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きせき

エピソード25-青色の刻-(脚本)

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〇水中
黒野すみれ「んっ・・・・・・」
黒野すみれ「ちょっと眩しいんだけど・・・・・・」
  あまりの眩しさに私は目を閉じてるんですけどと思うと、
  目を開ける。
  どことも分からない場所。
  周りには誰もいない筈で、
  そこにはただ海が世界の底まで続いているようだった。
黒野すみれ「人間から人魚にでもなったのか、私は」
黒野すみれ「(人魚か・・・・・・昔、トキが言ってたことがあったなぁ)」

〇土手
物部トキ「よし、やっぱり人魚にしよっ!!」
「え? 人魚にするって何?」
物部トキ「あ、すみれちゃん。キャラだよ、キャラ」
「キャラ?」
物部トキ「うん、今、いとこの子とさ、あるゲームにハマってて、種族を1つ選んでね」
物部トキ「冒険したり、街を作ったり、結婚したり、魔王と仲良くしたりするんだー」
「え? 魔王って倒すものなんじゃないの?」
物部トキ「チッチッチッ。今や、魔王だからって簡単に倒さないゲームもあるんだよ」
物部トキ「勿論、魔王だから襲ってくるし、こっちが倒されることもある」
物部トキ「でも、そこは話を聞いたり、プレゼントをあげたりして、交友度を上げる」
物部トキ「すると、魔王が何で襲ってきたかも分かるし、完全には理解できなくても、」
物部トキ「仲良くなれるんだよ。それは倒し合うよりずっと素敵なことなんじゃないかな?」
「へぇ〜種族って何があるの?」
物部トキ「あ、気になる? 種族は」

〇西洋の街並み
  人族。

〇火山の噴火
  獣人族。

〇雪山
  精霊族。

〇荒地
  怪人族。

〇雲の上
  竜族。

〇雷
  魔人族。

〇大聖堂
  天界族。

〇闇カジノ
  魔界族。

〇水中
物部トキ「あとは私が決めた「人魚族」」

〇水中
黒野すみれ「そう言えば、トキは? 青刻さんは?」
  気がつくと、海の色がだんだん濃くなっていく。
  水面から遠ざかって、太陽から遠ざかっているのだ。
黒野すみれ「(確か、海って生命が生まれるけど、還る場所って言うかも)」
  息苦しい訳ではないが、冥界に引き寄せられる感覚。
  その時、遠くから声が聞こえてくる。
「すみれ・・・・・・ん」
黒野すみれ「(誰?)」
  その声は凄く遠くで呼ばれているのか、
  はっきり聞こえない。
黒野すみれ「(すみれさん? いや、すみれちゃん?)」
  何人か、思い浮かべる顔はあるが、しっくり来ない。
「ねぇ、起きてくださいよ。すみれさん」

〇ラブホテルの部屋
黒野すみれ「・・・・・・」
明石青刻「起きてください、すみれさん」
黒野すみれ「え・・・・・・青刻さん?」
明石青刻「えぇ、明石青刻という名前の人間なんでしょうね。僕は・・・・・・」
  相変わらず、目元くらいしか見えていなくて、
  表情が分かりづらい。
黒野すみれ「(しかも、妙に引っかかる言い方だし・・・・・・)」
  確かに「黒野すみれ」は自分の名前だけど、
  父なり、誰かなりに
  そう言われて育ったからそう名乗っているのに
  過ぎないのかも知れない。
明石青刻「ここだとトキさんが起きてしまうかも知れないので、僕の部屋へ・・・・・・」
明石青刻「僕と来てくれますよね? すみれさん」
黒野すみれ「・・・・・・行かないと言ったら?」
  私は今まで生きてきた中でも特に嫌な予感がすると、
  明石青刻は答えた。
明石青刻「それはCleverな選択ではないでしょうね。僕も彼女に手をかけてまで」
明石青刻「貴方を連れて行きたくないんですよ」
明石青刻「どうやって作ったかは伏せますが、自作したものです」
明石青刻「試したことはないですが、実物と変わりなく使えるでしょう」
明石青刻「彼女には使いたくはありませんけどね」
  私は明石青刻について彼の部屋に行くしかなかった。

