エピソード6 真意と虚偽(脚本)
〇牢屋の扉(鍵無し)
セ=シルの子孫の隠れ家
風華「・・・はっ!」
風華「こ、ここは・・・?」
風華「もしかして私、あのセ=シルの子孫に ・・・?」
風華は、ドアノブに手をかけたが、予想通り鍵がかかっていた。
風華(紅蓮と雷火は・・・? 無事なの・・・?)
風華が思案していると、レイノスが入ってきた。
風華「これを、私に?」
レイノス「(・・・こくり)」
風華「毒や自白剤などが入ってるとか?」
レイノス「(・・・ふるふる)」
風華「あ、ありがとう・・・」
風華「あなたも、セ=シルの子孫なの?」
レイノス「(・・・こくり)」
風華「私と一緒にいた、紅蓮と雷火は? ここにいるの?」
レイノス「(・・・ふるふる)」
風華(私だけ、ここに連れて来られたのね・・・ 無事でいるといいけど・・・)
レグルス「席を外せ」
レイノス「・・・はい」
風華「カート・・・ あなたと言う人は・・・っ!! 私の宝玉を返して!!」
レグルス「フッ・・・ 私は、そんなにカートと似ているか?」
風華「えっ・・・?」
風華(よく見ると違う・・・! 髪や瞳の色が・・・それに、なんて 冷たい目をしているの・・・!?)
レグルス「・・・さて。 お初にお目にかかる、プリンセス風華。 君のことは、カートからよく聞いているよ」
風華「あなたは・・・?」
レグルス「私の名はレグルス。闇の一族の長にあたる。カートは、私の弟だ」
風華「カートの、お兄さん・・・」
風華「私を、どうするつもりですか?」
レグルス「どうもしない。だが、我々に協力して欲しい。カートのことは知っているだろう? 魔術の封印を解いたことを・・・」
風華「協力・・・?」
レグルス「魔術の封印を解いてしまっては、カートの身はいずれ滅びる。魔術に支配されながら生きていくのだ」
レグルス「そうなってしまっては、もう我々の「風」の役目を果たすことはできない」
レグルス「そこでだ。 君に闇の一族の「風」になってほしい」
風華「なんですって? そんな事が・・・」
レグルス「できるのだよ。アイ=リーンもセ=シルも関係ない。ただ「風」を司る力さえあれば、それは誰にでも可能なことなのだよ」
レグルス「さあ、カートに少しでも責任を感じて いるのなら、私の願いを聞き届けては くれないか?」
風華「ふざけ・・・ないで・・・」
風華「私のカートに対する責任は、 カートを殺すことです!! それ以外の何物でもありません!!」
レグルス「ふふ・・・」
風華「何がおかしいのです?」
レグルス「いや・・・? 気丈なところもそっくりだと思ってな」
風華「・・・・・・?」
ウィル「レグルスっ、やっぱりここにいた」
レグルス「ウィルか。 何をしに来た?」
風華(綺麗な人・・・ この人も、セ=シルの子孫?)
ウィル「レグルス、僕、 お姫様と2人で話がしたいな♪」
風華(えっ・・・? 『僕』? そういえば声が・・・・・・)
風華(えーっ!? 男の人!?!?)
レグルス「好きにしろ」
ウィル「レグルス、君になんか言っただろ? 『闇の一族になりませんか』とか?」
風華「・・・・・・・・・」
ウィル「君たちにとっては、平和の女神アイ= リーンが長で、僕たちにとっては闇を司る レグルスが長なんだよね」
ウィル「べつにセ=シルが闇ってわけじゃないのに、これはどういうことだろうね?」
風華(彼からは、敵意を感じない・・・ セ=シルの子孫でも、いろんな人が いるんだわ)
ウィル「僕はセ=シルの子孫で光の能力を持ってるけど、闇の一族になった覚えはないよ。 ・・・かといって光の一族でもないんだけど」
ウィル「結論から言っちゃうとさ、光とか 闇とかってカンケーないんじゃない?」
ウィル「でも僕はレグルスが好きだから、 こっちにいるわけなんだけど」
ウィル「この世の未来に興味なんてないけどさ、 レグルスには協力したい。だから、 僕はレグルスの意志に従うんだ」
ウィル「・・・でも君は、ここが好きじゃなかったら、ここにいるべきじゃないね。 レグルスには悪いけど」
風華「私は・・・」
風華「私は、カートが好きでした。 たぶん、今も・・・」
風華「もしカートがここにいたら、 ここで生活していたら、あなたは 私がここにいるべきだと言いますか?」
ウィル「どうだろうね? それは君が決めることだよ」
風華「私たちは、カートを、魔術を封印 しようとしています。もしそうなったら、 セ=シルの子孫の均衡は崩れてしまう」
風華「それなのに、あなたは何故、 そんなにも笑顔でいられるの・・・?」
ウィル「言っただろう?」
ウィル「僕はレグルスが好きだから、 レグルスの意志に従うって」
風華「レグルスの意志とは・・・ 先程の・・・?」
ウィル「んー・・・ レグルスは真意をなかなか見せないから わかんないや」
ウィル「ごめんね、長話しちゃって。 僕、もう行くけど」
風華「ううん、あなたとお話できて良かった。 少しだけ、気持ちの整理がついたわ」
ウィル「そう? それなら良かった」
風華(さて、これからどうしよう・・・?)
