エピソード8 邂逅(脚本)
〇荒廃した市街地
モステア王国
城下町
雷光山で雷の神具、サンダーブレードを手に入れた紅蓮は、モステアの城下町まで戻ってきた。
紅蓮(雷火・・・ ここにも、戻ってきていない・・・)
紅蓮(くそっ、一体どうなってんだ!?)
紅蓮(風華は・・・無事だろうか?)
紅蓮(俺にもっと力があれば! 風華を守れたのに!)
紅蓮「・・・・・・・・・」
紅蓮(もしかして、カートってやつも、 こんな気持ちだったんだろうか?)
紅蓮(でも、だからって魔術の封印を 解いたのはダメだろ!!)
紅蓮「・・・ん?」
紅蓮「もしかして氷河じゃないか!?」
氷河「・・・・・・・・・」
氷河「うそだろ? 紅蓮?」
氷河「紅蓮じゃないか! なんで、こんなところに?」
紅蓮「そりゃーこっちのセリフだって!」
紅蓮「おまえは、ラジェンダから来たのか?」
氷河「仕事で近くにいたんだが、 モステアが崩壊したって聞いて・・・」
紅蓮「めちゃくちゃ久しぶりだな! 5年ぶりくらいか?」
氷河「紅蓮。俺はこのモステアの情報を知りたいんだが、何か知らないか?」
紅蓮「俺の知ってる範囲でよければ・・・」
紅蓮は、この惨事はセ=シルの子孫であるカートの仕業である事や魔術の事、
国王が殺害された事、王女が行方不明である事を伝えた。
氷河「そう、か・・・。国王が・・・。 それに王女も・・・」
紅蓮「俺が、もっと強ければ 風華を守れたのに・・・!」
氷河「え・・・」
氷河「おまえ、風華・・・ 王女と知り合いなのか?」
紅蓮「魔術を封じるために、一緒に旅してたんだ。だけど、雷光山でセ=シルの子孫に やられちまって・・・」
氷河「魔術を封じるため・・・?」
氷河「おまえ、もしかして、こういう宝玉を 持っていないか?」
氷河が取り出したのは、水色に輝く宝玉
だった。
紅蓮も、自分の宝玉を取り出し、
互いに確かめあった。
紅蓮「えっ!? じゃあ、 おまえもアイ=リーン様の子孫!?」
水の使い手 氷河《ひょうが》
紅蓮「おまえがいれば、心強いな! 風華と雷火と合流できれば、これで4人だ!」
氷河「雷火?」
紅蓮「途中で仲間になった雷の使い手なんだけどさ、雷光山ではぐれてしまったんだ」
紅蓮「神具の祠でセ=シルの子孫の攻撃を受けて、忽然といなくなったんだよ」
紅蓮「なんかこう・・・ 人を探すいい方法はないかな?」
氷河「うーん・・・」
氷河「ヒュートリーに、腕のいい占い師がいると聞いた事がある。それで占ってもらえば・・・」
紅蓮「ヒュートリー!? クイクから船で数日はかかるぞ!?」
氷河「仕事柄、転移の羽だけはたくさん持ってるんだ。クイクまでならひとっ飛びだ」
紅蓮「いや、これ結構高価だろ!?」
氷河「さっきの情報料として、やるよ」
紅蓮「そりゃ、ありがたいけど・・・」
紅蓮「って、おまえは来てくれないのか?」
氷河「ちょっと仕事が残っててな。もう少し情報を集めたら、一旦ラジェンダに帰る。 合流は、その後でいいか?」
紅蓮「まあ、いいけど・・・合流はどこで? 俺たちは多分、仲間を探しに世界中をまわる事になる」
氷河「じゃあ、頃合いを見てラジェンダに迎えに来てくれ。しばらくは家にいると思う」
紅蓮「わかった。必ず迎えに行く」
そう言って、氷河は城の方へ歩いて行った。
紅蓮(あいつ、情報を集めてるって言ってたな・・・。今、なんの仕事してるんだ?)
