異世界ベースボール ~フワッとしか知らなかったので、なんだかおかしなルールになりました~

アーム・ザ・コニー・ロト男

第一四話『ザッハ帝国からの宣戦布告』(脚本)

異世界ベースボール ~フワッとしか知らなかったので、なんだかおかしなルールになりました~

アーム・ザ・コニー・ロト男

今すぐ読む

異世界ベースボール ~フワッとしか知らなかったので、なんだかおかしなルールになりました~
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇謁見の間
ユニファ王女「よくおいでくださいました、ザッハ帝国の勇者レオンハルト様、賢者クルトマ様」
レオンハルト「こちらこそ、突然の来訪に関わらず、対面の場を用意していただきたきありがたく・・・」
マコ「ドロシー。 ザッハ帝国って、どういう国なの?」
ドロシー「ザッハ帝国は、絶対的な権力を有する皇帝が支配する巨大国家よ」
ドロシー「あらゆる種族を取り込み、他国へ侵攻、領地を拡大している侵略国家と言っても過言ではないわね」
ユニファ王女「それで? ザッハ帝国よりヤ・キュウ勝負の申し込みということですが?」
レオンハルト「皇帝閣下は、先のダルトンハイト騎士国とのヤ・キュウ勝負に殊更興味を示されまして。ぜひ我が帝国ともお手合わせ願えないかと」
ユニファ王女「条件も同じということですね」
レオンハルト「はい。我がザッハ帝国が勝てば、ユグド聖国は全面降伏。ユニファ様には皇帝陛下の妃になっていただきます」
ユニファ王女「逆にユグド聖国が勝てば、ザッハ帝国は向こう三年間の我が国に一切の手出しをしない」
レオンハルト「皇帝陛下の名においてお約束いたします」
マコ「ねぇ、ドロシー。ザッハ帝国の皇帝もラクスみたいにユニファ狙いなの?」
ドロシー「いえ、純粋に領地拡大が目的でしょうね。現皇帝は50歳で、奥さんも6人いるから。あくまで体裁としての話ね」
マコ「奥さんが6人もいるの!? ハーレムじゃん!」
ドロシー「多妻制は権力者の特権・・・と言いたいところだけど、あそこの国はちょっと特殊な事情があってね」
マコ「?」
ユニファ王女「レヴィリック、問題はありませんか?」
レヴィリック「もちろんでございます。 こちらとしても皇帝陛下からの申し出を断る理由はございません」
レヴィリック「して、レオンハルト殿。 試合の日取りはいつになさいますか?」
レオンハルト「本日より一ヶ月後でどうでしょう?」
レヴィリック「随分と先ですね」
レオンハルト「色々と準備も必要でしょう。 それに急ぐ勝負でもございません」
レヴィリック「・・・・・・分かりました」
レオンハルト「またヤ・キュウ勝負に先立ちまして、こちらからルールに関して幾つかの確認と別途お願いしたいことがございます」
レヴィリック「伺いましょう」
レオンハルト「まずヤ・キュウで使われる道具の規定について。ボールを打つ獲物は自由ということですが? 本当に何でもよいのですか?」
レヴィリック「ええ、なんでも構いません。 剣でも槍でも好きに使っていただいて結構です」
レオンハルト「なるほど。では、グローブについても特に規定はございませんでしょうか?」
レヴィリック「・・・・・・具体的には?」
レオンハルト「主に大きさや材質についてです。 我が帝国としては選手に合わせた道具を用意しようと考えているのですが」
レオンハルト「なにぶん我が帝国は多種族国家。選手の体格にバラつきがあり、モノによっては人間種が扱うモノより大きくなってしまう」
レオンハルト「材質に関しても、何の皮を使うかで違いが出てくることもあります。この辺りについての規定はありますでしょうか?」
レヴィリック「・・・・・・」
マコ「ドロシー、これって」
ドロシー「しっ、マコ静かに」
マコ(以前からレヴィリックが警戒していた類の事だ。これを聞いてくるってことは、帝国は何か仕掛けてくるつもりなのかな?)
レヴィリック「問題ありません。 お好きなモノを作っていただければと」
レオンハルト「かしこまりました。つきましては、我が国で作る時の参考に、幾つかグローブをいただいてもよろしいでしょうか?」
レヴィリック「もちろんです。すぐに用意させましょう」
レオンハルト「ついでと言ってはなんですが、ボールもお願いできますか?」
レヴィリック「もちろんです」
レオンハルト「ああ、当然。 オリハルコン製の試合球でお願いします」
レヴィリック「!」
レオンハルト「そのような顔をされないでください。別にいくつも用意しろとは言いません。予備の中から適当に選んでもらった一つで十分です」
レオンハルト「ユグド聖国と我がザッハ帝国の試合は正式に決定したのですから、その試合で使うボールを事前に確認しても問題ないでしょう?」
レヴィリック「・・・・・分かりました」
レオンハルト「ありがとうございます」
レオンハルト「続いて試合中のルールについていくつか確認があります」
レオンハルト「まずデッドボールのペナルティについてですが、デッドボールをした場合、相手チームに無条件での一得点献上」
レオンハルト「さらにピッチャーだけでなく、チーム全員が試合を終えるまで減退の腕輪を装着しなければならない、とのことですが?」
レヴィリック「間違いありません」
レオンハルト「罰としては少々重すぎないでしょうか? 減退の腕輪は装着者の能力を十分の一減退させる魔法具」
レオンハルト「しかもデッドボールの度に数が増えていき、上限はなしと書いてある」
レヴィリック「それだけヤ・キュウにおいて、相手を傷つける行為は重たい、ということです」
レオンハルト「なるほど、心得ました」
レオンハルト「二つ目に、出塁したランナーについてです」
レオンハルト「念の為の確認ですが、ランナーは何時如何なる時でもベースに触れていれば安全である」
レオンハルト「逆にベースから離れた場合、ボールを持った守備選手にタッチされればアウトになる、という解釈でよろしいでしょうか?」
レヴィリック「? ええ、間違いありません」
レオンハルト「それ以外、ランナーを縛るルールはない?」
レヴィリック「ルールブックにありますが、相手選手の妨害、塁を飛ばす行為なども禁止されていますがそれ以外はありません」
レオンハルト「結構です」
レヴィリック「(チラッ)」
マコ(いや、こっち見られても、あの勇者さんが何を確認したいのか、私には分からないって)
レオンハルト「最後の質問というか、こちらは素朴な疑問なのですが」
レオンハルト「なぜピッチャーは壁に向かってボールを投げるのでしょう?」
レヴィリック「? といいますと?」

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:第一五話『聖国ハッピーズVS帝国ドラゴンズ』

成分キーワード

ページTOPへ