オヤジ栽培

草加奈呼

caseX:草木好子の場合 プロローグ(脚本)

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〇繁華な通り
(はぁ・・・ 今日も疲れた・・・)
  ため息をひとつ。
  重い足取りで駅に向かう。
  秋とはいえ、すでに辺りは暗い。しかし最近では、この時間に帰れてラッキーなくらいだ。まだ、店の明かりがついている。
  私は、草木好子《くさきよしこ》26歳。
  社会人数年目で、最近ようやく仕事を任されるようになってきた。
  しかし、仕事が充実しているのはいいのだけれど、忙しすぎて目の回るような毎日を送っている。
  最近の癒しといえば、コンビニスイーツでおうちカフェ、休日は家でゴロゴロするくらい。
  そもそも外に出る気力もねぇーーー
好子(今日もコンビニでスイーツ買って帰りますか・・・)
  いつものように、そう思いながら駅に向かっていた、その時だった。
女性「そこのお嬢さん」
  物腰やわらかな着物のご婦人に、声をかけられた。
好子(もしかして、セールス? 怪しい団体・・・?)
好子(危険を感じたら、すぐ逃げよう!)
女性「今、お店のキャンペーン中でね、 種を配ってるんですよ」
  ・・・種? ああ、花の種ね。
  よく見れば、ご婦人は綺麗な花の籠を持っている。花屋のご婦人は、花の種の入った袋を差し出してきた。
  花・・・かぁ。
  ガーデニングは嫌いじゃないけど・・・。
女性「あなた、とても疲れている顔をしているわ。植物はね、飾っておくとリラックス 効果もあるのよ」
好子「でも、うまく育てられるかどうか・・・。 最近忙しいので、枯らしてしまわないかと・・・」
女性「大丈夫よぉ〜。この子はね、とっても 強い子なの! 1日1回、霧吹きで 少量水をあげるだけで大丈夫!」
女性「ぜひ、あなたのような人に 育ててもらいたいわ」
  うわぁ〜、
  随分と熱心に勧めてくるなぁ・・・
好子(でもまあ、キャンペーン中で無料だって 言うなら、もらうだけもらっておいても いいかな・・・?)
好子「じゃあ、いただきます」
好子「あの・・・。 これ、何の花の種ですか?」
女性「うふふふ、それは、 育ててみてのお楽しみよ♪」
  花屋のご婦人は、にこにこと微笑むだけだった。
  私は、軽く会釈をしてその場を去った。
  曲がり角に差し掛かった時、振り返ったが、ご婦人の姿はすでになかった。

〇電車の中

〇女性の部屋
好子「ただいまー」
好子(あれっ? 何か忘れている気がする・・・)
好子「・・・あっ、 コンビニスイーツ!!」
好子(とほほ、もう外に行く気力がない・・・)
好子(明日は休日だし、鉢植えと コンビニスイーツは明日にしよう)
  私は、遅めの夕食をとって寝ることにした。

〇女性の部屋
  翌日────
  私はホームセンターで、ガーデニングに
  必要であろうアイテムを買ってきた。
  そして、種の入った袋を開けた。
  どんぐりくらいの大きさの種が1個、
  ころん、と手のひらに転がってきた。
  特に、説明も何も書かれておらず、
  何の花かもわからない。
  仕方がないので、一般的な花の植え方で準備して、それから水をあげることにした。
好子(さて、どんな花が咲くのかなぁ〜)

次のエピソード:caseX:草木好子の場合 開花 植木編

コメント

  • 美雨編のラストに連なる新編(?)にワクワクです。美雨編を十分に堪能した後ですので、好子編の期待と面白さもひとしおですね!

  • 主人公絵があるとイメージ変わりますね!
    あの人が咲くのかな?

  • 好子編、来ましたね!
    どれだけ水をやるのか注目します。

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