魔王様、異世界へご帰還(強制)

ユースケ

とりあえずやってやる(脚本)

魔王様、異世界へご帰還(強制)

ユースケ

今すぐ読む

魔王様、異世界へご帰還(強制)
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇荒廃した街
大間 柾「結局、朝になってしまったな。 ああ、シフトが・・・」
角田 花丸「殿下! これはいい機会でそ! ささっとローファンタジーからハイファンタジーに切り替えるでそ!」
大間 柾「あのな・・・お前の熱意が何故なのかはどうでもいいが、俺は俺で熱意をもっていたんだぞ?」
大間 柾「お前がやりたい事があるのは分かったが、俺は俺でやりたい事があるんだから、そこの尊重をしてくれよ。全く――」
角田 花丸「殿下は魔族の王でそ。 このお姿こそ正しいでそ。」
大間 柾(全く、どうせろくでもない理由で帰って来てるくせに・・・)
大間 柾「それより、女神だ。起きたか?」
小林 誠司「はい。こちらに・・・」
女神「あうあう、何回も殴られたぁ~」
大間 柾「泣き止め鬱陶しい。 それで、どうすれば俺達は日本へ帰れる?」
女神「帰るだけなら、すぐに帰れますよ?」
大間 柾「なに?」
女神「私の力でちょちょいとやれば、すぐに日本へ帰れます。」
大間 柾「ならば早く――」
女神「ええ~、でもどうしようかな~。 私が一方的にお願いを聞くのもな~。」
大間 柾「────」
女神「ちょー!? 魔力を拳に溜めないでください! 分かってます! ちゃんと帰しますよ! でも、こっちだって大ピンチなんです!」
大間 柾「だから! なんで俺達がお前らのケツを拭かなきゃならん!」
女神「そ、それは申し訳ありません。けど、こちらだって最初は応急処置だったんです。」
小林 誠司「応急処置?」
女神「はい! お聞きしますが、魔王がいなくなって人間が争いをやめると思いますか?」
大間 柾「やめる訳ないだろ? 勇者頼りだったんだぞ? 体よく利用して・・・俺達魔族と違って、一致団結した訳じゃない。」
女神「はい。その通りです。むしろ、魔族の王がいなくなったことで争いは激化したと言ってもいいですね。」
小林 誠司「ハッキリ言って、人間の方が魔族よりよほど欲深いからな。」
大間 柾「いや、欲深さで言えば魔族も同じだ。 ただ、人間の欲は自我。魔族の欲は自由だ。好き勝手したいにしてもベクトルが違う。」
大間 柾「自分よければ全て良し。あとは思われようが、どう見られようが知ったこっちゃない。それが魔族だ。良くも悪くも我欲に忠実だ。」
大間 柾「人間は魔族でいう欲求も含め、自尊心が満たされる事を好んでいる。」
大間 柾「つまるところ、自分が偉く尊くなりたいんだ。魔族って、その辺あんまり興味ないだろ?」
小林 誠司「そうですね。褒められたいはあっても、偉くなりたいはあまりないですね。」
大間 柾「分かりやすい魔族がいたからこそ、人間は分かりやすく敵対者を作れた訳で、逆も然り。それが人間と魔族の関係だ。」
女神「そうですそうです! 魔族が終われば、当然今度は同族争いです。急に激化したんです。」
小林 誠司「とは言っても我々がいなくなって2年程度。その程度で激化したのか?」
女神「いえ、200年です。」
大間 柾「は?」
小林 誠司「200年?」
女神「あれ? 言ってませんでしたっけ? 地球での1年は、こちらでは100年くらいですよ?」
大間 柾「言ってねぇよ! 200年!? そんなに時間が経ってるのか!?」
大間 柾「精神と時の部屋か!?」
小林 誠司「魔王様。そのネタ、もう分からない人、いると思います。」
大間 柾「え? うそマジ?」
小林 誠司「その200年で、人間同士の争いが激化したのか。」
女神「しかも、200年前と違って、人は強くある必要もなく、より権力やらなんやらがモノを言うようになりました。」
大間 柾「封建主義の弊害だな。民主主義バンザイ。」
小林 誠司「まぁ、アレはアレで色々と――そんな事より、それと転生者になんの関係がある?」
