づくこと。 それが彼らにとって今日というだけの話です」

〇中世の野球場
実況コカンダ「帝国ドラゴンズの先頭バッターは、オークキングのトシマサ。その巨漢に似つかわしい棍棒を担いでの登場だ」
オークキングのトシマサ「ブッフォッフォ 訳(楽勝だぜ)」
  ちゅどーん!
実況コカンダ「ば、爆発した! トシマサの棍棒が球を捕らえた瞬間! 大爆発が起こった!」
解説ヒルダ「炎属性の球でしたからね。 棍棒どころか、豚も燃えていますね」
実況コカンダ「そして打ち上がった球は、マウンドに立つドロシー選手の頭上。そのままキャッチ」
ドロシー「はい。これでワンナウト」
クルトガ「オリハルコン製のボールに攻撃魔法を宿したか」
レオンハルト「これまで一度も見せていなかった、対帝国用に取っておいた、ドロシーの必殺魔球といったところですかね」
  ビリビリビリ
解説ヒルダ「今度は電撃魔法だったようですね。 感電した豚その2が泡を吹いて倒れました」
クルトガ「・・・・・・なるほど」
クルトガ「レオンハルトの予想通りだったということか」
レオンハルト「実験役となったオークたちには悪いことをしましたが、早々に手の内が確認できました」
レオンハルト「ドロシーの攻撃魔法は、各自の武器やバットに耐性魔法をかけることで十分に対応できる範疇。何も問題はありません」
実況コカンダ「ピッチャーのドロシー。続く、帝国ドラゴンズ三番、聖戦士ギルバードに投げた!」
  カキン
実況コカンダ「勢いある打球は、そのまま仁王立ちのヤマクモ選手の横を通過・・・・・・」
  バシッ
実況コカンダ「い、いや! キャッチだ! 飛んできた球が真横を通過しようとした瞬間、見向きもせずにこれをキャッチ!」
レオンハルト「まあ、それでも油断ならない面子が揃っているのもまた事実ですがね」
レオンハルト「さて、我々が守る番ですね」
レオンハルト「見せてやりましょう。 お遊びではない、野球というモノを」

〇球場のベンチ
  聖国ハッピーズのベンチ
レヴィリック「ピッチャーは、あの絶対勇者か。 球速はそれなりに早いが、ドロシーには劣るな」
ドロシー「私が負けるわけないじゃない。とはいえ、全力で投げているようにも見えないのよね。なにせ・・・・・・」
レヴィリック「本来はヤ・キュウにいないはずのキャッチャーがいるからな」
レヴィリック「ピッチャーの球を受けるのは、以前、勇者と共にやってきた賢者クルトガか」
マコ「・・・・・・それもあるけどさ、一番の問題はあれじゃない?」

〇中世の野球場
マコ「なに、あの外野の真ん中に座っているでっかいドラゴン?」

〇球場のベンチ
ドロシー「エンシェントドラゴンのユズハ。 前・神の御使いと共にザッハ帝国を築いた重鎮。この世界でも最強クラスの存在よ」
ドロシー「かなりの気分屋で、滅多に表に姿を見せることはないんだけど、ここで出張ってくるとはね」
レヴィリック「まさに帝国ドラゴンズの象徴という訳か」
マコ「あっ、尻尾にグローブ付けている。 あれで取れるのかな?」
ドロシー「何にしても、外野中央に飛んだ球は全部取られそうね。気を付けないと」

〇中世の野球場
実況コカンダ「さあ一回の裏、ハッピーズの攻撃。 1番のドロシー選手がバッターボックスに入ります」
クルトガ「・・・・・・」
クルトガ「一つ聞いてもいいか? なぜピッチャーのお前が一番なんだ?」
ドロシー「? そりゃ、一番って響きが好きだからよ」
クルトガ「それだけか?」
ドロシー「理由としては十分でしょ」
実況コカンダ「さあピッチャーマウンドのレオンハルト選手、大きく振りかぶって、第一球を、投げた!」
  カキッ
ドロシー「あちゃ」
実況コカンダ「初球を打ち損じてしまったドロシー選手。内野を転がるボールをレオンハルト選手が拾いそのまま一塁へ。これでワンアウト」
マコ「惜しかったね、ドロシー」
ドロシー「打ちやすそうな球がきて、思わず手が出ちゃったわ」
  カキン
マコ「やった、レヴィリックがヒットを打った!」
実況コカンダ「内野越えの一打で、レヴィリック選手が一塁。続いて、三番のヤマクモ選手がバッターボックスに入ります」
ヤマクモ「・・・・・・」
クルトガ(聖国ハッピーズの打順、後ろに元バカスカズのメンバーが加わり層は厚くなったとはいえ、警戒すべきは最初の三人)
クルトガ(・・・それと一応、これまで試合で一度もバットを振ったことのない神の御使いくらいか)
実況コカンダ「レオンハルト選手、第一球を投げた。 ・・・これは外れてボール」
クルトガ(じーっ)
クルトガ(一塁ランナーは、やはりベースから一歩も動く気配がない)

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