《エデン》

草加奈呼

エピソード9 闇の真意(脚本)

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草加奈呼

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〇暖炉のある小屋
  ?????
  
  小屋の中
雷火「・・・いてっ」
  雷火は、痛みで目が覚めた。
雷火「・・・どこだよ、ここ・・・」
雷火(たしか、セ=シルの子孫と闘って、 それで・・・)
雷火(受け身を取ろうとしたけど、 吹っ飛ばされたような気がする)
雷火(怪我も手当してある。 紅蓮か風華が・・・?)
雷火(情けないなぁ、オレ・・・)
雷火「え、だ、誰・・・?」
雷火「ど、ども・・・」
雷火「あの・・・、オレ・・・ き、君が助けてくれたのかな?」
レスト「・・・・・・・・・」
雷火「ここは、どこなんだ?」
レスト「・・・・・・・・・」
雷火「オレ、雷火って言うんだけど、 君の名前は?」
レスト「・・・・・・・・・」
レスト「・・・レスト」
雷火(あ、ようやくしゃべった・・・)
雷火「ここは、君の家?」
レスト「ちがう。わたし、家なんてない」
レスト「ここは、借り物。 あなたを、見つけたから」
  レストは、雷火の胸に手を当てると、
  静かに祈り始めた。
雷火「え・・・痛みが引いた・・・?」
雷火「すげー! 今の、なに!?」
レスト「おまじない。 怪我、良くなる」
雷火(あ、ちょっと笑った・・・?)
雷火(・・・あれ、でも、 今の”おまじない”って・・・?)
  雷火は、身支度しようと寝台から降りようとした。
レスト「まだ、だめだよ」
雷火「でもオレ、仲間を探さないと。 時間がないんだ」
レスト「・・・・・・・・・」
雷火「あれ?」
雷火「な、なあ。 オレの荷物の中に、こんくらいの玉が 入ってたと思うんだけど、知らないかな?」
レスト「これ?」
雷火「そう! その袋の中身! 大事なものなんだ、返してくれないか?」
レスト「・・・・・・ダメ」
雷火「え・・・?」
レスト「だって、これ返したら、 カート、いなくなる・・・」
雷火「やっぱり、おまえは・・・!」
  雷火は、傍に置いてあった剣の柄を取った。
レスト「どうしたの? わたしを、斬るの・・・?」
雷火(くそっ! 戦意がまったくない・・・!)
雷火「・・・・・・・・・」
雷火「どういう、つもりなんだ・・・?」
レスト「カート死んだら・・・、 わたしたち、生きていけない。 だから、代わりの風を探すの」
レスト「ううん、つくるの。 ・・・・・・新しい子孫を」
雷火「なっ・・・・・・!!」
レスト「だから、カート探すまで、 待っててくれないかな。 魔術の封印は、それからでもいいよ」
雷火「バカな! それまでに、 この《エデン》は滅びるぞ!!」
レスト「どっちみち、わたしたち、 生きられないし・・・」
雷火(『つくる』って・・・ つまり、そういう事だよな・・・? いくらなんでも、無茶すぎるだろ)
レスト「相手は誰でもいい。普通の人でも。 でも、確実じゃないから」
レスト「だから、あの人にお願いしようと 思ってたけど、レイノスが逃がした・・・」
雷火(まさか・・・ あの時、セ=シルの子孫が風華を・・・)
雷火「風華に何かしたのか!?」
レスト「逃げちゃったし・・・」
雷火「・・・・・・・・・」
雷火「オレは、ずっとじっちゃんから聞かされていた。俺たちはアイ=リーンの子孫で、魔術を封印する義務があると」
雷火「セ=シルの子孫と対立していると。 オレには、おまえたちの考えがわからない。それしか方法を知らないんだ!」
雷火「だから・・・」
レスト「・・・考えてないだけ」
レスト「あなたたち、考えてないだけ。レグルス様は、敵対しない方法、何年も考えた」
レスト「あなたたちも考えて。なぜ、わたしたちが敵対しなければならないのか・・・」
  レストは宝玉を袋に入れて雷火に返した。
  仄かに帯びていた熱気が、さらに熱くなっているような気がした。
レスト「それと、これを持って行って」
  それは、何重にも鎖の繋がれた、50センチほどの箱だった。何かを封印されているようにも見える。
雷火「これは?」
レスト「あなたたちが探している、 シングというもの、らしい」
レスト「レグルス様が、まだわたしたちと 出会う前に、旅先で見つけたと言ってた」
レスト「持ち主以外は普通に触れないから、 封印、してある」
雷火「ま、待てよ。 なんでオレたちに味方してくれるんだ?」
レスト「別に、味方してるわけじゃない」
レスト「魔術はどのみち封印しなければならないから。それは、あなたたちにしかできないこと」
雷火「・・・・・・・・・」
レスト「気に、いらない・・・?」
雷火「・・・・・・・・・」
雷火「オレ、行くよ。仲間を探して、 カートを探す。助けてくれてありがとう」
雷火「でも、これからは敵同士になるかも しれない・・・。 オレ一人じゃ、決められないから・・・」
レスト「・・・・・・・・・」
レスト(本当に、これで良かったのですか・・・? レグルス様・・・)
レスト(わたしたちは、正しいのですか・・・?)

〇森の中
雷火「し、しまったー!」
雷火「さっきのヤツに道尋ねるの忘れてた!!」
雷火「かんっっぜんに迷ったーーーー!!」
  前途多難!
  どうなる、雷火!?

次のエピソード:エピソード10 船旅

コメント

  • 雷火は戦略的に身を隠したのかと思ってたら、普通にお星さまになってたんですねwww
    拾われていた場所が意外でした。レストは口数が少ないので推察力が求められますね。「シング」とカタカナになった時点でしばらく「?」となったり、雷火に子作り依頼!?となったりしたわたしの脳がヤバい。がんばれ。

  • 無事で良かった!
    そして迷子の雷火w可愛いですね😆
    各々の事情とやらねばならない事が見えてきて、なるほど~と思ってます。片側からだけでは見えないものも多いですね。

  • おお、行方が気になってた雷火くん無事だったー♪
    両サイドから書かれると、本当に単純に「敵」なんで思いづらくなりますね。

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