姫様は冷徹王子の溺愛をご所望です

朝永ゆうり

第6話 お茶会で作戦会議!?(脚本)

姫様は冷徹王子の溺愛をご所望です

朝永ゆうり

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〇貴族の部屋
  公務から帰ってきたカレン。
  フレデリックにサインを入れてもらった、
  ハンナへのプレゼントを眺めていた。
カレン(ハンナ、喜んでくれるかな?)
ハンナ「姫様姫様姫様〜!!!」
カレン「あ、ハンナ」
カレン「ジークは?」
ハンナ「今日はお部屋から出られないそうです!」
ハンナ「そんなことより──」
カレン「あ、これ。お土産」
ハンナ「姫様、これは・・・」
カレン「公務の帰りに寄った本屋さんで、たまたま作者のフレデリックって人に会って──」
カレン「サインしてもらったんだ!」
ハンナ「え、すご!姫様!え!」
ハンナ「フレデリックさんは、誰もその素性を知らない謎の作家で──」
ハンナ「恋多きイケメンなんじゃないかって巷では囁かれてるんです!」
ハンナ「どんな方でした!?」
カレン「えっと・・・」

〇古書店

〇貴族の部屋
カレン「何ていうか・・・」
カレン「普通の優しそうな青年って感じで・・・」
ハンナ「優しそうな青年・・・」
カレン「あ、あと──」
カレン「ハンナに似てた!」
ハンナ「そ、そんな似てるだなんて・・・」
カレン(良かった〜、ハンナ喜んでくれて!)
カレン「そういえば、ハンナなんか言いかけてたよね・・・?」
ハンナ「あー・・・」
ハンナ「それは、もういいんです!」
ハンナ「それより、こんな素敵な本を姫様に頂いてしまいましたし──」
ハンナ「改めて、作戦会議しなくっちゃですね!」
カレン「ハンナ、ありがとう!」
カレン「さて・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
カレン「甘えるのはおろか、会うこともままならない・・・」
カレン「これ以上どうやってアピールすればいいの〜!?」
ハンナ「姫様、気休めにしかならないかもしれませんが──」
ハンナ「気分転換に、お庭でお茶でもどうです?」
カレン(・・・確かに、気分を変えるのは大事か)
カレン「うん、そうする!」
カレン「ハンナ、同席してね!」
ハンナ「・・・はいっ!」

〇華やかな裏庭
ハンナ「姫様、どうぞ」
カレン「ありがとう。ハンナも座ってよ!」
ハンナ「え、本当に同席しても・・・?」
カレン「もちろん!」
カレン「ハンナっていう話相手がいるのに、一人で座ってお茶すすってるなんて滑稽だし──」
カレン「ハンナは友達でしょ!」
ハンナ「姫様・・・」
カレン「なんか、懐かしいな」
カレン「あれから、まだそんなに経ってないけど・・・」
ハンナ「ええ、そうですね・・・」

〇貴族の部屋
  これは、
  カレンが王宮へ嫁いできた日のこと──
ハンナ「カ、カ、カ、カレン姫!様!」
ハンナ「ほ、ほ、ほ、本日より!」
ハンナ「姫様の!お、お世話係に・・・」
カレン「っぷ!」
カレン「あ・・・ごめんごめん」
カレン「緊張しいなんだ?」
ハンナ「え?あ?あの・・・はい・・・だって・・・」
ハンナ「あのジーク王子と、ご結婚されたお方と聞きまして・・・」
カレン「ジークと、結婚・・・ね」
ハンナ「ひ、ひ、姫様!」
ハンナ「私で、よければ!そ、その・・・」
ハンナ「悩み事、とか、相談事、とか・・・」
ハンナ「何でも聞かせていただきます!」
カレン「・・・・・・」
カレン「ふふっ!」
ハンナ「はっ!」
ハンナ「し、失礼しました、私、なんて無礼なことを──」
カレン「ねえ、ハンナ?」
ハンナ「は、はい!」
カレン「これからよろしくね!」
  カレンはハンナの肩をトンっと叩き、笑顔を向けた。
ハンナ「はい!」

