3凄い絵、売れる絵、売れない絵(脚本)
〇古びた神社
あらすじ
縁の描いた水龍の絵
高額で売れが秀仙堂の兼巻に
利益のほとんどを取られてしまう
可哀想な惣七
さぞ落ち込んでいるだろうね
惣七「縁の育てた きゅうり うめー--!」
縁(えにし)「そんなに うまいかい」
惣七「すげー水々しさだ!頭っからボキッといけるのもおつだよなぁ!! 八百屋で買うのじゃ月とスッポン!! 獲れたては新鮮さが桁違」
縁(えにし)「ほら」
縁は惣七にイモをやった
惣七「イモうめー----! ほくっとして、ねっとりして たまらねぇ~!」
縁(えにし)「惣七あんた」
縁(えにし)「犬っころみたいだねぇ」
惣七「むぐむぐ なんだよ縁! うまいもんをうまいと言う! 何が悪い!」
縁(えにし)「いんやぁ 別にかまやしないよ しかしよくもまぁ そう 次から次へと言葉が出るもんだと」
縁(えにし)「思ってさ」
惣七「?変なこという奴だな」
惣七「好きな物を語るって楽しいだろ?」
縁(えにし)「・・・ アタシには さっぱりだよ」
縁(えにし)「ああだの、こうだの喋るより 描いてる方が 性に合ってるしね」
惣七「そうだ!水龍の絵はもう売りに出しちまったからな! 縁、他に描いた絵は、あるか!?」
縁(えにし)「他の絵か 確かこの辺に 描き溜めておいたのが」
縁(えにし)「しかし あの店で 絵を出して売っても また、けちな店主に利益を横取りされるだろうねぇ」
惣七「それなんだが もう兼巻の秀仙堂に絵を置くのはやめにする!」
縁(えにし)「? もう絵を売るのは諦めちまったのかい?」
惣七「いや、その逆だ! 縁、今度はこの恩暮呂堂で問屋を開くぞ!」
惣七「そして!! お前の絵はここでしか買えないようにする!」
惣七「お前はうち(恩暮呂堂)の専属絵師になるんだ! どーだぁ!名案だろ!?」
縁(えにし)「・・・ 絵が描けるならなんでもいいよ」
惣七「なんだよぉ! 反応薄いな!不安になるだろ!?」
惣七「いいかぁ!?縁!」
惣七「秀仙堂で縁の絵は一日で売れたんだ! 兼巻も断る気満々だったのに絵を見るなり店に置かせてくれた!」
惣七「俺は縁の絵を見た周りの反応を見て確信したんだ!」
惣七「お前の絵は凄いだけじゃない! お前の絵は売れる!」
縁(えにし)「・・・ 凄いなら 売れるのは当たり前なんじゃないのかい」
惣七「それがこの界隈の難しいところだ 凄い絵師は山程いるのに売れる絵師は ほんの一握りだ」
惣七「それは何故か?」
惣七「絵には正解がないからだ! 人の好き嫌いが出やすくて、これなら売れるっていう確証だってない!」
惣七「まず大事なのは 世の客が金出してでも欲しい!! と言わせる絵を描くことなんだよ」
縁(えにし)「・・・ぐう」
惣七「寝てる! 目を開けたまま!」
縁(えにし)「んがっ もう終わったかい」
縁(えにし)「そういや あんたが長話してる間に アタシの描いた他の絵 見つけといたよ はい」
惣七「よし! ・・・? 縁、この絵は風景画なのか?」
縁(えにし)「いんや?」
縁(えにし)「アタシが描くのは アンタらが言うところの 妖怪やら神様やら」
縁(えにし)「そうゆうもんさね」
惣七「・・・? これは 周りの背景しか描かれてないぞ」
縁(えにし)「ン~? あぁ これは・・・」
縁(えにし)「逃げちまってるねぇ 描いた絵から」
惣七「え? ・・・逃げた!?絵から逃げたってどうゆうことだよ!」
縁(えにし)「言ったろ 良い絵には命が宿る この前の水龍みたいに動き出しちまったんだろうね」
惣七「困るよ! 描かれた妖怪が逃げだしたら 皆たまげるだろ!? ってことは・・・」
