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神楽坂駿

第三話「お似合いの二人」(脚本)

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〇ショッピングモールの一階
  家を出た楓は電車に乗り、ショッピングモールの中にある、とあるショップへと入っていった。
  私たちも急いで楓が入ったショップの前に来たのだが・・・。
七草詩織「ここって、アクセサリーショップ・・・だよね?」
高田雄馬「ドクロとかトゲのあるブレスレットとかあるし・・・ヘビメタ系ってやつか?」
  疑問に思いながらも、私達は楓を追って、店内に入ることにした。
  ショップの中に入ると、そこでは楓が真剣な様子で、ヘビメタ系のアクセを物色していた。
高田雄馬「か、楓さんってこんな趣味があったのか!? それとも、彼氏への贈り物だったりするのか!?」
七草詩織「わ、私だって知らないよ・・・! というか、楓に彼氏がいるなんて聞いたことないけど・・・」
高田雄馬「こうなったら、何を買うのか見てくるしかないな。そうすれば、彼氏へのプレゼントかわかるかもしれない」
七草詩織「こ、これ以上近づいたら気づかれちゃうんじゃ・・・」
三井楓「あれ、詩織に雄馬君? こんなところでどうしたの?」
高田雄馬「か、楓さん!?」
七草詩織「あ・・・え、えっと、その・・・た、たまたまこのお店を覗いたら、雄馬君と楓を見つけて・・・」
七草詩織「す、すごい偶然だよね、雄馬君!」
高田雄馬「あ、ああ! すごい偶然だな!」
三井楓「ふふっ、そうだったんだ。 珍しいこともあるんだね」
三井楓「それより、ちょうどいい所に来てくれて、助かっちゃった」
三井楓「ちょっと、二人の意見を聞かせてもらってもいいかな?」
高田雄馬「意見・・・?」
三井楓「実は来週、弟の誕生日なの」
三井楓「今年はいつもよりも大人っぽいものがいいかなって思って探してるんだけど、なかなかいい物が見つからなくて・・・」
高田雄馬「弟の誕生日・・・」
七草詩織(彼氏じゃなかったみたいだね・・・)
  安堵のため息を吐き、私たちは、楓のプレゼント選びを手伝うことを承諾するのだった。

〇ショッピングモールの一階
三井楓「えっと、弟のプレゼント候補を手帳にまとめたから、まずはそれを・・・あれ?」
七草詩織「楓? どうかした?」
三井楓「今日、鞄にキーホルダーつけてたんだけど、それがないの!」
高田雄馬「キーホルダー・・・? それって、大切なものなのか?」
三井楓「う、うん。すごく大事なもので・・・」
七草詩織「だったら急いで探さなくちゃ! どこで失くしたか、心当たりはないの?」
三井楓「えっと、ショッピングモールについた時にはまだあったはずなんだけど・・・」
七草詩織「じゃあ、この辺りを探してみよう!」
高田雄馬「ああ!」
三井楓「二人とも・・・ありがとう!」

〇ショッピングモールの一階
三井楓「全然見つからない・・・」
七草詩織「大丈夫! きっと見つかるよ!」
七草詩織「私、もう一度探してみるね!」
高田雄馬「待ってくれ七草。俺も一緒に行くよ」
七草詩織「わかった。楓は少しここで休んでて」
三井楓「う、うん・・・」
  そのまま雄馬君と一緒に、再びショッピングモール内を回っていく。
高田雄馬「それにしても、楓さんはともかく、七草がここまで必死に探すとは思わなかったな」
七草詩織「楓は私の大事な友達だもん。その友達が困ってたら、力になりたいって思うのは、当然でしょ?」
高田雄馬「そっか・・・七草は、いい奴だよな」
高田雄馬「楓さんのために、絶対見つけよう!」
高田雄馬「って、あれ? 向こうに、何か落ちてないか?」
  雄馬君が指さした場所には、小さく光る物があるのだった。

〇ショッピングモールの一階
三井楓「二人とも・・・本当にありがとう!」
七草詩織「ううん。見つかってよかった」
七草詩織「でも楓のいう大切なキーホルダーが、まさか私と一緒に買ったものだったなんて・・・」
七草詩織「このぐらい、また買えばいいのに」
三井楓「これじゃなくちゃダメなの。だってこれは、子供の頃に詩織と一緒に買った、お揃いのなんだもん」
高田雄馬「七草と楓さんって、そんな昔からの知り合いなんだな」
七草詩織「うん、楓とは幼馴染で・・・」
高田雄馬「幼馴染・・・」
三井楓「そうそう。小さい頃から一緒なんだ」
高田雄馬「そうだったんだ・・・」
三井楓「それでね──」
  楓は、嬉しそうな様子で私との思い出を話している。
  楓が満面の笑みを浮かべているためか、二人で並んで立つその姿は、まるで仲睦まじい、恋人にも見える。
七草詩織(・・・雄馬君と楓、すごいお似合いに見えるな・・・)
  会話している二人を見ながら、私はそんなふうに思うのだった。

〇街中の道路
三井楓「二人とも今日は本当にありがとう。 おかげでプレゼントも買えたし・・・」
三井楓「また改めてお礼するね。 それじゃ私はこの辺りで──」

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