女神「テコ入れですよ。テコ入れ。魔王敗北から100年目に転生者を入れてみたんです。」
大間 柾「言い方もう少しどうにかならんか?」
女神「そしたらコレが大当たり! 一時期色々な問題が解決したんですよ!」
角田 花丸「いわゆる異世界無双ですぞ」
角田 花丸「けど、所詮は人間でそ。 欲望に身を委ねれば、あっという間でそ。」
大間 柾「花丸。お前、事情を聴いてたんだな」
大間 柾(とは言っても、コイツの場合やっぱりろくでもないこと考えてるだろうけど・・・絶対故郷を憂いてるとか無いッ)
女神「いや、もうホント万事解決! 応急処置のお試し感覚でやったんですけどね! これがホントもう最高な形でハマりました!」
大間 柾「だから言い方・・・」
女神「だからもう流行っちゃって流行っちゃって! ホント神々の間で一大ムーブメント!」
女神「神々も自分の考えた最強の転生者が世界を正して行くのを、本当に喜んでいたですよぉ!」
大間 柾「・・・・・・で、調子に乗った結果、転生者が増え過ぎてエラい事になってると?」
女神「・・・・・・・・・・・・・・・はい」
大間 柾「・・・・・・・・・・・・・」
大間 柾「やっぱ自業自得だよな!?」
女神「わ、分かってますよぉ~」
女神「でも! でもですよ! 魔王が潔く引かなければこんな事にもなってないんです!」
大間 柾「責任転換も甚だしい!」
女神「そ、それに! 最初にセーフティーを崩したのはアナタ達じゃないですか!?」
大間 柾「セーフティー?」
角田 花丸「異世界転移。いえ、この場合は次元転移魔法でそ。」
角田 花丸「あれ、神々の理を破る大魔法だったでそ。殿下。」
  魔王たちが勇者に敗北した際、偶発的とはいえ地球へ移動した魔法。それこそ、次元転移魔法だ。
大間 柾「・・・そんな凄い魔法だったの?」
女神「超常の魔法ですよ! 私の様な特殊な例外を除けば、神だっておいそれとできない事ですよ!」
大間 柾「り、理論上可能というだけだったし、ぶっつけ本番だったから、そこまで把握していなかったな・・・」
小林 誠司「流石は我が君。」
女神「そこ~? 感心しないでくださいね~? 結構な一大事ですからね~?」
女神「いいですか? そもそも世界と世界の間には明確な壁が存在します。 貴方の魔法はそれを無理矢理こじ開ける魔法です。」
女神「この壁が破られる事は、自然現象以外にはありません。神々だって破る事は容易ではありません。」
小林 誠司「流石は魔王様!」
女神「いや凄い事ですけど! でも大変な事なんです!」
女神「過去、これが何かしらの形で異常があっても、すぐさま自然修復されますし、精々偶発的な神隠し程度で終わります。」
角田 花丸「忽然と人がいなくなるというアレでそ。実はそういうカラクリだったらしいでそ。」
女神「しかし、魔王。アナタは自力で壁を破ってしまったんです。で、世界の理が一時ですが、崩れたんです。」
女神「結果的に――ではありますが、この世界は崩壊の危機を迎えたんです。」
大間 柾「・・・マジか」
角田 花丸「そうでそ! だから私は故郷を憂いて──」
小林 誠司「心にもない事を言うな」
  ――ゴチンッ!
角田 花丸「ぎにゃああ!?」
女神「正直に言えば、我々神々が何かした訳ではないです。けど、世界が壁を修復する代わりに、世界の『太極』が弱まりました。」
大間 柾「『太極』って、世界が自らを守る為に外界に影響を与える力を元に戻そうとするアレか?」
女神「それは『太極』が持つ力の一つである抑止力に当たります。 本質は概念や理、摂理の創造です。」
  『魔法の影響は元に戻る』という常識。
  魔法は自然に影響を与える事もあるが、それを修復しているのが抑止力。
  魔法で火を発しても、それが消えるのは魔法の技術ではなく、抑止力が消化していると言える。
  その根源が『太極』なのだ。
大間 柾「なるほど・・・抑止力を使っているのが『太極』か。実在するするとは言われていたが、本当にあるのだな。」
女神「そうです! その力が壁の修復に全て注がれました。本来分配されている力のセーフティーが解除されて一点集中!」
