#7 欲望(脚本)
〇貴族の応接間
商人 ルドルフ「ワイが人狼やで」
神父 ランド「・・・」
神父 ランド「・・・人狼は2匹いる。つまり、貴方と村長が人狼だったと?」
商人 ルドルフ「せやでー。村長はんには悪いことしてもうたなー」
商人 ルドルフ「ワイが生き残るために対抗の占い師を噛んだんやから」
神父 ランド「・・・」
神父 ランド「なるほど。で、それを僕に話した理由は?」
商人 ルドルフ「一対一なら殺せるからやで」
商人 ルドルフ「龍神の力とやらでワイは今弱体化されとるからなー、大勢を相手にはできひんのや」
神父 ランド「そういうことですか」
商人 ルドルフ「・・・というわけで、堪忍な。神父はん」
商人 ルドルフ「あの世で村の応援でもしといてくれや」
神父 ランド「くっ・・・」
神父 ランド「・・・」
商人 ルドルフ「なんや、大人しく殺されるんか?」
神父 ランド「人狼相手に何をしようと無駄でしょうしね」
商人 ルドルフ「なんや、おもろないのう」
商人 ルドルフ「さて、そろそろ日も暮れるし夕食の準備でもしよや」
神父 ランド「・・・?」
商人 ルドルフ「あ、今のは全部嘘やで」
商人 ルドルフ「暇やからちょっと揶揄いたくなったんや」
神父 ランド「嘘・・・ですか?」
商人 ルドルフ「ワイ虚言癖やからなあ。騙されたらあかんでぇ」
神父 ランド「・・・」
神父 ランド「ブラフ・・・かな? 中々侮れないね」
〇おしゃれな居間
村娘 アリス「・・・」
神父 ランド「あかえり、アリスさん。何か夕食のリクエストはあるかい?」
村娘 アリス「私はいいや」
神父 ランド「・・・」
〇兵舎
商人 ルドルフ「アリスはんは寝てもうたし、冒険者はんは帰らんし、結局うちらだけかー」
神父 ランド「寂しくなりましたね」
商人 ルドルフ「まあしゃーない。状況が状況やし」
商人 ルドルフ「ところで神父はんはフォクシーはんが人狼やと思う?」
神父 ランド「・・・思いませんね」
商人 ルドルフ「せやなー。フォクシーはんと村長はんが人狼やったら、僧侶はんを噛むのは悪手やねんなあ」
商人 ルドルフ「真っ先に疑われるに決まっとる」
商人 ルドルフ「僧侶はんを噛むくらいなら、生かして人狼塗りした方が勝ち目あるねんな」
神父 ランド「・・・そうですね」
商人 ルドルフ「せやからワイは、君ら3人の中に最後の狼がおると踏んでるねんけど」
神父 ランド「冒険者さんは自分の手で村長を殺してるので、ここの組み合わせはどうなんだろうと思います」
商人 ルドルフ「んー。彼なら仲間を切るくらいしそうやけどなー」
商人 ルドルフ「ワイはアリスはんは人間に見えるんよな」
商人 ルドルフ「最初は僧侶はんを信じていて、フォクシーはんの意見を聞いて村長はんに寝返った」
商人 ルドルフ「あの流れは本物やと思うで。今朝フォクシーはんを疑った、あの感情の流れも綺麗や」
神父 ランド「となると、冒険者さんが人狼・・・」
商人 ルドルフ「それか、君な」
神父 ランド「・・・」
〇森の中
冒険者 マーベリック「どこだ・・・」
冒険者 マーベリック「出てこい人狼・・・」
冒険者 マーベリック「俺はお前を絶対殺す・・・」
冒険者 マーベリック「・・・」
冒険者 マーベリック「足跡がある」
冒険者 マーベリック「・・・向こうか」
〇洞窟の深部
冒険者 マーベリック「・・・」
冒険者 マーベリック「出てこい。そこにいるのは分かってる」
???「・・・」
踊り子 フォクシー「来たんだ」
冒険者 マーベリック「ほう。死ぬ覚悟はできてるみたいだな」
踊り子 フォクシー「・・・私、人狼じゃないけど」
冒険者 マーベリック「いや、お前は人狼だ」
踊り子 フォクシー「そんな下等種族と一緒にしないでもらえる?」
冒険者 マーベリック「下等・・・?」
踊り子 フォクシー「人狼なんて人に化けられるだけのただのケモノじゃん」
踊り子 フォクシー「人目を避けてコソコソ生きてるくせに、たまにこうやって騒ぎを起こして力を誇示するの気色悪いからやめてほしい」
冒険者 マーベリック「・・・」
踊り子 フォクシー「私、人狼じゃないからさ」
踊り子 フォクシー「人狼騒ぎは勝手に君らでやっててよ」
踊り子 フォクシー「それじゃ」
冒険者 マーベリック「ちょっと待て」
踊り子 フォクシー「離してよ」
冒険者 マーベリック「人狼じゃないと言い張ったところで、それを証明してくれないと俺は納得しない」
踊り子 フォクシー「・・・めんど」
踊り子 フォクシー「証明なんてできるわけないじゃん」
踊り子 フォクシー「逆に君は自分が人狼じゃないと証明できるの?」
