第七話「二度目の再会」(脚本)
〇荒れた倉庫
俺たちは一晩中デフィジョンを追い続けたが、結局見つけることができなかった。
城井奏太「彩音さん・・・」
〇クリーム
桐島彩音「あんたには期待してんだからね。 新入りっ!」
〇荒れた倉庫
城井奏太「俺は・・・何もできなかった・・・」
ポンチ「くぅーん」
〇廃墟と化した学校
彩音さんと出かけたことを知った近藤は、
俺のことを殴り飛ばした。
近藤孝久「自分のしたことがわかっているのか!」
城井奏太「・・・・・・」
近藤孝久「夜中に無断で外出し、 上官である彩音を巻き込んだんだぞ!」
神崎セナ「もういいだろう」
近藤孝久「しかしっ・・・!」
神崎セナ「そいつは兵士でもなんでもない。 この世界に来たばかりの、ただの迷子だ」
城井奏太「・・・・・・」
近藤孝久「くっ・・・!」
近藤は歯ぎしりして立ち去った。
城井奏太「セナ・・・彩音さんは俺が救い出す」
神崎セナ「無駄だ。もう死んでるだろう」
城井奏太「っ・・・!」
神崎セナ「それより話がある。付き合え」
〇荒廃した街
少し先を行くセナの背中を見ながら、
不思議な気持ちで歩いていた。
昔はセナが後ろをついてきたが、
今は勇ましい姿で俺の前を歩く。
私はお前なんて知らない──
昨日、セナは確かにそう言った。
春斗と同じように、セナは俺の知っている
セナではないのかもしれない。
でも──
城井奏太「セナ・・・俺は」
神崎セナ「・・・・・・」
城井奏太「俺は――お前にまた会えて良かった」
神崎セナ「・・・・・・」
セナは何も答えず、
ただ先へと歩いて行った。
〇橋の上
セナが立ち止まり、
ここがどこかわかった。
城井奏太「ここって・・・! お前が消えた場所だよな!?」
三年前の台風の日、
セナが雷鳴と共に消えた場所だ。
神崎セナ「・・・・・・」
城井奏太「なぁ! そうだろ!?」
神崎セナ「・・・奏太」
城井奏太「!?」
神崎セナ「お前のことはいつも見ていた」
城井奏太「見ていた・・・? どういうことだよ?」
神崎セナ「でもお前と私は、生きている世界が違う。 それが幸せで、私の救いでもあった」
城井奏太「やっぱり・・・ お前は俺のことを知ってるんだな?」
神崎セナ「・・・・・・」
城井奏太「なあ、教えてくれ。 この世界はいったいなんなんだ」
城井奏太「三年前、 どうして急にいなくなったりしたんだ?」
セナは答える代わりに俯いた。
神崎セナ「これ以上残酷なことを・・・ 私の口から言わせないでくれ」
高く水しぶきが噴き上がり、
三体のデフィジョンが姿を現した。
城井奏太「嘘だろ・・・!」
デフィジョンたちは俺とセナを取り囲むと
ジリジリと距離を詰めよって来る。
城井奏太「なんでまた・・・! デフィジョンは 群れないんじゃなかったのかよ!」
神崎セナ「こいつらは特殊だ。 ただ私の命だけを狙っているからな」
城井奏太「特殊・・・? どういうことだよ!?」
神崎セナ「下がってろ。奏太」
城井奏太「一人じゃ無理に決まってるだろ!」
神崎セナ「狙われているのをわかっていて、私が護衛も付けずにここに来た理由を教えてやる」
神崎セナ「それはな、私以外の兵士は―― 全員足手まといだからだ」
セナは閃光のように飛び出した。
両手で二丁のレーザーガンを取り出し、
左右のデフィジョンを素早く攻撃する。
そして対面にいるデフィジョンの眉間に、
銃を連射した。
三体はあっという間に動かなくなった。
城井奏太「・・・マジかよ」
神崎セナ「奏太・・・ここはお前の住んでいる世界とは違う。お前は、ここにいてはいけない」
城井奏太「何言ってるんだよ・・・! ちゃんと説明しろ!」
神崎セナ「だから、元の世界に帰ってくれ」
城井奏太「帰る? 何か方法があるのか!?」
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