〇男の子の一人部屋
威流　緋雨「３人目がいない!?」
威流　楓「たなかよしこ～ww だれそれ～？」
威流　緋雨「どういう事だ!? 最初から全部嘘なのか!?」
威流　楓「味覚はすごかったのにね～ 鼻はだめか～」
威流　緋雨「まさか・・・!! 家族は、本当は生きていて・・・」
威流　楓「ざ～んねん」
威流　緋雨「家族をどこにやった!!?」
威流　楓「はかどると思ったのにな～」
威流　楓「うわわ、なになに!? ぼうりょくはんたい～！」
「おい!!答えろ!!俺の家族は!?」
威流　楓「ちょ、ちょっと!!」
威流　楓「積極的なのはうれしいけど」
威流　楓「おちついて。君の家族だっけ？」
威流　楓「君に起きた事実は変わらないよ」
威流　緋雨「そ、そんな・・・」
威流　楓「ごめんね。試しちゃったんだ。 嗅覚はどうなのかな～って」
威流　楓「家族の為に３人目を見つけるんでしょ？」
威流　緋雨「・・・」
威流　楓「ねぇ、誰かの為ってさ、」
威流　楓「疲れない？」

〇黒

〇中庭
団員「マッテオ様。 定期報告に伺いました」
マッテオ「銀行家・エドアルド。 サン・マルコ地区だ」
団員「かしこまりました」
マッテオ「待って」
団員「いかが致しましたか？」
マッテオ「この前、俺が挙げた『２人目』は？」
団員「お目醒めになりませんでした」
マッテオ「・・・」
団員「失礼いたします」
マッテオ（俺が、こんな事を、続けられるのは・・・）
マッテオ（君のため）

〇黒

〇男の子の一人部屋
威流　緋雨「そんな事はない!!」
威流　緋雨「家族を生き返らせる事は!! 俺の生きる目的だ!!」
威流　緋雨「疲れるだなんて、思ってない・・・」
威流　楓「そ。あんまり気負い過ぎないようにね」
威流　緋雨「あんたはどうなんだ」
威流　楓「おれ？」
威流　楓「いちおうあるけどね。 たしいた目的じゃないよ」
威流　緋雨「それで、」
威流　緋雨「３人目はいないってどういう事だ？」
威流　楓「それはちょっとした遊び心で～」
威流　楓「正解はなしっていうのも面白いかな～って」
威流　楓「もちろん聖威光学園に。 ちゃんと３人目はいるよ」
威流　緋雨「明日、もう一度確かめてみる」
威流　楓「ちなみに、おれの方は何ともだったよ」
威流　楓「というか、田中よし子、なんて会ったことないし・・・」
威流　緋雨「やっぱりあんたも特殊体質なのか」
威流　楓「もちろ～ん！ おれは大先輩だよ～？」
威流　楓「おれはね！」
威流　楓「神の骨格が見える！」
威流　緋雨「頭が中二だからって見た目は若くならないぞ」
威流　楓「ひ、ひどい！ 永くいるの気にしてるのに！」
威流　緋雨「神の骨格？ ３人目が見て分かるのか？」
威流　楓「そう。おれは視覚。 君の中なんて・・・」
威流　楓「惚れ惚れする美しい骨格をしてるんだよ～♪」
威流　緋雨「じゃぁ、３人目が見つかったら、俺と同じように儀式をして」
威流　楓「そう。秘跡を執り行う」
威流　緋雨「必ず３人目になるのか？」
威流　楓「それは分からない」
威流　緋雨「失敗する可能性もあるのか」
威流　楓「二度と目覚めないよ」
威流　楓「どうする？やめる？」
威流　緋雨「とにかく、明日だ。 もう一度、田中よし子を確認する」

