恋文先生!!

神楽坂駿

第四話「カタチにならない想い」(脚本)

恋文先生!!

神楽坂駿

今すぐ読む

恋文先生!!
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇ファミリーレストランの店内
  楓を尾行してから数日後。私は雄馬君と一緒にファミレスでラブレターの制作を続けていた。だが・・・。
高田雄馬「・・・・・・」
七草詩織「雄馬君? どうかした?」
高田雄馬「悪い、ちょっと考え事してた」
七草詩織(この間、楓を尾行してから、雄馬君の様子がちょっとおかしい気がする)
七草詩織(妙に上の空になっている時があったかと思えば、私のことを見てる時もあるみたいだし・・・)
高田雄馬「七草、この部分のフレーズだけど・・・こんな感じで大丈夫かな?」
七草詩織「あ、うん。見させてもらうね」
七草詩織(ラブレターの制作は順調に進んでるから、問題はないと思うんだけど・・・)
  どこか引っかかる。そう思いながら、私は雄馬君が書いたラブレターの一文を読むのだった。

〇教室
三井楓「詩織、この間はありがとうね。 昨日、無事に弟に誕生日プレゼント渡せたよ」
七草詩織「弟くん、喜んでくれてた?」
三井楓「もうバッチリ。相談して正解──」
女子「楓に詩織! おっはよ~!」
三井楓「おはよう。なんだか朝から楽しそうだね?」
女子「ふっふっふ、それが昨日、思いがけない場面を見ちゃって」
三井楓「? 何を見たの?」
女子「なんと、詩織が雄馬君と一緒にファミレスにいたの!」
七草詩織「えっ!」
女子「しかも! あの時の詩織と雄馬君の雰囲気、あれはまさに夫婦そのものだった!」
三井楓「へぇ、そうだったんだ! 詩織も隅に置けないね!」
女子「あれ? もっと驚くと思ってた。詩織と雄馬の組み合わせなんて意外だし、てっきり楓は雄馬狙いだと──」
七草詩織「か、楓! ちょっと来て!」
  このままでは、楓に勘違いされてしまうと思った私は、彼女の手を掴んで慌てて教室を飛び出すのだった。

〇学校の屋上
七草詩織「・・・ここなら、誰もいないかな?」
三井楓「ふふっ、ずいぶんと噂になってるね」
七草詩織「あ、あんなのただの誤解だから!」
七草詩織「私と雄馬君が夫婦みたいだったなんて、私はただ・・・」
三井楓「ただ?」
七草詩織(雄馬君が楓に渡すラブレター作りの手伝いをしてる・・・って、正直に言えればいいいけど、言えるわけないよね)
七草詩織「と、とにかく、雄馬君と付き合ってるわけじゃないの! それだけは信じて!」
三井楓「うん。わかった」
七草詩織「よかった・・・ありがとう、楓」
三井楓「でも、詩織は今のままの関係でいいの? 雄馬君のこと、好きなんじゃないの?」
七草詩織「そ、それは・・・」
七草詩織(雄馬君のことは、楓の言う通り好き。 でも、今の私は雄馬君の恋を応援する立場で・・・)
三井楓「なるほどね・・・ありがとう、なんかわかっちゃった」
七草詩織「えっ!? 私、何も言ってないけど・・・」
三井楓「詩織の様子を見ればわかるわよ」
三井楓「そろそろ教室に戻りましょう!」
  楓はそう言うと、そのまま屋上を後にしてしまった。
七草詩織「・・・・・・」
七草詩織(そのままでいいの、か・・・)
  結局、自分はどうすればいいのか。
  その答えがわからず、私は教室に戻ってからもモヤモヤとした想いを抱えてしまうのだった。

〇一人部屋
七草詩織「はぁ・・・」
  家に帰り、夜になっても胸のモヤモヤが晴れることはなかった。
七草詩織「私、どうしたいのかな・・・」
七草詩織(このまま、恋文先生として雄馬君に接するか、それとも・・・)
  悩むが、やっぱり答えは出てこない。
七草詩織「そういえば・・・」
七草詩織(雄馬君にラブレターを書いた理由を聞いた時、言葉で想いを形にすれば、胸のモヤモヤが晴れるんじゃないかって言ってたっけ)
七草詩織(・・・それなら、私も雄馬君へのラブレターを書いてみれば、自分がどういう気持ちを抱いているか、わかるかな)
  机に向かい、引き出しから便箋を一枚取り出す。
七草詩織(まず、なんて書こう。 手紙だし、まずは拝啓?)
七草詩織(でも、ラブレターなのに少し固すぎるかな。だとすると・・・)

〇一人部屋
  ラブレターを書こうと、机に向かってから数時間が経った。だけど・・・。
七草詩織「ダメ・・・これじゃ、全然想いが伝わらない・・・」
七草詩織(雄馬君が好きなのは、嘘じゃない。 でも・・・)
  脳裏に、ここ最近一緒に過ごした雄馬君との思い出が、浮かんでは消えていく。
七草詩織(好きだっていう想いを書く場所以外は、上手く書けてる・・・と思う)

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:第五話「恋文の行く先」

成分キーワード

ページTOPへ