オーロラ姫よりオラオラ姫を選んだ王子の結論

ふゆ

2.仕込まれた毒(前編)(脚本)

オーロラ姫よりオラオラ姫を選んだ王子の結論

ふゆ

今すぐ読む

オーロラ姫よりオラオラ姫を選んだ王子の結論
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

ヴィクトル「え?」
ヴィクトル「魔法を解く鍵は、俺の命?」
ヴィクトル「・・・・・・・・・・・・」
ヴィクトル「そう来たか。変態兄貴」
ヴィクトル「さてどうするか・・・」

〇城門の下
ヴィクトル「来たか、使い魔」
ヴィクトル「これからの計画を話しておく よく聞いておいてくれ」
ヴィクトル「まずは」
ヴィクトル「半年後の婚約式のことだ」

〇幻想2
オーラ姫「『あ』」
オーラ姫「『あなたは、私の執事の方』」
オーラ姫「『ずっと会いたかった王子様が、大好きな執事だったなんて』」
オーラ姫「『嬉しい』」

〇城門の下
使い魔「・・・・・・・・・」
ヴィクトル「というわけで、」
ヴィクトル「執事としての俺の印象も良くする必要がある」
ヴィクトル「以上だ」
使い魔「え、終わり!?」
使い魔「肝心のオーラ姫を戻す方法は!?」
ヴィクトル「これから考える」
使い魔「・・・・・・」
ヴィクトル「大丈夫」
ヴィクトル「父から王位継承者に選ばれたこの俺だ」
ヴィクトル「変態兄貴の思い通りにはさせない」
使い魔(えー)

〇闇の要塞
  マレフィセント王城

〇要塞の回廊
ヴァランタン「・・・ゴホッ・・・・・・ゴホッ・・・」
ヴァランタン「なぜだ」
ヴァランタン「なぜ、父上は動かないのだ」
ヴァランタン「王位継承者が、 勝手に城を明けているのだぞ!」
ヴァランタン「本来なら剥奪してもいいだろうが!ええ?」
従者「は、その通りです」
ヴァランタン「くそ、あの人の心はさっぱり読めない」
ヴァランタン「ヴィクトルも、ヴィクトルだ」
ヴァランタン「なぜあの女のためにさっさと命を捨てない!」
ヴァランタン「やさしーいお前のために数年越しで用意した傑作(罠)だぞ」
ヴァランタン「ふ」
ヴァランタン「クククッ」
ヴァランタン「あいつは本当に、 まったく思い通りにならならないな!」
ヴァランタン「はははははははははははははははははははは」
ヴァランタン「それならば次の手だ」
ヴァランタン「ヴィクトルは、まだスパイクレット城にいるのだな?」
従者「は」
従者「てっきり、ヴァランタン様に向かってくると思いましたが・・・」
ヴァランタン「ふ」
ヴァランタン「あいつはよく分かっている」
ヴァランタン「私を殺しても、変異魔法が解けないことを」
従者「解けないのですか?」
ヴァランタン「解けない」
ヴァランタン「クククッ」
ヴァランタン「精霊と契りあう自然系魔術とは根本的に異なる」
ヴァランタン「術者の魂を一部分離して媒介物とする」
ヴァランタン「幻術系魔術は、魂を持つ自律式の魔法なのだ」
従者(・・・本当に、自分が死ぬかオーラ姫を見捨てるかの二択なのか)
ヴァランタン「という絶望的な魔術だから」
ヴァランタン「『嘘』の希望をヴィクトルに伝える」
従者「嘘の希望?」
ヴァランタン「『ヴァランタンは変異魔法を解く方法を知っている』」
ヴァランタン「『鍵は解かなくていい』」
ヴァランタン「という『嘘』だ」
ヴァランタン「当然あいつは疑うだろうが魅力な嘘だろう?」
ヴァランタン「さぞ葛藤してのたうちまわるだろう」
ヴァランタン「まるで毒を煽ったかのように」
ヴァランタン「クッ、ククククッ、ククククク」
従者(すでに相当追い詰めてるのに、嘘の情報で撹乱・・・なんて容赦のない)
?「それ、めっちゃ面白いやつじゃないっすか」
?「あとさ」
?「『王位を譲れば教える』ってことにしようよ」
ヴァランタン「・・・盗み聞きか・・・?」
ヴァランタン「阿呆の次男が」
アンドレ「はーい、阿呆の次男でーす」
アンドレ「なんか離れから、大声が聞こえてきたからさ」
アンドレ「その毒みたいな嘘、僕が伝えてこようか?」
アンドレ「あの生意気なヴィクトルが、 どんな反応するか、めっちゃ見たい」
アンドレ「兄さんに頭下げるのかなあ!楽しみ!」
ヴァランタン「・・・・・・」
ヴァランタン(恐ろしいほど無能のくせに、鬱陶しい奴だ)
ヴァランタン「暇なら好きにしろ」
アンドレ「はいはいっ、と」
アンドレ(呪われたオラオラ姫かあ)
アンドレ(どんな顔してるんだろ。楽しみ!)