〇教室
　　─翌日ー
岸野　俊介「それでさ～」
威流　緋雨（よく喋るな・・・）
田中　よしこ「さっきの子となんかあったん？」
栗木田　真衣「なんもないよ～！」
威流　緋雨（くそっ！ 栗木田を引き剥がさないと！）
威流　緋雨「な、なぁ。岸野・・・」
岸野　俊介「え？なに？」
威流　緋雨「実は俺、１限の教科書忘れちゃって、」
岸野　俊介「まじか!? 俺でも初日は忘れずに持ってきたぞ！」
威流　緋雨「だから、栗木田に言いづらくて。 岸野、お前から」
岸野　俊介「任せろ！」
威流　緋雨（大丈夫か・・・？）
岸野　俊介「栗ちゃん！」
栗木田　真衣「おはようきっし～」
威流　緋雨「た、田中さん！ちょっといいかな！」
岸野　俊介「じ、実はさ、」
岸野　俊介「俺、１限の教科書忘れちゃって」
田中　よしこ「どったの～？」
威流　緋雨「プリントのここなんだけど・・・」
田中　よしこ「それはこうなん」
威流　緋雨「あ、ありがとう」
威流　緋雨（おかしい。 田中から葡萄の匂いなんてしない）
威流　緋雨（じゃぁ、昨日のは一体・・・）
岸野　俊介「ひっさ～♪」
岸野　俊介「安心しろ。俺の教科書かしてやるから」
威流　緋雨（なんでそんな事に!?）
　　─数学の教科書─
　　（岸野俊介）
栗木田　真衣「ひっさ～」
威流　緋雨（こいつから葡萄の匂いがする!?）
栗木田　真衣「私の教科書きっしーに取られたんだけど～」
栗木田　真衣「よっちゃんに怒られたくない～！」
栗木田　真衣「だって。 だからひっさの教科書、私にも見せて」
威流　緋雨（そうか。こいつは昨日、岸野と田中の後ろにいたんだっけ・・・）
江頭　仁「ほら！授業はじめるぞ～！ 席に着けー！」
江頭　仁「まずは教科書５ページの練習問題からおさらいだ！」
栗木田　真衣「ごめ。数字みにくい。 もうちょっと寄ってい？」
威流　緋雨「う、うん・・・」
栗木田　真衣「やべ。問１から分かんないんだけど」
栗木田　真衣「ねえねえ。-ｙ=なんてある？」
威流　緋雨「・・・」
栗木田　真衣「+になったりするのかなぁ？」
栗木田　真衣「ねぇひっさ、聞いてる？」
威流　緋雨（こいつの距離感おかしいだろ!!）
岸野　俊介（いちゃいちゃしてるー・・・）

〇教室
　　ー昼休みー
栗木田　真衣「ひっさー！一緒にたべよー！」
岸野　俊介「あ！俺も！俺も！」
威流　緋雨（だから!!余所で食え!!）
（わくわく♪わくわく♪）
威流　緋雨「今日は弁当じゃない」
岸野　俊介「母さんがせっかく作ってくれたんだろ」
威流　緋雨（あいつが作ったなんて、余計な事は言わない方がいいな）
栗木田　真衣「ステキなお弁当なのにざ～んねん」
威流　緋雨「さっさと食わないとまたチャイム鳴るぞ」
栗木田　真衣「そういえば今日、部活見学あるけど、二人はどうするの？」
岸野　俊介「なぁ、ひっさ、」
威流　緋雨「やってみてもいいぞ、バスケ」
威流　緋雨（栗木田が３人目である以上、バスケで繋がりを持っておくのは良いだろう）
岸野　俊介「なんかな～ 気が変わるの早くね？」
岸野　俊介「さっき二人でいちゃいちゃしてたしな～」
威流　緋雨「し、してない!!」
栗木田　真衣「ごめ！ちょっと行ってくる！」
岸野　俊介「栗ちゃん、ひっさのこと好きだよな・・・」
威流　緋雨「どうしてそう思う？」
岸野　俊介「ひっさといると楽しそうじゃねーか！」
威流　緋雨（まぁ、好意は感じるが・・・）
岸野　俊介「なんでこんな仏頂面ーー!!!」
威流　緋雨（俺だって困る。 なんたって３人目だからな・・・）
岸野　俊介「負けないからな」
岸野　俊介「どっちが栗ちゃんと」
岸野　俊介「つ、付き合えるか！」
威流　緋雨「俺は栗木田のこと好きじゃない」
岸野　俊介「なんで!?あんなに可愛いのに!?」
威流　緋雨「それは人それぞれだろ」
岸野　俊介「あ～お前は清純派だったな♪」
威流　緋雨「そ、それは忘れろ！」

〇学校の廊下
1年生「ねぇ、くりち～！ 今日の部活見学どこ行く～？」
1年生「一緒にダンス部見に行こうよ～！」
栗木田　真衣「・・・」
栗木田　真衣「ごめ！ 私バスケにするんだ！」
1年生「運動系か～ わたし苦手だ～」
1年生「私も～ せっかくならばえる部活だよね～」
「ね～・・・」
1年生「そういえばさ！ 気になってる子！どうなったの!?」
1年生「くりち可愛いから！絶対いける！」
栗木田　真衣「あ～！ ひっさのことね！」
（わくわく♪わくわく♪）
栗木田　真衣「やっぱりすっごく面白い！」
「えっ!?」