小悪魔ちゃんを射止めるには

星月 姫薇

2.すれ違うファンションショー(脚本)

小悪魔ちゃんを射止めるには

星月 姫薇

今すぐ読む

小悪魔ちゃんを射止めるには
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇試着室
外崎大雅「──はじまったな。春宮のファッションチェック」
結城叶多「春宮ちゃん、洋服大好きだもんね。新作チェックはいつも妥協しないから」
春宮志帆「でもこの組み合わせも捨てがたい・・・・・・」
結城叶多「おーい、春宮ちゃん?」
春宮志帆「このワンピには羽織ものを──」
外崎大雅「もう聞こえてねぇな」
結城叶多「やっぱり・・・・・・」
外崎大雅「まぁ、他のやつはもう帰ったし好きなだけやらせてやればいいんじゃねぇの?」
結城叶多「・・・・・・くっ、外崎のくせに」
外崎大雅「なんだよ・・・・・・文句あんのか」
結城叶多「俺が・・・・・・! 春宮ちゃんのために他の人追い出したりとか、存分に悩めるように準備したかったのに!」
外崎大雅「お前の行動が遅いのが悪い」
結城叶多「チッ・・・・・・というか、外崎も帰れよ。俺が、春宮ちゃんと“ふたりで”チェックするから」
外崎大雅「だれがお前と春宮をふたりきりにさせるかよ。お前こそ帰れ」
結城叶多「残念でした、俺は帰りませんーっ! 春宮ちゃんと外崎がふたりになるなんて、絶対に許さない」
春宮志帆「あーもうっ、ふたりともうるさい。ちゃんと選んで!」
外崎大雅「俺はやってる。こいつが煩いだけだ」
結城叶多「それは俺のセリフだし!」
春宮志帆「はいはい、分かったから――。じゃあこれとこれ、どっちがいいと思う?」
  春宮がふたつのコーディネートを2人に見せた。

〇試着室
結城叶多「うーん・・・・・・こっち」
外崎大雅「はぁ? ありえねぇ・・・・・・こっちだろ」
春宮志帆「やっぱり見事にバラけたねぇ・・・・・・」
結城叶多「ぜーったいにこっちだって!」
外崎大雅「いいや、こっちだ。お前のは春宮には似合わない」
結城叶多「俺の方が春宮ちゃんのこと知ってるもんね。春宮ちゃんの好みは絶対にこれ!」
春宮志帆「ちょ、ちょっとふたりとも・・・・・・」
外崎大雅「春宮には、こういう大人っぽい方が似合うに決まっている。その服は春宮の好みじゃなくて、お前の好みだろう?」
結城叶多「――なっ、そんなことないし! ・・・・・・春宮ちゃんに着て欲しいなとは思ったけど・・・・・・」
外崎大雅「やっぱり・・・・・・。春宮は俺が選んだ服の方がいいと思うだろ?」
春宮志帆「えーっと・・・・・・」
春宮志帆(私に似合う服じゃなくて、正面に展示する服を選んで欲しかったんだけど)
外崎大雅「俺とこいつ――、どっちが好みだ?」
春宮志帆「・・・・・・っ!」
結城叶多「俺のだよね!? 外崎の選ばないよね?」
  ──外崎と結城が、春宮に顔を寄せるように近づいてくる。
春宮志帆(顔が熱い・・・・・・)
春宮志帆(服がってことはわかっているのに、違う意味に聞こえてしまう・・・・・・)
結城叶多「春宮ちゃん?」
外崎大雅「どうした? 顔が真っ赤だぞ? 体調でも悪くなったのか?」
結城叶多「えっ!? 大丈夫? 今日はもう終わらせて帰った方がいいんじゃ──」
春宮志帆「──っ、大丈夫だから!」
結城叶多「でも・・・・・・」
春宮志帆「結城くんも外崎くんも、いつも喧嘩するくせにたまに変な結束力あるよね」
外崎大雅「そんなもんねぇよ」
結城叶多「俺が外崎と・・・・・・? あるわけないじゃん」
春宮志帆「ふふっ。ほらね」

