君の瞳は100万ポンド

結丸

逃げるが勝ち(脚本)

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〇実家の居間
氷見 怜士「おい、こんなとこで寝んなよ」
篠野 大助「ハハ、腹いっぱいになって寝落ちか。 まだまだ子供だな」
氷見 怜士「ま、実際子供みたいなもんだしな」
篠野 大助「・・・そうだな」
  氷見は天音の身体を抱き上げた。
氷見 怜士「部屋に寝かせてくる」
篠野 大助「おう」
篠野 大助「・・・・・・」

〇平屋の一戸建て
氷見 怜士「雨、いつのまにか止んでたな」
篠野 大助「・・・・・・」
氷見 怜士「どうした? 中、入れよ」
篠野 大助「本当にいいのか?」
篠野 大助「俺を味方に引き込もうだなんて──」
氷見 怜士「完全に味方だとは思ってない」
篠野 大助「・・・だよな」
氷見 怜士「でも、天音の存在を知られた以上 野放しには出来ない」
篠野 大助「・・・・・・」
氷見 怜士「だから、あんたを監視しつつ戦力にする」
篠野 大助「戦力?」
氷見 怜士「西園寺家の情報、あんたがいれば手に入る だろ?」
篠野 大助「・・・俺は下っ端だぜ?」
氷見 怜士「でも、西園寺家側だろ。 いざとなれば内部に潜り込むことも──」
篠野 大助「お、おい! 俺にスパイさせる気か?」
氷見 怜士「それとも、西園寺にまだ忠誠心があるのか?」
篠野 大助「そんなんじゃねえよ。 ただ──」
氷見 怜士「じゃあ決まりだな」
篠野 大助「チッ・・・」
氷見 怜士「まぁとにかく、あんたを側に置いてくことでこちらからも手を打つことが出来る」
篠野 大助「・・・俺にメリットは?」
氷見 怜士「西園寺家からあんたを守ってやるよ」
篠野 大助「は?」
氷見 怜士「俺の側にいれば、な」
篠野 大助「・・・はっ」

〇実家の居間
篠野 大助(氷見やお嬢ちゃんには何の恨みもねぇけど、 スパイやらされんのはちょっとな・・・)
篠野 大助(ま、いざとなりゃ安全なほうに転がりゃいい よな)
  不意にバイクのエンジン音が聞こえた。
篠野 大助「ったく、うるせぇなぁこんな時間に・・・ 俺が非番でよかっ──」
篠野 大助「・・・・・・」
篠野 大助「やられた!!!!!!!!!!!!」

〇線路沿いの道
  氷見は天音を後部座席に乗せ、
  夜道を駆け抜けていた。
氷見 怜士「おい、しっかりつかまってろよ」
西園寺 天音「う、うん・・・」
西園寺 天音「っていうか、あの人は?」
氷見 怜士「あー・・・まぁ、色々あってさ」
西園寺 天音「またそうやって・・・ ちゃんと説明してよ」
氷見 怜士「・・・・・・ 分かったよ」
氷見 怜士「実は、家に帰ってすぐに──」

〇広い玄関
篠野 大助「はぁ・・・ またあの芝居をしなきゃいけねぇのか」
氷見 怜士「いや、あれはもう勘弁してくれ。 笑い堪えるの辛いから」
篠野 大助「まぁ、シレッと記憶が戻ったテイにすれば いいか・・・」
氷見 怜士「それより・・・」
  氷見は篠野の制服を指差した。
氷見 怜士「それ、着替えてほしいんだけど」
篠野 大助「あ?」
氷見 怜士「そんなカッコじゃ落ち着かないだろ。 あんたも、俺も」
篠野 大助「まぁ・・・それもそうか」
  篠野は制服を脱いだ。
篠野 大助「当然、何か貸してくれるんだよな?」
氷見 怜士「ああ。 施術した部屋に置いてるの、適当に着てくれ」
篠野 大助「ふーん? じゃ、借りるぜ」
氷見 怜士「・・・・・・」
  氷見は制服を手にすると、足音を立てずに
  外へ出た。

〇平屋の一戸建て
  氷見は制服を車の中に放り込んだ。
氷見 怜士「・・・よし」

〇線路沿いの道
西園寺 天音「待って、理解が追いつかないんだけど」
氷見 怜士「制服ってな、紛失防止のためにGPS仕込まれてることがあるんだよ」
西園寺 天音「・・・!!」
氷見 怜士「なんとか利用してやろうかと思ったけど、 GPSあったならあの家がバレるのも 時間の問題だし・・・」
氷見 怜士「それにアイツ、すぐにこっちに尻尾振って きたからな。 そういう奴はまた裏切るんだ」
西園寺 天音「そう・・・」
氷見 怜士「何だよ、アイツと仲良くしたかったのか?」
西園寺 天音「違う、そっちじゃなくて──」
氷見 怜士「ああ、お前の貴重品ならちゃんと回収してるから安心していい」
西園寺 天音「お家のことだよ」
氷見 怜士「え?」
西園寺 天音「だって、あのお家は・・・ 氷見さんが育ったお家でしょ?」
西園寺 天音「ご両親と暮らした・・・」
氷見 怜士「・・・・・・」
氷見 怜士「いいんだよ、別に。 あの家に思い出なんてない」
西園寺 天音「でも──」
氷見 怜士「少し飛ばすぞ」
西園寺 天音(氷見さん、どうして・・・ どうしてそこまで私を守ってくれるの?)

〇平屋の一戸建て
警察官A「ここか・・・」
警察官B「一気に行くぞ」
  警察官らは目配せをして、
  銃を片手に玄関を開けた。
警察官A「・・・・・・」
警察官B「・・・・・・」
篠野 大助「・・・おっす」
警察官A「お前──」
  突然、外から大きな爆発音が聞こえた。
警察官B「!?」

〇平屋の一戸建て
  警察官たちが外に出ると、炎上した車の炎が家に燃え移ろうとしている。
警察官A「か、火事だ! 早く消防車を──」
警察官B「バカ、そんなことしたらオレらの動きが バレるだろ!」
警察官A「だけどこのままじゃ家が! 西園寺天音の証拠も──」
篠野 大助「やばい、壁が崩れてきた!」
警察官A「!! 逃げるぞ」
警察官B「・・・仕方ない」
篠野 大助(・・・アイツ、ここまでやるのかよ)

〇開けた高速道路
氷見 怜士「・・・・・・」
西園寺 天音「? 何、そのスイッチ」
氷見 怜士「んー? なんでもない」
  氷見はスイッチを投げ捨てた。
西園寺 天音「あっ!」
氷見 怜士「もう用済みだ」
西園寺 天音「ポイ捨てしちゃダメじゃない!」
氷見 怜士「痛っ!! ちょ、叩くなって──」
西園寺 天音「私ポイ捨てする人嫌い!」
氷見 怜士「わ、悪かったから! ってか暴れると危ないって!」
西園寺 天音「うるさい!」
氷見 怜士「勘弁してくれよ・・・」
  氷見は天音の攻撃を受けながら、
  ひたすらバイクを走らせた──。

次のエピソード:交錯する想い

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