復讐女と特撮ヒーロー市川君

昼夜睡

ジェラシーは真っ赤なリンゴ飴(脚本)

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〇汚い一人部屋
  初めて彼の部屋に足を踏み入れて思ったことは
  ただただ片付けたい──
佐藤沙緒理「ねぇ、あのさ…それなに?」
市川大和(特撮ヒーロー)「何ってパジャマじゃん?見れば分かるでしょ!!」
  色のセンスが皆無すぎんか!!?
市川大和(特撮ヒーロー)「沙緒里の分もあるけど良かっ……」
佐藤沙緒理「大丈夫!! 気持ちだけ受け取っておくね!!」
佐藤沙緒理(どうしよう、泊まりに来たわいいけどこの状況は……!!)
  オシャレ着=戦闘着=勝負の日…。
  これはまさか、いや…パジャマだしね、ただのパジャマだけど戦闘着にそっくり…。
  やっぱりこれはまさかそういうこと!!?
市川大和(特撮ヒーロー)「さーおーりっ!!」
  で、出たな変態全身タイツマンめ…!!
  貴様の思い通りにはさせん!!!!
市川大和(特撮ヒーロー)「沙緒里は俺の事どれぐらい好き?」
  そうゆうことね、その手できたか…
  だがしかし!私は今日ここで復讐を果たし晴れ晴れしく明日家に帰る……!!
  長かった闘いも今日で終わるんだ・・・
  私は彼の首に手を回しキスをする振りをして
  見つめ合ったまま顔を離した──
佐藤沙緒理「大和のことよく考えたら好き……」
  あれ、待って声が出ない……!?
  なんで?言いたいのはこんな中途半端な告白じゃなく決別の言葉なのに……!!
市川大和(特撮ヒーロー)「よく考えなくても識別反応ぐらいすぐ俺の事好きって思って欲しいな」
  識別反応ってどんな例えだよ!ww
市川大和(特撮ヒーロー)「俺は四六時中ずっと沙緒里のことが頭から離れなくて困ってる」
市川大和(特撮ヒーロー)「それぐらい好きで仕方ないんだ」
  なんだよそれ……
  自分を好きでもなんでもない女に対して何をこいつは言ってるの?
  あぁ、本当に心底呆れた……。
  私は力なく彼にもたれかかった──
市川大和(特撮ヒーロー)「沙緒里は素直じゃないなぁ……」
佐藤沙緒理「素直になりたいよ」
  あなたのことなんて最初から好きじゃないって今すぐにでも叫びたい……。
  叫びたいのに、叫びたいのに…出来ない!!

〇汚い一人部屋
  揺れるカーテンから差し込む朝日が眩しい──
市川大和(特撮ヒーロー)「おはよう、沙緒里…」
  まさか意識も記憶もない状態で私……
  あれ、ちゃんとパジャマ着てる!?
  やった、セーフじゃん!!
市川大和(特撮ヒーロー)「昨日の沙緒里は激しすぎたよ、あれは…」
佐藤沙緒理「待って、もう言わなくて大丈夫!!」
  嘘でしょ、大人の階段登っ……。
市川大和(特撮ヒーロー)「悔しがりすぎ!あと、コントローラー壊すかと思ったよ!」
佐藤沙緒理「あ、そうだあの後ゲームの話になってゴリラバイセコーやることになったんだった……」
市川大和(特撮ヒーロー)「まさか最後泣くとは思わなかったし…ぐふっ!ww」
  お母さん、私はまだ何も知らない無垢な少女のままです!!
佐藤沙緒理「良かったぁあ……!!」
市川大和(特撮ヒーロー)「ほんとだよ、コントローラー壊れないで!」
佐藤沙緒理「ねね、朝ごはん食べよっか!ロメア行ってモーニング頼も!」
市川大和(特撮ヒーロー)「いいね、ちゃちゃっと支度するか!!」
佐藤沙緒理「うん!!」
  よーし、今日こそは言うぞ──

