喰魔戦記

奇怪堂 -kikkaidou-

喰魔戦記(脚本)

喰魔戦記

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喰魔戦記
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〇モヤモヤ
パース「こんばんは、魂の調理の方はいかがですか?」
ガローバ「あら、パースじゃない。悪くないわ。 そろそろ食べ頃かしら」
ガローバ「それにしても相変わらず良い人間を見つけてくれるわね」
パース「いえいえ、私はただ食材を皆様にご紹介しているだけ」
パース「味を決定するのは調理の腕次第ですよ」
ガローバ「謙遜なんて魂喰(たまくら)らしくないわね」
パース「ふふっ、事実ですよ」
パース「ところで貴方様は『悪食のベガ』をご存知ですか?」
ガローバ「悪食のベガ?知らないわね」
パース「おや、そうでしたか。 彼は・・・そうですね」
パース「端的に言えば『魂喰の魂を喰らう魂喰』と言ったところでしょうか」
ガローバ「なるほどね、だから悪食ってことね」
パース「えぇ、その彼がどうやらこの辺りに出没しているようでして」
パース「今日はそのご報告に参った次第でして。 どうぞ、お気を付けください・・・」
ガローバ「わかったわ。この人間の魂も、もう少しで極上の仕上がりだしね」
ガローバ「あぁ、たまらない・・・早く食べたいわぁ」

〇黒背景
悪食のベガ「魂喰(たまくら) それは古よりこの世に存在する魔の者」
悪食のベガ「極一部の人間を除き、多くの者たちはその存在に気付いていない」
悪食のベガ「魂喰は人間に憑依しその者の魂を自らの好みの味に調理し喰らう」
悪食のベガ「しかし、そんな魂喰を狩る者が現れた・・・。その名は──」
悪食のベガ「『喰魔-クウマ-』」

〇大衆居酒屋(物無し)
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「ただいまーっ」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「・・・お兄ちゃーん、いないのー?」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「あぁ。おかえり、歩」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「お兄ちゃん、まだ調子よくならない? 今日もお店閉める?」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「あぁ、すまない・・・」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「ホントに大丈夫? お医者さんに診てもらった方がいいんじゃない?」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「いや、身体は大丈夫なんだ・・・」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「ただ・・・」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「ただ?」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「いや、なんでもない」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「ちょっと疲れてるだけだから寝てたら治るよ」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「そう・・・?何かあったら言ってね」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「二人きりの家族なんだから。ねっ」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「そうだな。父さんと母さんが残したこの店もあるし」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「何よりお前の為にも早く元気になるよ。 じゃあ、少し横になるな」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「うん、夕飯は私が作るからゆっくり寝てて!」

〇屋上の隅
朔真 志生(さくま しき)「この街に魂喰がいるのか・・・」
悪食のベガ「あぁ、この独特な匂い・・・ 間違いなくいるな」
朔真 志生(さくま しき)「よし、行こう・・・」
悪食のベガ「あぁ、ディナーにはもってこいの夜だしな。今から楽しみだ」

〇男の子の一人部屋
ガローバ「ふふっ。さぁ、今日も狩りの時間よぉ」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「くっ、またあの声がっ!?」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「もう嫌だ、俺はあんな事したくない・・・」
ガローバ「んふふ、だーめ」
ガローバ「あなたにはもっともっと苦しんで 美味しくなってもらわなくちゃ」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「何の事だっ、もう嫌だっ・・・・・・」

〇女の子の一人部屋
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「んー。宿題終了ー!」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「・・・ん?お兄ちゃん? こんな時間にどこ行くんだろ・・・?」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「・・・よし、心配だしついて行ってみよう!」

〇通学路
酔っ払い「いやぁ、ちょっと呑み過ぎちゃったかなぁ」
酔っ払い「お母ちゃんに怒られちゃうなぁ~っと」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「はぁーはぁー」
酔っ払い「ん~、なんだ、ちみは・・・?」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「悪いけど、少し痛い目見てもらう・・・わよっ!!」
酔っ払い「うわぁっ、なんだぁ! おやじ狩りってやつかぁ!?」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「うふふ、大丈夫。すぐ終わるわ・・・んふふふ」
酔っ払い「ぎゃあーーっ」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「うわぁーーーっ!!」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「うっ」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「さぁ、早く逃げてっ」
酔っ払い「ひ、ひーっ」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「お兄ちゃん、なんであんな事をっ」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「あら、誰かと思えば妹ちゃんだったのねぇ」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「・・・お兄ちゃんじゃ、ない?」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「あなた、誰!?」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「あら、わかっちゃった? 兄妹の愛ってやつかしらねぇ」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「次の住み家にしようと思って見逃してたけど実の妹を襲わせた方が罪悪感が溜まるかしらねぇ」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「な、なに言ってるの?」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「いいのよ、わからなくて」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「もうすぐ何もわからなくなっちゃうから──」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「ねっ!」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「きゃっ──」

