特異地蔵譚

わらやま

募集 ポータブル地蔵 対策課(脚本)

特異地蔵譚

わらやま

今すぐ読む

特異地蔵譚
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇闇カジノ
不動 明夫「す、すごい活気のカジノだね!? ここ本当に日本!?」
識者「ここは日本最大の広域指定暴力団、『社窩組』が運営している裏カジノだからな」
識者「裏社会だけに限らず表の有名人も多く集う社交場だ」
不動 明夫「あ、たしかに!! 見た事ある人いるね」
識者「プライバシーの管理も徹底されているからな 完全に隔離された空間になっている・・・ 見ろ」
不動 明夫「政府の専用回線を使っている特異地蔵対策課の携帯が圏外!? それって・・・」
識者「ああ・・・ おそらく特異地蔵、『通信障害地蔵』の力だ」
識者「この前の大規模な通信障害も、通信会社がみかじめ料の支払いを渋ったからという話もある」
不動 明夫「あの通信障害って地蔵のせいだったんだね!?」
識者「他にも多くの地蔵を有しているとの噂だ」
不動 明夫「社窩組・・・恐ろしいね・・・」
不動 明夫「で・・・今回ここに来たのは何でだっけ!?」
識者「おいおい・・・散々ブリーフィングしただろ」
識者「今日は併設しているオークション会場に出品されると噂の特異地蔵が狙いだ」
不動 明夫「地蔵をオークションに出すなんて・・・ 持ってた方が得じゃない!?」
識者「最近組長が変わったから、方針の変更があったのかもしれない」
識者「それか、直近でまとまったカネがいる事情があるんだろうな」
識者「今回、ウチが用意できた予算は20億円」
識者「これで落札できればいいが・・・」
不動 明夫「20億・・・ そんなに反社会組織に払って大丈夫なの!?」
識者「もちろん、表立っては出来ない。だから、我々が秘密裏に動くんだ・・・」
不動 明夫「・・・なんだかなぁ」
識者「気持ちは分かるが、任務に集中だ。 そろそろ始まる。 移動するぞ」

〇近未来の闘技場
司会「お集まりの皆様!! いよいよ次が本日のメイン!!」
司会「裏社会で噂される不思議な地蔵『特異地蔵』!!」
司会「その存在自体が眉唾ものとされ、ただの噂だと思われていますが・・・」
司会「たしかに存在します!!」
司会「今回、ご紹介するのは・・・」
司会「『ポータブル地蔵』です!!」
  ただの地蔵にしか見えねぇぞ!!
  インチキじゃないの!?
司会「えー、えー、皆さま!! お気持ちはわかります。こちら、見た目はただの地蔵ですからね」
司会「能力をお見せしましょう!!」
司会「”アレ”持ってきて」
おじいさん「な、なんじゃココは!? ワシをどうする気じゃ!?」
おじいさん「借金を返せるチャンスをくれるのではなかったんかぁ!?」
司会「こちらのポータブル地蔵に触れますと・・・」
おじいさん「や、やめてくれぇ」
おじいさん「ぬわーーーっ」
「な、なんじゃこりや!! ワシの体が小さくなっておる!?」
司会「このように”簡単に持ち運び可能”なサイズになります!!」
不動 明夫「・・・間違いない、本物だよ」
識者「ああ、反社会組織にはピッタリの能力だな」
不動 明夫「Praystationとかもあの能力を使えば簡単に持ち運び出来て便利そうだね」
識者(・・・それは、そのコンセプトの製品がもうあるが・・・)
識者「・・・しかし、解せんな」
不動 明夫「あ!!始まるみたいだよ」
司会「では、3億円からスタートします。 レッツオークション!!」
  5億円!!
  5億5千万円!!
不動 明夫「す、すごい、どんどん値がつり上がっていくよ!!」
識者「これがオークションだ」
識者「場の雰囲気、高揚感から無理して突っ込み・・・最終的にかなりの値になる」
識者「シーソーゲームに付き合っていてはむしろ出費は増える。今回は一気に全員の心を折る」
  ええい、10億円!!
識者(ここだ)
識者「20億円!!」
司会「13番さん・・・20億円 ほ、他にどなたかいますか」
  いきなり2倍に吊り上げるなんてどういう事だ!?
  で、でも、見て!!
  あの表情・・・
  20億円宣言してるのに涼しい顔をしてるわ
不動 明夫(や、やるね!! もう予算いっぱいで出してるのに余裕があるように振る舞ってる)
不動 明夫(さすがはおじさん)
司会「ハイ!!見事13番さんが20億円で落札されました!!」
不動 明夫「やったね!!おじさん!!」
識者「不動・・・」
不動 明夫「ん!?」