風華(なんとか、ここから脱出して、 紅蓮と雷火を探さないと・・・)
〇牢屋の扉(鍵無し)
夜になり、再びレイノスが食事を持ってきた
風華「あ、ありがとう・・・」
レイノス「(に げ ろ)」
風華(・・・えっ?)
風華(今・・・ 『逃げろ』って言ったの・・・?)
風華「じゃあ、この食事は・・・?」
食事の皿の下に、紙切れが挟まっていた。
紙切れには、ここから最寄りの町までの、簡単な地図が書かれていた。
風華(この町・・・ ジェストール国境の町ね。ここに行けば 大臣に会えるかも・・・!)
風華「でも、逃げると言ったって、 扉には鍵が・・・」
風華(開いてる・・・! もしかして、さっき鍵を閉めなかった?)
風華(このチャンスを逃したら、もう二度と 逃げられないかもしれない・・・ よし、行こう!)
風華は、セ=シルの子孫の隠れ家を後にした。
〇魔王城の部屋
セ=シルの子孫の隠れ家
会議室
レグルス「そうか、逃げたか・・・」
レイノス「はい、すみません・・・」
レグルス「フフ、まあいい。 次の手筈を整えよう」
〇森の中
???の町外れ
森の中
風華「ハァ、ハァ・・・」
風華(逃げ出してきたのはいいけど、 この方向で合ってるのかしら・・・?)
〇荒野の城壁
ジェストール国境
アクイアナの町
風華(見えた・・・! アクイアナの町の要塞・・・)
風華(ここに、大臣がいるといいけど・・・)
風華は、疲れ果てて膝をついた。
兵士「おい、大丈夫か?」
風華「すみません・・・」
兵士「あんた、一体どうしたんだ? そんなボロボロで・・・」
兵士「今、モステアが大変なことになっていて、国境のこの町では警備が厳しくなっているんだ」
兵士「あんたみたいな人がうろついていると、 何もしていなくても牢屋に入れられるぞ」
風華「どこか、 休めるところはないですか・・・?」
兵士「う~ん・・・。残念だけど、勝手に 町に入れるわけにはいかないんだ」
兵士「おい! そこで何やってるんだ!」
兵士「あ、いや、その・・・」
兵士「うん? なんだそいつは?」
兵士「その・・・、行き倒れというか、 町に入りたいみたいで・・・」
兵士「馬鹿もん! 怪しい奴はすべて 牢屋に入れておけと言っただろう!」
兵士「で、でも、女の子ですよ?」
兵士「老若男女問わず! 連れて行け!」
風華は抵抗する間もなく、牢屋に入れられてしまった。
〇牢獄
アクイアナの町
収容所
風華(有無を言わさず牢屋に入れられて しまった・・・)
風華(町に入れたのはいいけど、これじゃあ さっきと変わらないわ・・・)
他の牢には、怪しい者たちがたくさん入れられていた。慣れているのか、思ったよりも和気藹々としている。
よ~う、かわい子ちゃん、
こっち来ねえか~
ば~か。どうやって行くんだよ~
牢屋は怪しい人物がいっぱいで入りきらないのだろう、すべてが相部屋となっていた。
風華の背後にも、何者かの影があった。
この牢屋は、まだ人数が少なかったのか、
その影の人物のみであった。
あんた・・・・・・。
何しでかしたんだ・・・・・・?
部屋の隅にいた影の正体は、銀髪で目つきの鋭い青年だった。
彼は、敵か味方か────?
登場人物がみんな魅力的でとても良いですね!!!!!!
個人的にウィルが・・・新しいトキメキの扉を開いてくれそうです・・・・・・女より美しい男・・・・・
好きな人にはどんな感じになるのか・・・ストーリーも気になりますし、ウィルの今後も気になりますぅ!!!
うう~ん。風華ちゃんはまた囚われの身に…。
銀髪さんは助けになってくれるのでしょうか。
レイノスはどんなつもりで……?
風華は不運なようで不運じゃなさそうなので、銀髪のお兄さんに期待してます。