死神に出会ったギャルの寿命はあと24時間でした

山﨑歩帆

第三話 華の傷(脚本)

死神に出会ったギャルの寿命はあと24時間でした

山﨑歩帆

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〇女性の部屋
  雪の涙は一向に止まる気配がない。
タロスケ(華さん、ほんの少しですが、彼女から発せられる光が弱まったようです)
タロスケ(あなたの気持ちが少ながらず作用したのでしょう。きっと分かり合えますよ、彼女とも)
貝沢華「・・・雪、もう遅いかもしれないけど、今まで本当にごめ──」
藤堂雪「もう謝らないでよ! どうして? もとはといえば、私が悪いのに!」
藤堂雪「私が、華ちゃんの人生をめちゃくちゃにしたのに!」
貝沢華「・・・・・・」
藤堂雪「三年前、私は華ちゃんを階段から突き落とした! それが原因で、華ちゃんの足に後遺症が残ってしまった!」
藤堂雪「私のせいで、華ちゃんは踊れなくなった! 走れなくなった! 私の、私のせいで・・・!」
貝沢華「・・・あの時、あたしがあんたに言ったこと、覚えてる?」
藤堂雪「・・・・・・」
貝沢華「『あんたみたいなモブに友達ヅラされたくない』って、言ったんだよ。ひどいよね」
貝沢華「突き落とされたって、しょうがないよ。 足がダメになったのだって、当然の報いだったんだ」
タロスケ「・・・・・・」
貝沢華「あたしは、あんたの心をそれだけ傷つけたんだよ」
貝沢華「ごめん、本当に。許してなんて言わないし、言えない。でもほんとに、悪かったって思ってる」
藤堂雪「・・・るいよ。 自分だけ、ずるいよ・・・」
  流れる涙ごと包み込むように、華は雪の身体を抱きしめる。
貝沢華「ごめん、ごめんね・・・」
  雪の背を華が優しく撫でる。すると、ゆっくりと緩やかに、雪の身体から光が消えていった。
藤堂雪「ほんとに、今までやってきたことの責任、取るんだね?」
貝沢華「うん」
藤堂雪「それじゃ、早速撮っちゃおうか。 メイクしてくるから、ちょっと待ってて」
貝沢華「え・・・あんたも出る気?」
藤堂雪「当たり前だよ。 私だって甘い汁を吸った」
藤堂雪「華ちゃんだけに押し付けるわけにはいかないよ。じゃ、すぐ戻るから」
  吹っ切れたかのように、雪は颯爽と華の部屋を後にする。
タロスケ「いやいや、とても興味深いものを見させていただきました!」
タロスケ「ま、もちろん私は、きっと雪さんを救いだすだろうと信じていましたけどね?」
貝沢華「嘘つけ。完っ全に諦めた顔してたくせに」
タロスケ「ふふふ。正直、予想外ではありました」
タロスケ「でも、見てください。雪さんの名前がリストからきれいさっぱり消え去りましたよ」
タロスケ「雪さんがあなたの気持ちを受け取り、許した証拠です」
貝沢華「・・・・・・」
タロスケ「なんだか私、俄然、あなたを応援したくなってきました!」
タロスケ「この調子で、どんどん悔い改めていきましょうね」
貝沢華「・・・そうだね」

〇女性の部屋
  華と雪の二人は、今まで行ってきたことをすべてさらけ出す告白動画を撮影した。
  そして、ほぼ一発撮りのそれに少々の編集を加え、動画サイトにアップロードした。
藤堂雪「これから忙しくなるね。明日からバタバタになるだろうし。今日のところは休もうか」
貝沢華「うん、わかった・・・」
  雪は大きな伸びをしたあとで立ち上がり、ドアノブに手をかける。
藤堂雪「華ちゃん」
貝沢華「ん? 何?」
藤堂雪「ありがとね。おやすみ」
貝沢華「おやすみ・・・」
  雪が去り、室内にしんとした沈黙が訪れる。すると、華の眼前にずずいとタロスケが進み出た。
タロスケ「見てください、華さん!」
  タロスケに促されるまま、華はリストに目を向ける。
貝沢華「あれ・・・? なんか、半分ぐらいの名前がぼやけて見える」
タロスケ「未来が変わる兆候ですよ! かなりの確率で、今消えかかっている名前の方はあなたを許すでしょう」
貝沢華「それでも、まだ半分なんだね」
タロスケ「まぁ、謝罪をして責任を取ったとしても、その人が華さんを許すとは限らないですからね」
貝沢華「そうだよね・・・」
タロスケ「それでも、これは素晴らしいことです」
タロスケ「獄に行くことになっても、あなたを縛る縄は常温のものに取り換えられることでしょう」
貝沢華「それでも、剣山に落とされるのは変わらないんだね」
タロスケ「まぁ・・・そうですね」
  ため息をつきながら、改めてリストに目を通す華。そしてその視線は、「貝沢冴子」という名前に向けられていた。
タロスケ「お母様、ですよね? 華さんの」
貝沢華「うん」
タロスケ「どうですか? いい機会ですし、連絡をとってみては?」
貝沢華「あたしの話なんて聞いてくれないよ」
タロスケ「やってみないとわからないじゃないですか」
タロスケ「過去に何があったとしても、時は人の心を癒します。今なら、あなたの声に耳を傾けてくれるかもしれませんよ?」
貝沢華「・・・・・・」
  しぶしぶながらも、華はスマホを手に取り、「お母さん」と登録された番号を表示する。
  そして、かすかに震える指で通話ボタンを押した。
  そして、三度目の呼び出し音の途中で、冴子は電話に応答した。
貝沢華「あ、おか・・・」
冴子「あんた、一体何したの!?」
貝沢華「え・・・?」
冴子「ネットニュースで、あんたのことが記事になってんのよ!」
タロスケ「ついさっき動画を上げたばかりだというのに・・・いやはや、ネットの世界は恐ろしいですね」
冴子「あんた、詐欺まがいのことして、人様からお金だまし取ったらしいじゃない! 何やってんのよ!」

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