惣七「この間売った水龍! あれも逃げ出したりするのか!?」
縁(えにし)「さぁ あいつは人に見られることが好きだから 大丈夫じゃないの?」
惣七「・・・まずいなこれは というかこの絵、何が描かれていたんだ?」
縁(えにし)「ン~ なんだったっけ?」
惣七「覚えてないのかよ!」
惣七「おい、今まで描き溜めた絵! 見せてみろ!」
惣七「これも・・・ これも・・・これも・・・!!!」
惣七「皆 逃げちゃってるじゃないか~~~~!!!!」
縁(えにし)「アッハッハッハ!」
縁(えにし)「みぃんな 出払っちまってるねぇ」
惣七「おいどうすんだよこれ! こんな白抜けした絵、売れないだろ!?」
縁(えにし)「まぁね そんな遠くには行ってないと思うよ」
縁(えにし)「あ! 惣ちゃんこの絵・・・!」
惣七「!? どうした! 絵に残っている奴がいたか?」
縁(えにし)「”暫く留守にします” と看板を立ててる!」
縁(えにし)「律儀だねぇ~」
「・・・」
惣七「あ”あ”あ”あ”~~~~!!! どうじだらいいんだあぁぁぁあ~!」
縁(えにし)「泣かなくとも いいじゃないか わかった、探しに行こう。ね?」
惣七「ざがずっでどおざあずっでよおぉぉ~!(泣喚) (探すってどこ探すんだよ~!)」
縁(えにし)「橋の下とか、さ いるかもしれないよ?ね?」
惣七「猫じゃねぇえんだぞ!!!!?」
縁(えにし)「わかったよ、ちょっと外に見に行こう? 柳の木の下とか いるかもしれないだろ?」
惣七「・・・」
縁(えにし)「ね?惣ちゃん?」
惣七「見つけるまで帰らないからな」
縁(えにし)「あいよ、版元さん」
兼巻さん「惣七君!惣七君! ここにもいない」
〇畳敷きの大広間
異国の民「縁という絵師の絵はあるか? なければここへ連れてこい 金はいくらでも出す」
兼巻さん「あぁ、え~と (縁は惣七君のお抱え絵師だ。惣七君に頼めば・・・!)」
異国の民「連れて来ることが出来るのか? 出来ないのか?」
兼巻さん「分かりました! 縁の絵は他の版元から頼まれてうちの店に置いていたのですが」
兼巻さん「その版元に明日頼んでみましょう」
異国の民「明日だな 明日迄に連れてこい 私は気が長い方ではないぞ」
兼巻さん「え! あ!待ってください!まだ連れて来ると決まったわけでは」
兼巻さん「・・・」
〇古びた神社
兼巻さん「これはまたとない絶好の機会! と思って約束してしまいましたが・・・」
兼巻さん「明日までに 縁を連れて来ることが出来なければ私は・・・」
兼巻さん「考えただけで恐ろしい!」
兼巻さん「重兵衛さんの話では ここによくいると聞いたのですが」
兼巻さん「惣七君! どこですか~!」
縁の絵から妖怪共は逃げちまうし、
兼巻さんは絶体絶命
てんやわんやだねぇ
はてさて どうなることやら
続きはまたの お楽しみ
うーむ、冷静に考えてみると惣七と縁のやっていることって「貧乏」を江戸中にばらまいているということでは?
何やら危険な香り。
おまけに兼巻さんもピンチで、あっちもこっちも大慌て。
盛り上がってまいりました。
面白かったです。
ありがとうございます。
昨夜二話の感想途中で寝落ちてページが消えました😂こちらにまとめてすみません💦
ボイスがフルに近いくらいついてて驚きました。
一人芝居も絵本の朗読みたいで面白いですね。Eテレのおはなしのくにを思い出しました。
分配を任せた時点で嫌な予感はしましたが、兼巻さんひどすぎますね😂
逃げ出した妖怪はどこへ……
絵なのに律儀な妖怪さんがいて思わず笑っちゃいました🤭
逃げ出しちゃった子たち、無事見つかりますように!
今話冒頭の惣七、可愛かったです👍