〇黒背景
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「・・・ん?あれ?」

〇通学路
  目の前には見知らぬ男がいた。
朔真 志生(さくま しき)「・・・大丈夫か?」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「あら、また邪魔が入っちゃったのぉ・・・」
朔真 志生(さくま しき)「ふんっ」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「おっと──」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「あ、ありがとう・・・」
  おい、志生。さすがにお荷物を抱えながらは厄介だぞ・・・
朔真 志生(さくま しき)「あぁ、わかっている。ここは一旦引こう・・・」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「あら?何をぶつぶつ言っているのぉ?」
  砂を掴み孝史に向かって投げる志生。
小泉 孝史(こいずみ たかし)「くっ──」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「あらあら、今度は鬼ごっこ?」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「まあ、仕方ないから付き合ってあげるわ。うふふ」

〇入り組んだ路地裏
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「はぁはぁ・・・」
朔真 志生(さくま しき)「ここまで来れば態勢は整えられるか」
  あぁ、だがあまり時間はないかもな。
  見た感じ、あの人間の魂はそろそろ食べ頃だ
朔真 志生(さくま しき)「ベガ、あの魂喰のこと何か知っているか?」
  あぁ、あれはたぶん『ガローバ』だな。
  罪悪感を募らせた魂が大好物らしい。
  だから人間の自我を完全には奪わずに操り人を襲う
  そうして憑依した人間を苦しめ罪悪感が最高潮に達した時に喰う
  それが奴の調理法らしい・・・
朔真 志生(さくま しき)「なるほど・・・」
  まあ、まだ喰ってないって事はもう少し待った方がいいかもな
  魂喰の魂は人間の魂を喰って満たされた瞬間が一番美味いしなぁ
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「あ、あのぉ・・・」
朔真 志生(さくま しき)「ん?」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「一体、何の話を・・・?」
朔真 志生(さくま しき)「・・・そうだな巻き込まれたんだ、本当の事を知っておいた方がいいかもしれない」
  まあ、その方がさっさと逃げてくれるか・・・
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「ネックレスが喋ってるっ!?」
悪食のベガ「・・・なんて言うかこのお嬢ちゃん鈍いな。さっきから喋ってただろう」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「ひっ!バケモノ!」
朔真 志生(さくま しき)「安心しろ。こいつは無害だ」
悪食のベガ「普段は首飾りの状態なんだが今は状況がわかりやすいようにこの姿で説明してやるよ」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「そ、そうなんだ・・・」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「あ、それよりお兄ちゃんがどうなってるか知ってるの?」
朔真 志生(さくま しき)「お兄ちゃん・・・?」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「そう、あの人、私のお兄ちゃんなの!」
悪食のベガ「げっ、マジかよ・・・」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「ねぇ、お兄ちゃんなんであんな・・・」
朔真 志生(さくま しき)「いいか、君のお兄さんは魂喰に憑依されているんだ」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「たま・・・くら?」
朔真 志生(さくま しき)「あぁ、人間に憑依しその魂を喰う魔の者だ」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「え・・・?待って。じゃあ、お兄ちゃんは?」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「あのまま魂を食べられちゃうって事!?」
悪食のベガ「あのまま放置してればそうなるなぁ」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「そんな・・・。ダメだよっそんなのっ!」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「私たち、たった二人だけの家族なのに。 お父さんもお母さんももういないのに」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「お兄ちゃんまでいなくなったら私っ・・・。私っ・・・!!」
朔真 志生(さくま しき)「お、おい、落ち着け──」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「お願いっ、お兄ちゃんを・・・ お兄ちゃんを助けてっ!!」
朔真 志生(さくま しき)「くっ──」

〇炎
志生の妹「お、兄ちゃん・・・。助けて・・・」

〇入り組んだ路地裏
悪食のベガ「――き!おい!志生っ」
朔真 志生(さくま しき)「っ!」
悪食のベガ「大丈夫か?」
朔真 志生(さくま しき)「あ、あぁ大丈夫だ・・・」
朔真 志生(さくま しき)「・・・ベガ、俺はこの娘を助けたい」
悪食のベガ「はぁ~。言うと思ったぜ」
悪食のベガ「好きにしろっ!一度、言い出したらお前は何言っても聞かないしな」
朔真 志生(さくま しき)「すまない・・・」
悪食のベガ「まあ、いいさ。契約はまだまだ続けたいしな」
悪食のベガ「お前にヘソ曲げられたら面倒だ」
悪食のベガ「それに実は試してみたい調理法もあったしな・・・」
朔真 志生(さくま しき)「よし。俺は志生、こいつはベガだ。 君の名前は?」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「え?あ、歩です」
朔真 志生(さくま しき)「歩、君のお兄さんは必ず助ける。安心しろ」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「ホントっ?ホントにホント?」
朔真 志生(さくま しき)「あぁ、任せろ」
悪食のベガ「俺もいるんだ。大船に乗っていろ」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「二人とも・・・」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「ありがとうっ!本当にありがとうっ!」
朔真 志生(さくま しき)「よしっ、行くぞ!」

