姫様は冷徹王子の溺愛をご所望です

朝永ゆうり

第7話 シロツメクサの持ち主(脚本)

姫様は冷徹王子の溺愛をご所望です

朝永ゆうり

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〇貴族の部屋
  庭でのお茶会から戻ったカレン。
  部屋で、フレデリックの落としていった
  シロツメクサの花を見つめていた──
カレン「はぁ・・・」
ハンナ「姫様、先程からため息ばかり・・・」
カレン「うん・・・なんかこれ、ひっかかるの」
ハンナ「フレディさんも、あの花畑に行ったんじゃないですか?」
ハンナ「とっても素敵な場所でしたから・・・」
カレン「あそこに他の人なんて・・・」
ハンナ「考えすぎですよ、姫様」
カレン「でもさ、気にならない?」
カレン「どうしてフレディが王宮にいたのか」
カレン「初めて会った時、私がプリンセスだって気づいて、彼、とても萎縮していたの」
カレン「それって、王家の人間が怖いからとか、そういうことだと思ったんだけど・・・」
ハンナ「彼は、王宮の関係者かもしれないってことですか・・・」
カレン「うん」
カレン「それに、王宮に慣れている感じだったし・・・」
ハンナ「確かに!」
ハンナ「変ですね・・・」

〇華やかな裏庭
フレデリック(恋愛小説家)「本当は何を考えて、どうしたいと思っているのか」
フレデリック(恋愛小説家)「誰しも、他の人には言えないことの1つや2つあるものです」
フレデリック(恋愛小説家)「それに気づけないからこそ、恋はすれ違ったり失敗したり・・・」
フレデリック(恋愛小説家)「それに気づけたときに、本当の意味で前に進めるんじゃないでしょうか?」

〇貴族の部屋
ハンナ「姫様!」
ハンナ「あの、これはあくまで可能性のひとつなんですけど・・・」
ハンナ「馬鹿げた話だと思われるかもしれないですけど・・・」
カレン「何、ハンナ?」
ハンナ「フレディさんが、ジーク王子だっていう可能性は・・・?」
カレン「はぁ!?」
ハンナ「あー、ありえないですよね!」
ハンナ「なんか、フレディさん、色々深いこと言ってたから──」
ハンナ「もしかして、とか、色々勘ぐっちゃって!」
カレン「・・・ありえる」
ハンナ「え!?」
カレン「いや、ありえない・・・?」
ハンナ「姫様、気にしないでください・・・?」
カレン(弱腰なところとか、恥ずかしがりなところとか、昔のジークに似てた・・・かも?)
カレン(もし何か、王宮に居られない理由があるなら・・・)
カレン「ありえないこともない──」
ハンナ「はぁ!?」
カレン「・・・かもしれないじゃん!」
カレン「ハンナ!フレディに会いに行こう!」
ハンナ「ひ、姫様〜!?」

〇ヨーロッパの街並み
ハンナ「姫様、フレディさんはどこにいるかご存知で?」
カレン「今から調べるの!」
ハンナ「え、まさか・・・」
カレン(さっきはあの本屋に居たから・・・)
カレン「ねえアナタ、ちょっといい!?」
町人「何だい?」
カレン「あのね、フレデリックっていう人を探してて・・・」
カレン「気が弱くて、赤毛で、こーんな目をしてて・・・」
町人「知らねーな。悪いな、ねーちゃん」

〇噴水広場
カレン「ねえ、貴女──」
カレン「人探しに協力してくれない?」
カレン「こういう人なんだけど・・・」
町人「知らないねぇ・・・」

〇西洋の市場
カレン「ねえ、貴方!人探しに協力してくれない?」
町人「貴女は──」
町人「もしや、カレンプリンセス──?」
町人「ひいい、どうか命だけは!」
カレン「ただの人探しだってば!」
町人「・・・!」
カレン「それでね、こんな人を探してて・・・」
町人「すみません、分からないです」
カレン「そう・・・」