〇殺風景な部屋
社窩組組員「落札おめでとうございます!!」
識者「先程入金はしましたが、確認いただけましたか!?」
社窩組組員「ええ、たしかに」
社窩組組員「それでは、ポータブル地蔵のお引き渡しをさせていただきます」
社窩組組員「包装紙に厳重にくるんではいますが、直に触れると能力が発動しますので、お気をつけて」
社窩組組員「ポータブル地蔵自体は他対象の地蔵ですので、サイズは変わりませんから重いですが」
不動 明夫「ヨイショ!!」
識者「では、我々はこれで」
識者「ん!?」
識者「おい、扉が開かないんだが!?」
社窩組組員「・・・一つ言い忘れておりましたが」
社窩組組員「あなた方はここから帰れませんよ」
識者「どういう事だ!!」
社窩組組員「そろそろ・・・ですかね」
不動 明夫「わ!!おじさん!! 包装紙が!!」
識者「な、溶けてるだと」
不動 明夫「ウワァァァ」
識者「不動!?」
識者「これはどういう事だ!?」
社窩組組員「ふっふっふ」
社窩組組員「ウチの新しい組長は先代と違い強欲なんです」
社窩組組員「政府と裏で持ちつ持たれつするより」
社窩組組員「その全てを奪って自分のものにしたいんですよ」
識者「そんな事・・・政府が黙っていないぞ!!」
社窩組組員「ええ・・・ ですから、そのための明王地蔵奪取計画です」
識者「では、ポータブル地蔵オークションは・・・」
社窩組組員「あなた方を誘き出す罠というわけです」
社窩組組員「そして・・・出番ですよ!!」
社窩組組員「佐々木小地蔵!!」
佐々木小地蔵「ふふふ」
識者「こ、こいつは!?」
社窩組組員「ウチの自律型特異地蔵・・・ 佐々木小地蔵です」
社窩組組員「強力な明王地蔵でも、ポータブルサイズであれば・・・」
社窩組組員「制圧できる!!」
佐々木小地蔵「ふひゃひゃひゃひゃ」
識者「不動!!」
  ノウマク サンマンダ バザラダン センダ マカロシャダ ソワタヤ ウンタラタ カンマン
佐々木小地蔵「へひゃひゃひゃ!?」
社窩組組員「なっ!?」
識者「ふぅー、ヒヤリとしたぞ不動!!」
不動明王地蔵「へっ、楽勝だよ!!」
社窩組組員「佐々木小地蔵が一瞬で!?」
識者「貴様らは明王地蔵の・・・不動の力を舐めすぎだ」
識者「サイズが小さくなった程度では並の地蔵では相手にならんよ」
識者「まぁ、力の解放前にやられるリスクはあったが・・・」

〇近未来の闘技場
識者「不動・・・」
不動 明夫「ん!?」
識者「この一連のオークション・・・ 我々を嵌めるための罠の可能性がある」
不動 明夫「そうなの!?」
識者「あまりにもスムーズに事が運びすぎている」
識者「それにオークションには値段を上げるために煽るサクラがつきものだが、今回はそんな動きが一切ない」
不動 明夫「たしかに・・・ てっきりおじさんの作戦がバッチリ決まったと思ってたけど・・・」
識者「もしかしたら、ポータブル地蔵の力と併せて襲撃があるかもしれん。備えておけ・・・」

〇殺風景な部屋
識者「そのリスクは考慮していた」
不動明王地蔵「ふぅー、貴重な体験だったぜ」
社窩組組員「ひ、ひぃぃ」
識者「あんたらの組長が好戦的なのはかまわないが、政府としては事を荒立てるつもりはない」
識者「返金と我々の解放で、手打ちにしてやろう」
不動明王地蔵「オレが本気だしたら・・・ わかってんよな!?」
社窩組組員「ひ、ひぃぃ、わかりました!!」

〇大会議室
不動 明夫「この前は残念だったね、ポータブル地蔵回収し損ねて」
識者「うむ・・・だが我々の任務では活用しづらいし、社窩組の特異地蔵を2体破壊出来たとなれば、上々だ」
識者「報復がない所を見ると、新しい組長とやらも、好戦的ではあるが頭はキレるようだ」
識者「だが、しばらくは要警戒だな」
不動 明夫「アレがあれば、Zwitchとかも持ち運ぶの楽だったのに」
識者(Zwitchはそもそも持ち運ぶの楽だろ!!)
識者(それにしても・・・)
識者(あの佐々木小地蔵とかいう地蔵・・・)
識者(一体何者だったんだ・・・)
識者(佐々木小次郎地蔵は地蔵文書によると、既に出現している・・・)
識者「まさか・・・」

次のエピソード:募集 番外編 マイナーリーグ地蔵

コメント

  • なるほど、地蔵自体もポータブルだけど地蔵以外をポータブルにするポータブル地蔵とは(錯乱) さすがの発想力👍
    劇中地蔵たちもストーリーに馴染みまくってて笑いました😆 ポータブルゲーム機ネタもたまりません 笑
    おじいさん、またも借金まみれのうえ「アレ」呼ばわり…不憫😭
    佐々木小次郎地蔵と佐々木小地蔵が別物なのがまた面白い 笑 さらなる展開もありそうで期待です!

  • ワッ!?不意打ちでリクエストした地蔵が出てきたので驚いた〜😳
    ストーリーに組み込んでいただき、ありがとうございます😆

  • 1話にして3体も捌かれるとは、凄すぎです!

    他の方からの提案の筈なのに、全く違和感がないという事が奇跡の様に思えてなりません✨
    そして、毎度の如くお爺さんも出してくださりありがとうございます😭

    次回も楽しみにしております🙇‍♀️

コメントをもっと見る(6件)

成分キーワード

ページTOPへ