〇黒
  トキを守る為に。

〇基地の廊下

〇配信部屋
明石青刻「さて、改めまして、蒼帝 in the Strongholdへようこそ」
  ゲーム実況者であるとは聞いていたので、それ用の
  パソコンや機材があり、仮眠用なのか、ソファまである。
  私はソファに座るように言われると、その通りにした。
明石青刻「すみません、あまり上等なものではないですが、そちらのグリーンのソファへどうぞ」
黒野すみれ「(謝るのはそこじゃないと思うんだけど・・・・・・)」
  ただ、それを指摘したり、反抗したりする訳にもいかず
  私は明石青刻に言われるがまま、ソファへ腰かけた。
明石青刻「さて、どこから話したら良いか・・・・・・。希望はありますか?」
黒野すみれ「希望・・・・・・」
  それは聞けば、何でも答えてくれる・・・・・・
  ということなのだろうか。
  私は彼を刺激しないように言うと、
  ソファのある方とは反対側の壁に寄りかかると答えた。
明石青刻「えぇ、一方的で、フェアではないゲームは萎えるだけですし」
黒野すみれ「(睡眠薬まで盛って、トキを人質にして、何がフェアだよ!!)」
明石青刻「あ、睡眠薬まで盛って、トキさんを人質にとって・・・・・・」
明石青刻「何がフェアだよって思ってます?」
黒野すみれ「・・・・・・」
  またもや、心の中を見透かされたようで、
  私は何かを言うのを躊躇ってしまう。
明石青刻「それについては申し訳なく思ってない訳ではないのですが、僕って見た感じ、」
明石青刻「大きさ的に大きい方ではないでしょう?」
明石青刻「だから、意外と玄人君がいないと何もできないんですよ」
黒野すみれ「そう言えば、玄人さんはどうしたんですか?」
明石青刻「・・・・・・」
明石青刻「彼にも眠ってもらいました。彼は僕の命に従っただけ、でしたので・・・・・・」
黒野すみれ「ぼくの、めい?」
明石青刻「やっぱり、僕が貴方の質問に答える前に、貴方には僕の質問に答えてもらいましょう」
黒野すみれ「・・・・・・」
明石青刻「貴方は秋川昂さんの事件を調べているんですよね? 春刻君に頼まれて・・・・・・」
明石青刻「未来からやってきた」
黒野すみれ「・・・・・・」
  何故、彼が知っているのか・・・・・・
  私は一瞬、混乱するが、考えてみれば、
  彼も明石家の人間なのだし、秘術のことは知っていても、
  何もおかしくはなかった。
黒野すみれ「そ・・・・・・」
明石青刻「あ、さっきの川西刑事への切り返し方、流石でした」
明石青刻「不利な証拠があっても、慌てず騒がず、詳細を明らかにする」
明石青刻「感情はあれど、言動には出さず、最低限、言質をとられぬように配慮もされた」
明石青刻「ですが、僕の問いには真理と誠意をもって、お答えいただければと思います」
黒野すみれ「・・・・・・えぇ、そうです。私は未来からやってきました」
黒野すみれ「春刻を狙われて、秋川さんが命を失った原因を突き止める為に」
明石青刻「そう・・・・・・ですよね。そうなんですよね」
明石青刻「では、今の段階で疑っている人はいますか?」
明石青刻「昨夜、東兄さんと彼の使用人・・・・・・南田さんでしたっけ?」
明石青刻「彼らはお亡くなりになりましたが・・・・・・」

〇銀閣寺

〇配信部屋
黒野すみれ「そう・・・・・・ですね」
  私も彼らがもうこの世にいないことは
  知らない訳ではない。
  でも、改めて口に出して言われると、精神的に
  ショックを受けている自分自身が少なからずいた。
黒野すみれ「彼らは確かに春刻を殺そうとしていたのでしょう」
黒野すみれ「でも、少なくとも、秋川さんの一件には関わっていない・・・・・・と考えています」
明石青刻「それは何故?」
黒野すみれ「・・・・・・確かに、南田さんは毒の扱いも慣れていますし、昔のつてなんかを辿れば」
黒野すみれ「毒の入手も可能なのかも知れません。ただ、今は彼の言葉を信じようかと」
明石青刻「信じる?」
  彼は少し驚いたように目を開く。
  確かに、こんな環境で育ったのなら人間不信にも
  なりやすいのかも知れない。
  ただ、彼はすぐに目を閉じた。
明石青刻「それはどうしてなんですか?」
明石青刻「他人なんて何を考えているか分かりませんよね」
明石青刻「口では何とでも言えるし、手振りでどうとでも繕えるじゃないですか」
黒野すみれ「人の考えていることなんて本当のところは正確には分かりません」
黒野すみれ「もしかしたら、彼の言葉は偽りだらけなのかも知れません」
黒野すみれ「でも、話をしていたら、そこにはその人がいるように思えます」
黒野すみれ「その人がどうして、そんな言動をするのか、したのか・・・・・・」
黒野すみれ「それが語りかけてくる筈だとある人が言っていたことがありました」
黒野すみれ「あとは疑うのってあんまり得意じゃないみたいなんですよ、私」
黒野すみれ「トキも何回も疑ったのに、違っていたらどんなに良いかって思うくらいで」
黒野すみれ「探偵役には不向きな人間なんだと思います」
明石青刻「・・・・・・そう、みたいですね。春刻君も酷なこと、しますね」
黒野すみれ「えぇ、まぁ、その点はその通りですよね」
黒野すみれ「本当に・・・・・・」

〇地下室
  多分、彼はそこまで酷なことをしてでも
  私に過去へ送って、真相を知りたかったのだろう。

〇宇宙空間
  彼の為に・・・・・・。

次のエピソード:エピソード26-青色の刻-

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