女神「結果、本来『太極』が働くべき場所に働かず、色々と大暴走。 環境破壊のダメージを受けた地球と同じニュアンスです。」
女神「毒の魔法なら、消えるはずの毒が消えず。氷の魔法なら氷が解けず。」
女神「問題なのは、それを人間は自らの技術革新だと勘違いした事です!」
女神「革新的技術を得たと勘違し、それを使って利権に走り、そこら中で大戦乱時代の到来です。」
女神「そこで応急処置として、神々が介入して転生者を使ったんです。壁が破れていたからこその応急処置です。」
大間 柾「まぁ、そう言われると、「壁」とやらを破った事への責任はあるのだろう――」
大間 柾「――が、争いを選択したのは人間ではないか? 発展に使う平和的理由もあったはずだ。」
大間 柾「争いが起きる事まで、俺の所為にされたらたまったもんじゃないぞ?」
大間 柾「それに、神なら知っているだろう? 我らの時代でも・・・先に手を出して来たのは人間だった。」
大間 柾「まぁ、それは良いんだよ。終わったことだしさ。200年も過去なんだろ? 問題は、異世界転生ブームが神々の落ち度ってことだ!」
女神「そ、それは反省しているんです。本当です。」
女神「それにもう貴方に頼む以外に方法がないんです。『太極』が生み出した人間と対の存在である魔族。その王様だから・・・」
大間 柾「・・・悪性説・・・正しかったのか。 魔族は人間の悪を成す為に生まれた理論。」
女神「あ、いえ、それを言い出したら人間も『太極』が生み出したものですから・・・」
女神「それは鶏が先か卵が先か理論です・・・えっと、端的に言うと知的生命体における対局構造を作り出したのは『太極』です。」
女神「善悪は別ないですが、敵対。いえ、この場合は対の関係性ですね。知的生命体は根幹では同じ存在ですから。」
大間 柾「『太極』が世界の構造を作っただと? 神々じゃなくて?」
女神「はい。『太極』のそうするべきと判断したんです。そこに神々が介入する事はできません。」
女神「言える事はフロストアークの「理がそう言う形」というだけです。」
女神「色々な宗教などは私達を崇拝していますが、ある意味『太極』こそ会話のできない本当の神というべきでしょう。」
女神「その『太極』の補佐こそ、私達の神々が世界に存在する理由なんです。」
大間 柾「お前たちに決定権はないのか・・・」
大間 柾「神に願い、崇拝する事は同時に『太極』の手柄を取り上げる事であり、無視でもあると言えるか?」
女神「えっと・・・神以外がこれを理解するのは難しいと思いますけど・・・こればかりはシステムというしかありませんね。」
女神「ただ、貴方に頼んでいるのは、けしてふざけている訳ではなく、それがこの世界の摂理として正しいからなんです。」
女神「神々の介入は極力避けるのが普通です。でも、今回はイレギュラーが多過ぎました。」
女神「我々も、本来限りある形でしか介入できないはず世界に、転生者という形で介入できて嬉しかったのもあります。」
大間 柾「それは認めるんだな・・・」
女神「だから、だからこそ! 私たち神は反省を重ね、理に沿って世界を救おうと考えたんです」
女神「『太極』は私達神々とも意思疎通も会話もできません。けど、少なくとも私は『太極』を大切に思っています。」
女神「例えるなら、友人や仲間、兄弟などの家族に近い感情です。」
女神「そんな『太極』が無くなると、我々は存在する意義を失いますからね・・・地球のように。」
大間 柾「地球に『太極』はないのか?」
女神「あるにはありますよ。でも、あの世界は、類稀な完全世界です。 「何が起きても正しいと判断される世界」と言うべきでしょうね。」
女神「ああいう世界では、神の存在は非常に希薄で、居たとしても非常に脆く、フロストアーク以上に下界への介入は困難です。」
女神「だから、信仰がなくなり、神がいなくなっても、正しいと判断されます。」
女神「だから・・・と言うべきでしょうか。 フロストアークのような世界に対して、神々は強い愛着があるんです。」