〇試着室
外崎大雅「くっ・・・・・・これは、その──」
結城叶多「ただ、春宮ちゃんを心配しただけだし。仲良いとかありえないし」
春宮志帆「はいはい、そうだね」
結城叶多「あー、信じてない!」
春宮志帆「ふふっ」
外崎大雅「それで、体調悪くねぇならどっちにするのか決まったか?」
結城叶多「あっ、そうだった。ねぇどっちが好み?」
春宮志帆「・・・・・・忘れていなかったのか」
春宮志帆「えっと──、りょ、両方置くことにするよ」
外崎大雅(??)
結城叶多(??)
  ふたりとも、不思議そうにキョトンとした顔をした。
外崎大雅「・・・・・・?」
結城叶多「えっ?」
春宮志帆「ま、マネキン二体用意すればいいだけだし並べてもいいと思うし」
外崎大雅「マネキン・・・・・・」
結城叶多「春宮ちゃんが着るんじゃなくて?」
春宮志帆「もうっ、どうして私が着ると思ってたの? 販売時期になったらもちろん着るけど、今は仕事のことを考えていたでしょ?」
結城叶多「あー、そうだった・・・・・・。仕事だったよね」
外崎大雅「でも、春宮が着るならこれ着ろよ。・・・・・・その、似合うから──っ」
春宮志帆「っ!?」
結城叶多「あー、抜け駆けしたー」
外崎大雅「抜け駆けじゃねぇし」
結城叶多「じゃあ、マネキンに着せるのはそれでいいけど春宮ちゃんが仕事の時はこれも着てね」
  ──結城が、別の新作のセットアップを差し出してくる。
春宮志帆「それも可愛いね! うん、着るよ」
外崎大雅「お前こそ抜け駆けじゃねぇか」
外崎大雅「──春宮、やっぱりこれを着ろ」
  ──外崎は綺麗系のワンピースを差し出してくる。
春宮志帆「えっと・・・・・・」
外崎大雅「なんだ、俺のは着れないのか?」
春宮志帆「き、着るよ!」
春宮志帆(そんなに、しゅんとした顔をしないで欲しい・・・・・・ドキドキするから)
結城叶多「むっ・・・・・・、俺の選んだやつと反応が違う──負けないから」
春宮志帆「は?」
結城叶多「春宮ちゃん、やっぱりこっちも着てみて! というか、今着て見せて?」
外崎大雅「はぁ? それは反則だろ。ならこれも着ろよ」
春宮志帆「・・・・・・」
結城叶多「はい、春宮ちゃん。あとこれも着て見せて」
外崎大雅「お前が選ぶのは似たようなのばかりじゃねぇか、春宮にはこっちの方が似合う」
結城叶多「そういう外崎だって、綺麗系の服ばっかりだよね。よかったね〜、好みの服が入ってきて」
外崎大雅「はぁ? 喧嘩売ってんのか?」
結城叶多「そっちこそ、張り合ってこないでくれる?」
春宮志帆「──っもう! ふたりともストップ! 喧嘩するなら自分で選ぶから」
結城叶多「えぇー!」
  結城が甘えるように春宮を見た。
春宮志帆「・・・・・・っ! そんな目をしてもダメ! いいから仕事して! メンズのも選ばなきゃでしょ」
外崎大雅「仕事終わらせたら着てくれるんだな」
春宮志帆「それは・・・・・・」
結城叶多「えっ、なら早く選ばないと! 外崎、早く!」
外崎大雅「お前もな」
春宮志帆(仲がいいんだか、悪いんだか・・・・・・。でも、このふたりのセンスは好きなんだよね)

次のエピソード:3.結城が誘ったら

ページTOPへ