〇西洋の城
  スパイクレット王城

〇貴族の応接間
従者「おはようございます! オラオラ姫様!」
オラオラ姫「おはよう!」
従者「おはようございます! オラオラ姫様!」
オラオラ姫「おはよう!」
ヴィクトル「おはようございます。オーラ姫様!」
オラオラ姫「・・・・・・」
オラオラ姫「お」
オラオラ姫「おう」
ヴィクトル「・・・・・・・・・・・・・・・あれ」
ヴィクトル「なんか、俺にだけ素っ気なくないか?」
使い魔「ははあ、これは・・・」
ヴィクトル「え、嫌われてる?俺・・・」
使い魔「ふふ」
使い魔「殿下はやっぱり、女心が分かってないですね」
使い魔「それより殿下」
執事「さあ、今日から本格的にお仕事してもらいますよ!」
使い魔「慣れない従者の仕事ってもんがやってきますよ」
使い魔「できないでしょ?とっとと帰りましょうよ」
使い魔「オラオラ姫は殿下のせいではありません」
使い魔「仕方のないことだったのですよ」
ヴィクトル「・・・・・・!」
ヴィクトル「ふざけるな!」
ヴィクトル「彼女を見捨てて帰れなんて、二度と言うな」
ヴィクトル(早く仕事を終わらせよう)
ヴィクトル(予定していた スパイクレット図書館に行くために)
ヴィクトル(我が国にはない、 魔法を解くためのヒントがあるかもしれない)
ヴィクトル(早く解いて帰らなければ。このままでは・・・)

〇幻想2
オーラ姫「『え』」
オーラ姫「『あなたは、私の執事の・・・』」
オーラ姫「『(ずっと会いたかった王子様だったのに)』」
オーラ姫「『(ていうか、なんでうちの城にいたの?)きも』」

〇城の回廊
ヴィクトル「速攻で片付ける!」

〇芸術
  地下倉庫

〇黒背景
使い魔「も、」
使い魔「物置の粗大ゴミを爆破してどうするんです!?」
使い魔「殿下ぁっ!」
使い魔「従者の仕事じゃないですよこれぇ!」

〇西洋の城
  数時間後

〇大広間

〇ファンタジーの学園
ヴィクトル「こんなもんか?」
使い魔(城中をピカピカにして、)
使い魔(しかも、ああ、なんということでしょう)
使い魔(廃棄予定の銅像をぶっ壊した破片で、)
使い魔(道の舗装までしてしまいました!)
使い魔(なんてアーティスティックな道・・・)
使い魔「ていうかこれ執事の仕事?」
ヴィクトル「屋敷の管理全般だろ?」
ヴィクトル「どうだ。できただろう」
使い魔(・・・・・・なるほど)
使い魔(繊細な仕事から破壊的な出力まで、 凄まじい魔力のコントロール力)
使い魔(そりゃ色々何とかできると自信をもつわけだ)
使い魔(けれど)
使い魔(だからこそ、危ういんですよ?)
執事「素晴らしい働きぶりですね!」
執事(一体どうやってやったんだろう?)
執事「早く終わって良かった。なにせ今日は、」
  新人君の、歓迎会ですからね!
ヴィクトル「え、いや、遠慮しておき──」
使い魔「なりませんよ!殿下!」
使い魔「今のあなたは、」
使い魔「ただのイキった新人なんですから!」
ヴィクトル「じょ、冗談じゃ。俺は図書館に行かないと──」
従者「今日は徹底的に喋ってもらうぞ新人」
従者「俺の歌『太陽の大女(ビッグ・マム)』を聞かせてやる!」
ヴィクトル「く、無礼な、手を離せ──」
従者「あ?」
従者「お?」
ヴィクトル「・・・・・・」
ヴィクトル「ぐ・・・」
使い魔(先輩だから言い返すの、我慢してる!)

〇貴族の部屋
  オーラ姫 自室
オラオラ姫「すごい、綺麗になってる」
メイド「新人君がすっごい仕事してくれたんですよ!」
オラオラ姫「新人・・・あいつが?」
オラオラ姫「頑張ってるんだな──」
オラオラ姫「は!」
オラオラ姫(いかんいかん)
メイド「彼、ちょっと美男ですよね」
メイド「歓迎会が、楽しみで、へへ」
メイド「あ、良かったら姫様もどうですか?」
オラオラ姫「・・・・・・」
メイド「姫様?」
オラオラ姫「いや、私はいい」
オラオラ姫「資金を気にせず、存分に労ってやってくれ」
メイド「わ、ありがとうございます!」
オラオラ姫「・・・さて」
オラオラ姫「休むか」
オラオラ姫「・・・・・・」
  丸みのない体、可愛いさとは程遠い顔
オラオラ姫「忘れろ」
オラオラ姫「抱きしめられたのは何かの間違いだ」
  女に見られた訳じゃない
  うん、どこからどう見ても男だね!
オラオラ姫「だっ──」
  そう怯えないで
オラオラ姫「誰だ!」
アンドレ「魔術師に襲われるのは初めてじゃないっしょ」
アンドレ「いい体してるね」
アンドレ「オラオラ姫ちゃん」
  つづく

次のエピソード:3. 仕込まれた毒(後編)

コメント

  • コメディ調からシリアスな展開に。男化の呪いも思っていたよりヘビー。これは興味深いです。

  • 見事な設定と、深い駆け引きの様子に読み入ってしまいます。と思いきや、匠のお仕事っぽいナレーションで適度に脱力。このスタイルでしたら、倍以上の文量でも快適に読めますよ!

  • サイズ感は自分的には長くも短くもありませんでした。
    魔法エフェクト重ね掛けしてるのにくどくならないのが凄い。

コメントをもっと見る(6件)

成分キーワード

ページTOPへ