〇華やかな裏庭
カレン「ハンナが私のメイドで良かったよ」
ハンナ「姫様・・・」
カレン「ううん、メイドじゃない。友達」
カレン「あれから、色んなこと話したけど──」
カレン「そのたびにいつも、私の気持ちを大事にしてくれるよね」
カレン「ハンナだから、つい話しちゃうこともあるし──」
カレン「ハンナ、本当にいつもありがとう」
ハンナ「姫様ぁ・・・」
ハンナ「ハンナ 私、姫様のお側にいられて、本当に・・・」
カレン「フレディ!?」
ハンナ「はい、フレディでございま──」
ハンナ「フレディって何です?」
カレン「だから、フレディだよ! フレデリック=リーベン!」
ハンナ「フレデリック・・・リーベン・・・!」
フレデリック(恋愛小説家)「プリンセス!」
カレン「やっぱり、フレディだ!」
カレン「フレディ、こちら、さっき話した私の友達で・・・あなたの、ファン」
ハンナ「どどど、どうも・・・ハンナです」
ハンナ「いつも、楽しく・・・拝読させて・・・頂いてます・・・」
フレデリック(恋愛小説家)「わぁ・・・」
フレデリック(恋愛小説家)「フレデリック=リーベンと申します!」
  フレデリックは感激の余り、ハンナの手をとり上下にぶんぶん振った。
フレデリック(恋愛小説家)「僕の本、気に入ってくれてるんでしょ!」
フレデリック(恋愛小説家)「君で二人目!ほんっとうに嬉しい!」
ハンナ「は、はぁ・・・」
カレン「あのさ!フレディ!」
フレデリック(恋愛小説家)「は、はいっ!」
カレン「そんなにかしこまらなくていいんだけど・・・」
フレデリック(恋愛小説家)「で、ですが・・・」
カレン(本当、ハンナにそっくり)
カレン「さっき話した、恋の相談・・・」
カレン「今、時間あったらしたいんだけど」
フレデリック(恋愛小説家)「あ、いやぁ・・・」
フレデリック(恋愛小説家)「あの、その、・・・」
カレン「忙しい?」
フレデリック(恋愛小説家)「いや、別に忙しくは・・・」
カレン「なら、いいじゃん!座って!」
フレデリック(恋愛小説家)「ええ〜!?」

〇華やかな裏庭
  ────
カレン「・・・それでね、」
カレン「近寄るなオーラに、手紙は無視」
カレン「もう、どうしたらいいか分からなくて」
フレデリック(恋愛小説家)「それで、プリンセスはお悩み、ということですか」
カレン「わ、私じゃなくて、ハンナがね!」
ハンナ「・・・」
フレデリック(恋愛小説家)「ハンナさん、失礼を承知で言いますが、僕が思うに・・・」
フレデリック(恋愛小説家)「あなたは、人の表面しか見ていないのでは?」
ハンナ「え?」
カレン「人の、表面・・・?」
フレデリック(恋愛小説家)「僕の話で恐縮ですが──」
フレデリック(恋愛小説家)「小説を書くときに大切にしていることは、人の心の奥深く」
フレデリック(恋愛小説家)「本当は何を考えて、どうしたいと思っているのか」
カレン「本当の、考え・・・?」
フレデリック(恋愛小説家)「誰しも、他の人には言えないことの1つや2つあるものです」
フレデリック(恋愛小説家)「それに気づけないから、恋はすれ違ったり失敗したり・・・」
フレデリック(恋愛小説家)「だからこそ、それに気づけた時に、本当の意味で前に進めるんじゃないでしょうか?」
フレデリック(恋愛小説家)「なんて、何も知らない僕が言えることじゃないですけどね」
カレン(他の人には言えないこと、か・・・)
カレン「ううん、ありがとう、フレディ!」
フレデリック(恋愛小説家)「こんなことで御役に立てるなら光栄です」
フレデリック(恋愛小説家)「では、僕はこれで」
ハンナ「あ、あの!」
ハンナ「これからも・・・応援、しています!」
フレデリック(恋愛小説家)「ありがとう」
ハンナ「フレディさん、なんだかいい匂いしましたね・・・」
ハンナ「あんな風に、人の心を拾える男性って素敵ですね〜姫様〜♪」
ハンナ「姫様・・・?」
カレン「ハンナ、これ・・・」
  フレデリックの座っていた椅子に落ちていた、1輪のシロツメクサの花。
  少し色あせたそれは、おそらく摘んでから時間の経ったもの。
カレン「・・・私が摘んだやつ、かなぁ」
ハンナ「え?」
カレン「そんなわけ、ないか!」
カレン(そう言えば、フレディはどうして王宮に?)

次のエピソード:第7話 シロツメクサの持ち主

コメント

  • ハンナはフレディ派…?
    まさかウェルナーと三角関係に…?😅

  • ハンナとの付き合い、てっきり実家からと思っていたら、意外に短いんですね!短期間でこんなに仲を縮められるなんて、姫のフレンドリーパワーはすごいなぁ。
    フレディは何してたんでしょうね。アドバイスは的確ですが……ジークが彼の本を読んでいたっぽいのと関係してるのかな?

  • フレディ、何故宮廷にいたのかが気になります。そして、ハンナはウェルナーのことはそうでもなかったのかとか、こっちで三角関係とか成立しそうとか思ってしまいました。まさか敵のスパイ…?あんな人の良さそうな青年が。色々想像させられました。

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