〇競馬場の座席
水島　浩明「来い!!」
水島　浩明「来い来い来い!!」
水島　浩明「あ・・・」
水島　浩明「チックショー」

〇ツタの絡まった倉庫
水島　浩明「はぁ・・・ 今日もボロ負けだぁ・・・」
水島　浩明「借金も雪だるま式に増えてくばっかりだしよぉ」
水島　浩明「はぁ・・・ 憂鬱だぜぇ 全国民俺に一円ずつくれねぇかなぁ」
水島　浩明「はぁ・・・」
水島　浩明「あん!?」
水島　浩明「なんかこのボロい倉庫から音がしたぞ・・・!?」

〇荒れた倉庫
水島　浩明「なんか倒れてやがるな」
水島　浩明「どれ・・・オラァ!!」
水島　浩明「お地蔵さんじゃねぇか」
水島　浩明「こんな倉庫で１人きりでかわいそうに・・・」
水島　浩明「俺が拝んどいてやるか」
水島　浩明「しっかし、ボロボロな地蔵だなぁ。かわいそうになってくるぜ・・・」
水島　浩明「まるで今日の俺みたいだな・・・」
水島　浩明「記念に写真撮ってZwitterにでもアップすっか」
　　倉庫で見つけたボロボロな地蔵と２ショット。お互い辛ぇなぁ。
　　
　　#地蔵
水島　浩明「・・・お前さんの事も誰か気にかけてくれりゃあいいな」
水島　浩明「じゃあな」

〇古いアパートの一室
　　翌日
水島　浩明「ふー、まぁ心機一転頑張るか・・・」
水島　浩明「なんか昨日の夜からスマホがうるせぇなぁ」
水島　浩明「あん!?何の通知だ!?」
水島　浩明「うお!!なんだこりゃ」
水島　浩明「昨日の投稿がバチクソバズってんじゃねぇか!!」
　　地蔵さんかわいそう😭
　　社会の闇を感じますね
　　底辺同士お似合いだなw
水島　浩明「好き勝手に反応してやがるぜ・・・」
水島　浩明「ん!?DMも来てんな!?」
　　画像拝見してDMさせていただきます。
　　ボロボロの地蔵を見て心が痛みました。
　　何か力になりたいと考えます。
　　そこでご提案なのですが、クラウドファンディングを活用して、地蔵の修復費用を募ってはいかがでしょうか。
　　おそらく多くの方が賛同されると思います。詳しくは下記URL参照ください。
水島　浩明「・・・クラウドファンディングねぇ。 名前くらいは知ってるけどよぉ」
水島　浩明「こんな実質寄付みてぇな話で金集まんのか？」
水島　浩明「ま、たしかに地蔵さんかわいそうだったからな。やるだけやってみっか」
　　かわいそうな地蔵の修繕費用を募集します。
　　
　　目標金額　50万円
　　
　　見返りとして、個別に修繕後の写真をお送りします。
水島　浩明「こんなとこか・・・!?」
水島　浩明「ま、とりあえず仕事行くか」

〇古いアパートの一室
水島　浩明「どれどれ、ちょっとは集まったかな・・・」
水島　浩明「な・・・」
水島　浩明「もう100万円も集まってんじゃねぇーか」
水島　浩明「ま、まじかよ・・・ これがクラウドファンディングってやつか・・・すげぇな」
水島　浩明「こんだけありゃあ余裕で修繕出来るぜ!!早速業者手配だ!!」

〇荒れた倉庫
　　数日後
地蔵職人「よっしゃ、これでどうよ!!」
水島　浩明「すげぇなぁ、あんなボロボロだったのに新品みてぇだ」
水島　浩明「ありがとよ!!んじゃ約束の報酬」
地蔵職人「おう!!でもよ、こんなにはいいよ!! 10万円返すわ!!」
水島　浩明「い、いいのか!?」
地蔵職人「オレもあんたのZwitter見てたからよ!! 応援してたんだ!! だから割引してやるぜ」
地蔵職人「じゃあな」
水島　浩明「しかしホント随分キレイになったな地蔵さん」
水島　浩明「支援者も喜ぶし、オレの懐も潤う・・・ いいことづくめだな!! クラウドファンディングは!!」

〇古いアパートの一室
水島　浩明「Zwitterの連中も大喜びだな!!」
水島　浩明「おっ、またDM来たぞ」
　　地蔵が綺麗になって感動しました。
　　ただ、あの廃工場にいつまでも置いておくのはかわいそうです。
　　別の場所に引っ越しできないでしょうか？
　　綺麗な祭壇も併せて。
　　クラウドファンディング募ったら支援したい人がいっぱいいると思います。
水島　浩明「はぁー、そりゃたしかにそうだな」
水島　浩明「いっちょやったるか!!」
　　地蔵の祭壇製作、引越し費用募集します。
　　
　　目標金額300万円
　　
　　見返りとして、祭壇に支援者の名前を刻印します。
水島　浩明「どうよ!! まぁ、でもこの金額は・・・無理だろうな笑」

〇古いアパートの一室
水島　浩明「ひっ!?」
水島　浩明「1000万円だって!?」
水島　浩明「あ、集まりすぎだろ・・・いくらなんでもよ・・・」
水島　浩明「まぁ、でも集まってんなら・・・やるか・・・」

