エピソード15(脚本)
〇西洋の街並み
ジョマ「ロクと出会えてよかったですよ、特殊捜査室の仕事は、ロクにぴったりじゃないですか」
呆れたように言うジョマ。確かにこういう事を考えて、原因を見つけて解決する。僕に向いている部署かもしれない。
ロク「かもしれないね」
肉体労働系の組織に、拾われていたらと思うと、ここはかなり楽しそうだ。
喜ぶのは不謹慎な気がするけど、ミステリーを体験しているような。
ロク「そういえば」
僕はふと思いついた事を、ジョマに問いかけてみる。
ロク「ジョマはどうして、特殊捜査室に?」
先ほどの議論で、すぐにギブアップする様な状態では、やってられないだろう。事実、一人では発狂しそうだと、前に言ってたし。
やっぱり、追い出し部屋とかそういう感じなんだろうか。適性が無視されすぎている気がする。
ジョマ「あぁそれは」
何かやらかしてしまったのだろうかと、僕はジョマの言葉の続きを、身構えて待つ。
ジョマ「・・・・・・エルフってぇ、正義とか大好きそうじゃぁん、てきにーん、てきにーん、って」
言ってきた人の声真似なのか、ジョマは違和感バリバリの甘ったるい声を出したあと、憎しみを込めたような声に切り替わる。
ジョマ「はっ、別に好きじゃねぇです!」
つまり押し付けられたという事だろうか。地雷っぽいから、あまり詮索しないでおいた方が良いかな。
そう思って、僕が話を変えようとした時、ジョマは怒りが沸き上がってきてしまったのか、険しい顔で言葉を続ける。
ジョマ「だいたい何なんですか! 手柄は全部、本部の物で、訳がわからない物は、こっちに押し付けて、」
ジョマ「本部は失敗しない、ダメだったらこっちのミスって!」
相当溜まっていたらしいジョマは、言い出したらともらなくなったらしい。どんどん文句が出てくる。
ロク「まぁまぁ」
僕はなだめる様に、そう声をかける。ジョマは行き場のない怒りで、頭を搔きむしった。
ジョマ「あぁあ! やってられるかって言うんですよ! ロク!」
ものすごく険しい表情を浮かべたジョマは、僕に勢いよく顔を向けて、叩きつける様に言葉を発する。
ジョマ「飲みますよ!」
ロク「えぇ?! 今って勤務中じゃないの?!」
とは言っても、僕たちは今、王都をほっつき歩いているのだけど、これはまだ、研修とか、言いようによってはセーフの行為だ。
でも、飲みに行くのは確実にアウトだ。
ジョマ「歓迎会です! 飲み会も立派な仕事ですよ!」
そこまで言うと、ジョマが僕の手を掴んで歩き出す。
こうなったら話を聞いてくれ無さそうだけど、僕は一応、マズいのではという旨を進言した。
当然、ジョマは受け入れる気はない様子で、口を開く。
ジョマ「グタグタ言わない! 行きますよ!」