冒険者 マーベリック「俺は・・・人狼を殺すことで自分は人狼じゃないと証明する」
踊り子 フォクシー「何それ。答えになってない」
冒険者 マーベリック「とにかく俺は人狼を殺す」
冒険者 マーベリック「お前が人狼なら、俺はお前を殺さなくてはならない」
踊り子 フォクシー「だから人狼じゃないって言ってんだろ!」
踊り子 フォクシー「さっきからしつけーんだよ! 人狼だとか殺すだとか粘着質なストーカーかよ!」
踊り子 フォクシー「これ以上私に関わるな!」
冒険者 マーベリック「・・・」
冒険者 マーベリック「あァ?」
格闘家 バロン「無抵抗のレディに刃を向けるなんて、紳士じゃありませんね」
冒険者 マーベリック「何で生きてるんだよお前」
格闘家 バロン「何故でしょうね。貴方程度に私は殺せないといったところでしょうか」
冒険者 マーベリック「お前ら2人が人狼ってことでいいか?」
格闘家 バロン「どうぞ。お好きに解釈してください」
冒険者 マーベリック「じゃあ殺す」
格闘家 バロン「龍神の加護もない貴方なんて、私にとっては赤子同然です」
冒険者 マーベリック「ぐっ・・・」
冒険者 マーベリック「あ・・・が」
踊り子 フォクシー「強いんだね」
格闘家 バロン「それほどでも」
踊り子 フォクシー「ねえ、私のボディーガードになってよ」
踊り子 フォクシー「ご褒美はあげるから」
格闘家 バロン「別にいりませんよ、そんなもの」
格闘家 バロン「私は強い敵と戦えればそれでいい」
踊り子 フォクシー「・・・」
踊り子 フォクシー「一緒に館に戻ろうか」
格闘家 バロン「館・・・ですか? さっきまでずっとここにいるみたいな空気でしたよね?」
踊り子 フォクシー「良いじゃん。君がいれば安心だし、私はこんな洞穴じゃなくて、ちゃんとしたところで寝たい」
格闘家 バロン「んー・・・では、村人の家などはどうでしょう」
格闘家 バロン「皆さんお亡くなりになられてしまったので、今ならどの家も空き家ですよ」
踊り子 フォクシー「・・・」
〇寂れた村
踊り子 フォクシー「・・・」
格闘家 バロン「どうですか? 夜の間なら身を隠せますし、寝床としては十分かと」
踊り子 フォクシー「・・・しけてる」
格闘家 バロン「え?」
踊り子 フォクシー「こんな寂れた家じゃ満足できない」
踊り子 フォクシー「私はやりたいことをやる。自分の欲望に忠実になる」
踊り子 フォクシー「私は美味しいものを食べて、ふかふかのベッドで寝たいの」
踊り子 フォクシー「協力してよ」
格闘家 バロン「・・・」
〇古い洋館
格闘家 バロン「では、私は館の外で待機しています。何かあったら大声で呼んでください」
踊り子 フォクシー「だめ。一緒が良い」
格闘家 バロン「・・・」
格闘家 バロン「私の存在をどう説明するつもりですか?」
格闘家 バロン「他の方たちにとって、私はイレギュラーな存在なんです。死んだはずの私が生きてるとなれば、皆混乱するでしょう」
踊り子 フォクシー「させておけばいいよ」
踊り子 フォクシー「ほら、一緒に入ろ」
踊り子 フォクシー「ただいまー!」
格闘家 バロン「・・・」
〇おしゃれな居間
商人 ルドルフ「なんやなんや」
踊り子 フォクシー「えへへー。帰ってきましたー」
格闘家 バロン「・・・」
商人 ルドルフ「格闘家はん、あんた生きとったんか」
格闘家 バロン「・・・」
神父 ランド「・・・」
踊り子 フォクシー「神父さんただいまー! ご飯まだー!?」
神父 ランド「・・・用意してあります」
踊り子 フォクシー「今日一日何も食べてないからぺこぺこだよ〜!」
神父 ランド「・・・説明、お願いできますか?」
格闘家 バロン「私が生きている理由は話せません」
格闘家 バロン「それ以外なら──」
神父 ランド「・・・」
〇兵舎
踊り子 フォクシー「♪」
踊り子 フォクシー「♪」
踊り子 フォクシー「おいし〜」
踊り子 フォクシー「もうずっとここで暮らそうかな〜」
踊り子 フォクシー「村長死んだし、私の家にしても良いよね〜」
踊り子 フォクシー「・・・」
踊り子 フォクシー「決めた! 今日からここは私の城だ!」
踊り子 フォクシー「私を中心に世界は回るんだ!」
フォクシー、やりたい放題で気持ちいいですねw こんなふうに生きられたら楽しそうです(^^
いやぁ、フォクシーのぶっ飛び思考回路、好きです👍
流れで誤ってゾッとしたリアクションとなっておりますが、人の心はいたずらに移ろうものですからね✨
破滅のにおいがしてきた…
ロジックの戦争に欲望100%のイレギュラーが混ざったらカオスしかない😇