〇ヨーロッパの街並み
カレン「ダメだ、全然見つからない・・・」
ハンナ「ですね」
ハンナ「そもそも、自身の小説が流行ってることを知らないなんて──」
ハンナ「・・・王都の端の方に住んでいるのかもしれないですね」
カレン「そっかぁ、それだと──」
カレン「いくら中心街で探しても見つからないよね・・・」
???「あれー??」
アルノ(宮廷画家)「グッドアフタヌーン、プリンセス☆」
カレン(ぜんっぜんグッドじゃないアフタヌーンですけどね)
アルノ(宮廷画家)「浮かない顔だね〜」
ハンナ「あ、アルノさん、姫様は今・・・」
カレン「あっ!!!」
カレン「ねえ、アルノ!」
カレン「アルノ、どこに住んでるって言ってたっけ!」
アルノ(宮廷画家)「王都の端の方ですけど・・・」
「それだ!」
カレン「フレデリックっていう人、知らない!?」
アルノ(宮廷画家)「フレデリック・・・?」
カレン「そう!赤毛で、こーんな目をしてて、」
カレン「気が弱くて、でも礼儀正しい感じの!」
アルノ(宮廷画家)「・・・・・・」
カレン(だめか・・・)
アルノ(宮廷画家)「ああ、フレディくんか!」
カレン「知ってるの!?」
アルノ(宮廷画家)「うん。孤児院のお兄さんでしょ?」
カレン「孤児院・・・?」
カレン(今朝の公務で行った孤児院は、フレディなんて人いなかったけど・・・)
カレン(でも、手がかりがそれしかないなら!)
  カレンはポケットに忍ばせたシロツメクサをぐっと握った。
カレン「彼のところに、連れてって!」
アルノ(宮廷画家)「ま、いいよ!」
「やった!」
アルノ(宮廷画家)「じゃあ、少し歩くけど・・・こっち」

〇古い洋館
アルノ(宮廷画家)「ここだよ」
カレン(やっとつきとめた、フレディの居場所!)
カレン「ここ・・・」
カレン(今朝の公務では来なかった孤児院だ・・・)
カレン(・・・王宮の管轄じゃないのかな?)
ハンナ「あの、なんて言いますか、少し・・・」
アルノ(宮廷画家)「うん、ボロい」
アルノ(宮廷画家)「王宮の人たちも忘れてるんじゃない?」
アルノ(宮廷画家)「ここにいる人達は、みんな訳アリだし」
カレン「訳アリ・・・?」
アルノ(宮廷画家)「そ。ま、何はともあれレッツゴー!」
ハンナ「姫様・・・」
カレン「大丈夫」
カレン「フレディはここにいるんだから!」

〇西洋風の部屋
アルノ(宮廷画家)「こんにちは〜☆」
孤児院の子ども「あ、アルノ!」
アルノ(宮廷画家)「よ!おこちゃまたち!」
孤児院の子ども「またお絵描き教えに来てくれたの?」
アルノ(宮廷画家)「いやいや。 今日はね、お客さん連れてきたんだ」
「こんにちは」
孤児院の子ども「お姉ちゃんたち、だあれ?」
孤児院の子ども「きれいなお洋服!かっわいい!」
アルノ(宮廷画家)「プリンセス、ハンナちゃん、チョット待っててね☆」
カレン「ええ・・・」
「お姉ちゃん、プリンセスなの?」
孤児院の子ども「すっげぇ〜!」
孤児院の子ども「本物のお姫様だぁ〜!!」
孤児院の子ども「プリンセスってことは・・・」
孤児院の子ども「ジーク様のお嫁さん!」
カレン「そうだよ」
孤児院の子ども「・・・ってことはさ、プリンセスはジーク様とラブラブなの?」
孤児院の子ども「プリンセスはジーク様とチューするの?」
孤児院の子ども「私はね、したよ! ジーク様のほっぺにチュって!」
孤児院の子ども「ジーク様は俺達のことだーい好きだもんな!」
孤児院の子ども「でも、プリンセスを世界で一番愛してるって言ってた」
孤児院の子ども「羨ましいなぁ、プリンセス!」
???「こらこら、お客様を困らせたらダメだろう」
「はーい、ごめんなさーい」
フレデリック(恋愛小説家)「もう部屋に戻って・・・て、」
フレデリック(恋愛小説家)「プ、プ、プ、プリンセス!?」
  その時、フレディの手からはらりと何かが落ちた。
カレン(シロツメクサ・・・?)

次のエピソード:第8話 ブルートという街

コメント

  • ええー❗❔これはすごい展開になってきましたね😆
    (完結してるのに言うのも変ですがw)続きがさらに気になってきましたー🤗

  • すごく気になる展開になってきました!
    カレンは町人におそれられてるんですね😅
    ジーク王子のお嫁さんだから…?

  • 王子の話がここで出てくるとは… しかも、氷の王子とは全員違う顔を見せてるみたいで…急展開ですね。

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