女神「地球は・・・「お前達は必要ない」って下界の子らに吐き捨てられる感じですね。 まだ、信仰残ってるみたいですけど・・・」
大間 柾「・・・・・・居場所という事か」
女神「ええ。 だから、お願いします。この世界を救ってください。」
大間 柾「・・・・・・・・・・・・・・・」
大間 柾「だが、断る。」
女神「ええええええええええええええええええええええええええええ!?!?」
角田 花丸「ちょま!? 殿下ぁぁ!?」
小林 誠司「口をはさむな! バカ者!」
角田 花丸「きゅっ!?」
女神「い、今の完全にOKの流れでは!?」
大間 柾「いやだってさ、「壁」を破ったのは申し訳ないけど、それ以外は俺に関係ないよな?」
大間 柾「事の始まりかもしれないが、過程まで俺の所為というのは暴論だ。」
大間 柾「俺、今は本当に大事な時期でな。時間を無駄にできないんだよ。 大学受験もあって、新しい人生が決まる最中なんだ。」
女神「む、無駄って・・・」
大間 柾「女神の気持ちは分かったさ。 俺だって仲間を想う気持ちは理解できる。」
大間 柾「けど、この世界で俺は生きていない存在だぞ? 摂理に沿ってはいても、正しくないだろ?」
大間 柾「今この世界で生きている人間にやらせるべきじゃないのか? 勇者は? あれと同じように、神々の祝福とか与えれば済むだろ?」
女神「・・・・・・・・・・・・・・・」
大間 柾「どうした?」
女神「勇者の祝福は世界で一人だけにしか与えられないんです。 それ以上は『太極』が動き出して、世界が色々厄介な事になります。」
大間 柾「ん? 何の話だ?」
女神「勇者が、もうずっと・・・行方不明なんです・・・祝福持ったまま、どっかに行っちゃったんですぅ~」
大間 柾「どっか行ったってなんだよ? つか、泣くな!」
女神「わ、わか、わがぁ、わがりまぜんよぉ~! わ、わた、私だってぇ! 後がないんですぅぅ~! 八方塞がりなんですぅ~!」
大間 柾「おおい! 急に号泣ってなんだそりゃ!?」
女神「魔王なんがにぃ~! お願いじでるんでずがらぁ~後がないの察してくださいよぉ~!」
大間 柾「なんかってなんだ!? 失礼なヤツだな!」
女神「もう限界なんですぅ~! 全然休めでないじぃ~! 精神ガリガリ削られるじぃ~! やればやるだげ新しい問題が出てぐるじぃ~!」
女神「世界が滅ぶもの時間の問題ですけどぉ~! そ、それ、それ以上に私がぁ、私達が限界なんですぅ~!」
大間 柾「いやいやいやいやいや! 抱き着くな抱き着くなぁ!」
女神「お願いしますぅ~! 魔王ざまぁ~! 助げでぐだざぁ~い!」
大間 柾「おいぃぃぃぃ! 鼻が! 鼻水! 服にこすりつけるなぁ!」
女神「なんでもじまずがらぁ~! 本当に、なん、なんでもじまずぅ~! お願いじまずぅよぉぉぉぉ~!」
大間 柾「だあああああ! 分かった! 分かったから離れろ!」
女神「えぐっ、グスッ、えぐぅぅ・・・」
角田 花丸「これは酷い・・・」
小林 誠司「これは、この女神の信仰者が不憫ですな・・・」
大間 柾「・・・スケジュール調整しなけりゃならんぞ。なんて面倒な状況なんだよ。ちくしょう。」
大間 柾「ああ、クソ! とりあえず・・・やってやるよ!」
女神「よ、よろじぐ・・・グスッ、お願い、じまずぅ~。 えっぐ・・・帰りだい時は、ゲート開きまずので、お願いじまっずぅ~」
大間 柾「・・・・ダメ上司の尻拭いをする気分だ。」
  結局、へんな形ではあるが、柾とその一行の新しい非日常が始まるのであった。

次のエピソード:花丸の思惑

コメント

  • 女神が出てきてから物語が新しい展開になり、さらに面白くなってきました。女神を含めて、キャラたちのコミカルな掛け合いは変わらず楽しいです。異世界の設定も非常に作り込まれていてリアリティを感じます。また、他の異世界で見たことがないような、ユニークな設定が多いのも面白かったです。異世界ものではありつつも、社会的な視点や、現実的な価値観に考えさせられるものがありました。続きも楽しみにしています!

成分キーワード

ページTOPへ