メタリアルストーリー

相賀マコト

エピソード20(脚本)

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〇荒廃した街
  防衛戦線本部は、突如打ち上げられた緊急信号で騒然となった。
  ギアーズが夜襲をかけてくるのは初めてのことだ。
カラカル「コレクターたちはすぐに向かってくれ!」
  カラカルは本部にいるコレクター全員に向け指示を出す。
  ニル、アイリ、エルルの3人もすぐに都市の外へと駆け出していった。

〇草原
防衛戦線のコレクター「おい・・・嘘だろ・・・?」
  そう呟かれた一言には、絶望の色が混じっていた。
  駆けつけたコレクターたちの目に映るのは、昼間の数を超えるギアーズの大群。
  ざっと1000は越えている。
  見渡す限りのギアーズにコレクターたちは目を疑った。
  ギアーズたちは整列した状態で、規則正しい足音を響かせながらアーティレへ向かって進軍している。
カラカル「呆けている暇はないぞ!! 陣を組め!!」
  カラカルの言葉にせっつかれてコレクターたちが陣を組む。
  しかし、ギアーズが迫りくるにつれ地鳴りは大きくなり、彼らを絶望の淵へと誘(いざな)うかのようだった。
防衛戦線のコレクター「アーティレはもう終わりだ・・・」
  ひとりが呟(つぶや)いたかと思うと、大群に背を向けて陣を飛び出した。
  それから大群が瓦解するまでは一瞬だった。
  ほとんどのコレクターが、我先にとアーティレを囲む防壁へと走り出す。
  そこら中で絶望の叫び声が響き渡り、収拾のつかない事態へと化していた。

〇草原
  気づくと、前線に立っているのはニルとエルルとアイリだけだった。
  ニルは落ち着いた声で呟(つぶや)く。
ニル「・・・アイリ、たぶんこのコア、駄目になっちゃうと思う」
  ニルの右手がヴェラグニスの柄を撫でる。
  アイリはニルがこれからなにをしようとしているのか察して、ニッと口角を上げた。
アイリ「・・・構わないわよ。 また狩ればいいんだし」
エルル「やっとニルさんの出番ですね!」
  そしてニルはひとり、大群へ向けて足を踏み出す。

〇草原
ライザー「お前、なに考えてやがんだ!」
  流れにつられ、後方にいたライザーがニルを見て大声で叫んだ。
  しかしニルは歩みを止めることなく、少しづつ大群へと近づいていく。
  向かってくるニルに反応してギアーズたちは速度を上げ、辺りには轟音が響き渡る。
  柄を捻(ひね)る。
  刀身にオレンジ色の脈が走った。
ニル「ふう——・・・」
  ニルは長い息を吐き出すと、意を決したようにもう一段階、柄を捻った。
  ヴェラグニスの刀身が漆黒に戻る。
  そして次の瞬間、まばゆい煌(きらめ)きがニルの身体を包み込み、夜空に届くかのような1本の炎の柱が現れた。
  そのあいだにも、ギアーズの大群は土煙を巻き上げながらニルへと追っている。
  ニルは剣を構えた状態のままギリギリまでギアーズを引きつける。
ニル「・・・はああっ!!」
  そして雄叫びとともに、ヴェラグニスを思いっきり振り抜いた。
  ギャンッ、と爆音を立て、熱の波が大群を飲み込むように飛んでいく。
  ギアーズたちは瞬く間に溶解し、連鎖するように大爆発を起こした。
  爆発により発生した光はアーティレ全体を包み込み、まるで昼のように明るくなる。
  炎の柱は周囲を燃やし尽くすと、ヴェラグニスの中へと還るように吸い込まれていく。
  辺り一帯のギアーズは一掃され、溶け残ったパーツが熱を帯びほんのりと辺りを照らしていた。
カラカル「いけるぞ!! 全員続けー!!」
  カラカルの声に、コレクターたちはハッと我に返った。
  遠くの方に残っているギアーズは200ほどだ。
  大きく数を減らしたギアーズに、コレクターたちは一気に活力を取り戻した。
ニル「ふう・・・」
  ニルがヴェラグニスを下ろす。パキ、と音をたてて黒焔(こくえん)化で消費されたフリューゲラスのコアが割れた。
  刀身は真っ黒に戻っている。
ライザー「お前・・・いったい・・・」
  ライザーは驚きで腰を抜かし、その場から動けなくなっていた。
エルル「もう噂は噂だなんて言わせませんからね!」
  エルルは得意げにそう言うと、残りのギアーズを倒すため戦場へと駆け出していった。

〇草原
  夜が明け、前線に陽光が差し込む。
  そこら中に散らばったギアーズの残骸が朝の光を鈍く反射していた。
  殲滅(せんめつ)が完了し、コレクターたちは防衛戦線本部へと戻る。

〇戦線のテント
  ニルとエルルも、へとへとになった身体でテントへと到着した。
  ニルたちのもとへ、カラカルが駆け寄る。
カラカル「聞いたよ、ニルくん。 君があの噂の人物だったんだね」
カラカル「本当にありがとう・・・名滅(めいめつ)のニル」
  カラカルはニルの手を握り、握手をする。

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