〇女の子の部屋(グッズ無し)
  結局言えなかった──
佐藤沙緒理「ゴリラバイセコー勝ちたかったなぁー」
佐藤沙緒理(…待って自分もしかして楽しかったなぁって余韻に浸ってる……?)
佐藤沙緒理「いや、そんな事絶対にない……!!」
  無事終わってただ安心しているだけだ…。
  今度は8月19日の花火大会か…
  次は絶対に言わなきゃいけない、絶対──

〇神社の出店
  2016年 8月19日…
佐藤沙緒理「浴衣着たかったなぁー」
市川大和「制服姿でも十分綺麗で可愛いよ」
佐藤沙緒理「ありがとう!」
  まぁ、今日で終わりなんだしどうだっていいか……。
佐藤沙緒理「ねぇ、大和大事な話があるんだけ……」
花菜「大和じゃん!久しぶりー!!」
市川大和「え、もしかして花菜?!」
花菜「そうに決まってるじゃん!!」
  あー、よくいる鬱陶しいタイプの女──
花菜「えー、久々に見て思ったけどやっぱいい男!」
市川大和「褒めても何も出てこないよ」
花菜「たこ焼きぐらいでると思ったー!!」
  たこ焼きぐらい自分で買って食えよ──
花菜「元気してる??」
市川大和「すごく元気だよ、花菜は相変わらず元気そうで安心だわ」
花菜「ちょっと一応聞いてよね!?」
  黙れ黙れ黙れ黙れだまれダマレ……
市川大和「髪型よく似合ってていいと思うよ」
  はぁ……?
花菜「そんなこと言ってそっちこそ褒めても何も出てこないぞ〜?」
  あの、横にいる私は空気ですか?
市川大和「思ったことしか俺は言えないよ、だって素直でいい子だから」
花菜「うちも素直でいい子だからりんご飴食べ…」
佐藤沙緒理「ねぇ!!!」
佐藤沙緒理「お腹空いたしなんか食べたいから行こ!!」
市川大和「お、おう! ごめんじゃあ行くわ…!!」
花菜「はーい、またね〜」

〇寂れたドライブイン
市川大和「沙緒里どこ行くんだよ、そっち屋台じゃないって!!」
  人が大事な話をしようとしてる時に他の女とペチャクチャ話ししやがって……。
市川大和「ごめん、さっきの事もしかして怒ってる感じ?」
  あぁ、もうどうにだってなっちまえ──
佐藤沙緒理「何を言ってるの? そんなことで怒るわけないじゃん」
佐藤沙緒理「だって私あなたのこと最初から一度も好きになったことなんてないもん」
佐藤沙緒理「自分に惚れてヤキモチ妬いてるかもとか自惚れすぎて笑えるんだけど」
市川大和「ごめん、沙緒里・・・」
市川大和「でも、どうして沙緒里は泣いているの?」
  頬に触れると冷たい何かに気付く──
佐藤沙緒理「はぁ?やっとあなたと離れられて嬉しくて仕方ないからに決まってるでしょ!!」
佐藤沙緒理「でも、もう一度会いに来てくれてありがとう」
佐藤沙緒理「お陰でこうしてやっとあなたにずっと伝えたかった想いを伝えることが出来たよ」
市川大和「沙緒里…!!!!」
  汗ばんだ左手が私の腕を掴んだ──
佐藤沙緒理「あなたを好きになったことも好きだったことも一度もない…!!」
佐藤沙緒理「ここまで言えば馬鹿でも分かるでしょ?」
  私は手を振り払いそのまま振り返らずに歩き続けた。

〇花火
  花火が上がる音が聞こえてくる──
  浴衣を着た一番綺麗な状態の私を上書き保存したまま終わらせられたら完璧な終わり方だったかもなぁ…。
  てか、普通ここはドラマチックに追いかけて来るとこじゃないの?
  ほんっと最低で最高な夏休みだった──
  終わってもないのに私はそう呟いた──

次のエピソード:(終)ヒロインではなくダークヒーロー志望!

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