〇祈祷場
水島　浩明「余裕で祭壇立っちまった・・・」
水島　浩明「しかも手元にゃ、まだ100万円もあまってらぁ・・・」
水島　浩明「こりゃ・・・」
水島　浩明「行くとこまで行くしかねぇな!!」

〇古いアパートの一室
　　地蔵が寂しそうなので、友達の像の作成費用募集します。
　　
　　目標金額　500万円
　　
　　見返りとして、製作過程の動画を提供します

〇祈祷場

〇古いアパートの一室
　　地蔵を清掃する権利を提供するので希望者募集します。
　　
　　目標金額　200万円
　　
　　見返りとして、地蔵を清掃いただけます

〇祈祷場

〇警察署の食堂
水島　浩明「ガッハッハ!! 本当に支援者達ってのはチョロいぜ!! あいつらなんでも金出すんだもんなぁ」
おじいさん「楽しそうじゃのう・・・水島・・・」
おじいさん「どうしたんじゃ・・・最近はワシと借金の話もしておらんし・・・」
水島　浩明「ああ、じいさん!! 言ってなかったな!! 借金は完済したんだよ!!」
おじいさん「な!?ワシより借金のあったお主が!?」
水島　浩明「実はよ・・・」

〇警察署の食堂
おじいさん「ふむぅ・・・クラウドファンディングのう・・・」
水島　浩明「儲かって仕方ないぜ!!じいさんもなんかやったらいいぜ」
おじいさん「うむ・・・」
おじいさん「だが・・・要は”勧進”じゃろ!?」
水島　浩明「勧進？」
おじいさん「勧進とは、寺院の建立や修繕などのために、信者や有志者にその費用を奉納させることじゃよ」
水島　浩明「ほえー、昔から同じような事を名前を変えてやってるわけだ」
おじいさん「勧進はちゃんと寄付した人も信者じゃからな・・・そんなに揉め事は無かったようじゃが・・・」
おじいさん「水島・・・お主のソレ・・・本当に大丈夫か!?」
水島　浩明「大丈夫大丈夫!! アイツら地蔵信者だからよ!! 喜んで金出してんよ!!」
おじいさん「ならよいが・・・」

〇古いアパートの一室
　　1ヶ月後
水島　浩明「がぁーー!!駄目だぁ!! 目標金額未達で終わっちまった」
水島　浩明「完全に旬が過ぎちまった」
水島　浩明「せめて最後に一稼ぎしてーなぁ・・・ あん!?」
　　以下のURL参照ください
　　もっとお金が集まりますよ
水島　浩明「またこいつかよ・・・ なんだこりゃ」
水島　浩明「見たことねぇクラファンサイトだな・・・」
　　私を好きなだけ殴っていい権利
　　
　　目標金額　2000万円
　　
　　10万円あたり１分、無抵抗で殴られます。
水島　浩明「なんだこりゃ!!金額といい、内容といい、尋常じゃねーぞ!?」
水島　浩明「でも・・・たしかにこのサイトなら・・・ 最後に一発稼げそうだな・・・」
水島　浩明「てか・・・待てよ・・・ こんなヤバいサイトに集まる奴らなら・・・ こんな内容でどうだ!!」
　　あのネットで話題の地蔵を破壊出来る権利
　　
　　目標金額　5000万円
水島　浩明「こんなのでもいけんじゃねぇか!!」
水島　浩明「うぉぉぉ、やべぇ!! これ決まったら持ち出しナシで丸儲けだよ!!」
水島　浩明「明日が楽しみだなぁ」
地蔵「・・・」
地蔵「・・・」

〇古いアパートの一室
水島　浩明「さぁさぁどうなってるよ!?」
水島　浩明「うぉー、マジかぁ!! 達成してやがる!!」
水島　浩明「これでオレも大金持ちよぉ!! ガッハッハ・・・ん!?」
水島　浩明「な、なんだぁ」
　　地蔵が悪人を解体する様子を見る権利
　　
　　目標金額　5000万円
　　
　　見返りとして、腎臓、眼球、声帯などの部位を差し上げます
水島　浩明「オレの書いた内容が変わってやがる」
水島　浩明「で、なんなんだこの内容は・・・!!」
水島　浩明「ふざけたイタズラするやつがいやが・・・」
水島　浩明「お、お前・・・!! なんでオレの家にいやがんだよ!!!!」
水島　浩明「ま、ま、ま、まさか・・・ や、やめろ!!やめてくれ!! オレお前のために色々尽くしてやったじゃねぇか!!」
水島　浩明「オレが・・・オレが募ったからお前は救われてんだぜ!!わかってんのかよ!!」
地蔵「・・・」
水島　浩明「ぐぎゃああああ!!」

〇古いアパートの一室
　　その後・・・
　　多くの身体の部位や臓器が抜き取られた重体の状態で水島は発見された。

〇病院の診察室
　　奇跡的に一命は取り留めたが、多くの臓器が欠損しており、生命維持には莫大な費用が必要となった。
　　不憫に思った同僚のおじいさんは、延命のための資金をクラウドファンディングで募ったが・・・

〇黒
　　目標金額には遠く及ばず、失敗に終わった