???「ぐれーーん!!」
紅蓮「ふっ・・・」
紅蓮「風華!!」
紅蓮「良かった〜。良かったよ〜」
風華「もう、紅蓮ったら。 あなたも、無事で良かったわ」
紅蓮「大丈夫か? セ=シルの子孫に 酷い事とかされなかったか?」
風華「大丈夫よ。何もされていないわ。 何故だかわからないけど、1人の人が逃がしてくれたの」
風華「そういえば、雷火は?」
紅蓮「戻ってきてると思ったんだが、 いないんだ・・・」
風華「一体、どうしたのかしら・・・? 無事でいるといいけど・・・」
???「おーい、お二人さん。 感動の再会は終わったかい?」
紅蓮「えーと?」
風華「紅蓮、紹介するわね。 私たちの仲間の、吹雪よ」
紅蓮「新しい仲間!?」
吹雪「よう、よろしくな」
紅蓮「お、おう。よろしく。 俺は紅蓮だ」
風華「アクイアナの町で、ちょっといろいろあって、吹雪に助けてもらったのよ」
紅蓮「へ、へーっ、そうなんだ」
紅蓮「そういえば、さっき俺も昔からの友人に会ってさ。そいつも、アイ=リーン様の子孫だったんだ!」
風華「え、そうなの!? その人は、今どこに?」
紅蓮「仕事が残ってるから、後日合流するって。 そういえば、城の方に歩いていったな」
吹雪「そいつの名前は?」
紅蓮「氷河だ。 水の宝玉を持ってた」
風華「氷河・・・? 紅蓮、その人は、お城に行ったのね?」
紅蓮「多分な。情報を集めてるって言ってたから、誰かに話を聞きに行ったんじゃないか?」
風華「私たちも、行きましょう!」
紅蓮「え? あ、風華!」
吹雪「どうしたんだ・・・?」
紅蓮「さあ・・・?」
〇巨大な城門
モステア城
兵士長「風華様! お帰りなさいませ! 遅いので心配いたしました!」
風華「兵士長! ここに、氷河という人は 来ませんでしたか!?」
兵士長「その方なら、城の者や避難民に話を 聞いて、先程立ち去られましたよ」
風華「兵士長、 あなたは、覚えていないのですか!?」
風華「その方は、8年前にこの国を去った 王子・・・私の兄ですよ!」
「え、ええええええっ!?!?」
兵士長「も、申し訳ありません、風華様。ご命令と あらば、すぐに追いかけますが・・・?」
紅蓮「いや、そいつは無理だ。用が済んだら、転移の羽でラジェンダに帰ると言っていた」
風華(お兄様・・・)
〇王宮の広間
モステア城 城内
城内は、変わらず避難民でひしめき合っていた。
風華(あら・・・?)
風華(気のせいかしら? 数日前より、怪我人が減っているような・・・?)
風華(この短期間に、なぜ・・・?)
老婆「ありがたや、ありがたや・・・」
風華「何か、いい事でもあったのですか?」
老婆「ああ、風華様・・・! 先程、王子に似た人が、不思議な力で私の怪我を治してくださったんです・・・!」
風華「え・・・?」
風華(お兄様の、水の治癒の力・・・!)
老婆「あの方は、怪我人に声をかけてくださって、本当に、ありがたいことです・・・」
風華(お兄様、ありがとう・・・)
風華(ああ、私も宝玉があれば、 治癒の力を使えるのに・・・!)
風華(・・・・・・・・・)
風華(悲観してる場合じゃない。 神具を取りに行かないと・・・)
風華は、避難民たちに声をかけ励ましながら、宝物庫へ向かった。
飄々としていいキャラだと思ったらお兄様!!
雷火、やっと合流できるのかな。アイ=リーン様の子孫側も集まってきましたね🎵
えー!何か含みのあるキャラだと思っていたら。なぜ放浪してるのかしら。
次回、ようやく雷火の行方がわかるのですね!
お兄様!!
いい感じのポジションの新キャラ登場に、ワクワクしています♪