エピソード18(脚本)
〇英国風の部屋
ジョマ「おはようです」
目を開いたジョマが、少し眠そうに言った。結局、僕はジョマに抱きしめられたままだった。
一度も力が抜けることは無く、抜け出す頃は出来なかった。
ジョマ「よく眠れましたか?」
笑顔になったジョマが、問いかけてくる。
ロク「一睡もできてないよ! 放して!」
こんな状況で寝れる訳がない。しかも一晩中心臓がバクバクと鳴っていて、疲れてしまった。
抱きしめられた状態から、解放された僕は床にへたり込む。
ロク「疲れた、体が痛い」
ずっと抱きしめられていて、身動きが出来なかった。そのせいで体中が痛い。
そんな僕をよそに、ジョマは伸びをして「んんん! スッキリです」と爽やかに笑う。
ロク「良かったね!」
僕はジョマを睨みつけながら、投げつける様に言葉を発する。
その程度で、寝れなくなった僕も悪いから、ジョマのせいとは言い切れないけど、
それにしたって、もう少し申し訳なさそうにしてほしい。
ジョマ「お詫びに、一緒に朝風呂しますか?」
ジョマが、はにかんで言った。意地悪な笑みとかではないせいで、僕は一瞬、からかわれている事を忘れる。
少し想像してしまって、返事が遅れてしまった。
ロク「・・・・・・しっ、しない」
顔が熱くなるのを感じる。僕はジョマの顔をまともに見れず、目を背けた。
ジョマ「んん? 今、迷いましたねぇ」
ジョマはさっきの、はにかみが嘘のように、ニヤついた顔に変わる。やっぱりからかっていたらしい。
ジョマ「いいんですか? 私はロクだったら」
ジョマ「・・・・・・一緒に入って、いいですよ?」
ベッドの上で、両手をついて、体を少し僕の方に傾けたジョマが、恥じらいの表情に変わり、顔を赤らめた。
ロク「・・・・・・ッ! 入ら・・・・・・ない!」
僕は何とか断る言葉を捻り出す。よろしくない空気と話を変える為、僕はさらに続ける。
ロク「というか部屋から出してよ!」
ジョマ「色々面倒なので、今日は我慢してください」
抑え込もうとしているけど、少しだけニヤついた表情を漏らしているジョマが、ベッドから降りて、歩きながらそう言った。
そのまま、奥の部屋に消えていく。
ロク「もう!」
なんと言ったらいいのかわからない、行き場のないモヤモヤを吐き出す様に、僕は息を吐いた。
すると、ジョマが入って行った部屋から、服を脱ぐ音が聞こえてくる。
ロク「ッ! もう!」
僕はその場で膝を抱えて、小さくなる。そうしていると、水の音が聞こえてきた。僕は耳をすませてしまう。
ロク「ッ! もう!!」
僕がもし襲いかかったらどうするんだ。こんなに無防備な事をして。それともOKだからこんな無防備なのかな。
いやいや、おちょくられているだけだ。僕は必死で考え事をして、その場をやり過ごす。