〇養護施設の庭
悪食のベガ「いいか?作戦はこうだ・・・」
悪食のベガ「志生がガローバを引き付けてる間に俺をお前の兄貴にぶつけろ・・・」
悪食のベガ「それだけだ」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「えぇっ、それだけでいいの!?」
朔真 志生(さくま しき)「ベガは身体に接触するだけでその人間に憑依できる」
朔真 志生(さくま しき)「ベガが憑依する事でガローバは外に弾き飛ばされるはずだ。そこを叩く」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「な、なるほど。わかったっ。 絶対当ててみせるっ」
悪食のベガ「よし、その意気だ。お嬢ちゃん」
  首飾りに憑依するベガ。
  ・・・ん?やつの匂いが近い来るぞ

〇養護施設の庭
小泉 孝史(こいずみ たかし)「もうそろそろ飽きちゃったんだけど。 近くに居るんでしょ?出ていらっしゃーい」
朔真 志生(さくま しき)「ここだっ!!」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「あらあら、いきなり不意打ちって卑怯じゃない?まあ、嫌いじゃないけど」
朔真 志生(さくま しき)「悪いが、少しジッとしててもらうぞっ」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「くっ、人間の身体って脆いから嫌いだわ。 でもこれくらい──」
朔真 志生(さくま しき)「今だっ!!」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「いっっけぇー!!」
  ベガを投げつける歩。
小泉 孝史(こいずみ たかし)「なっ!」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「ぐぅう、誰だっ。中に入ってくるのはっ」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「ぐ、うわぁあぁ!!」
ガローバ「くっ、一体何がっ・・・」
悪食のベガ「よし、作戦は成功だっ。この身体は返してもらうぞ」
ガローバ「なに、私と同じ魂喰だと。 なぜ私の邪魔をっ!!」
悪食のベガ「なぜ、か。それは──」
悪食のベガ「お前を喰うためだよ」
ガローバ「なんだと・・・」
ガローバ「はっ、まさかお前はっ!悪食のベガっ」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「悪食の、ベガ?」
朔真 志生(さくま しき)「あぁ、ベガはやつと同じ魂喰だが喰うのは人間の魂じゃない自分と同じ魂喰の魂──」
朔真 志生(さくま しき)「だからアイツは悪食の名で通ってるんだ」
ガローバ「まったくパースの忠告通りになっちゃったわね・・・」
朔真 志生(さくま しき)「パース・・・?」
悪食のベガ「お嬢ちゃん、ここは危険だ。 兄貴の身体を安全な場所へ」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「う、うん!!」
朔真 志生(さくま しき)「ベガっ、来るぞ!!」
悪食のベガ「さっさと終わらせてディナータイムと行こうぜ!!」
ガローバ「やらせないわよっ──シャッ」
  ガローバの糸が志生の身体を縛り付け包み込む。
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「志生っ!!」
ガローバ「うふふ、悪食のベガって言っても大したことないじゃないっ!」
ガローバ「そこの人間と一緒に喰ってあげるわっ!!」
ガローバ「な、なにっ」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「きゃっ──」
喰魔-クウマ-「ハァアアァ──」
ガローバ「なっなんなのよっ。そんな鎧を着たからってっ!」
喰魔-クウマ-「無駄だ──」
ガローバ「くっ、これならどう!はあぁっ」
  糸を巻き付け鋭い爪を作るガローバ。
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「あっ、糸で爪をっ!」
ガローバ「ふんっ!」
喰魔-クウマ-「はぁああ!」
喰魔-クウマ-「人間の魂を喰ってりゃもう少し強かったかもしれないが・・・」
喰魔-クウマ-「今のお前は雑魚同然だ」
ガローバ「そ、そんなバカな・・・強すぎるっ」
ガローバ「くっ、パース!どこかで見てるんでしょ! 私を助けなさいよっ!」
喰魔-クウマ-「──どうやら助けは来ないようだなぁ」
喰魔-クウマ-「さぁ、絶望して死ね!!」
喰魔-クウマ-「これで止めだっ」
ガローバ「ひ、ひぃ。いやだっ!た、助けてぇっ!う、うわぁああぁ」
喰魔-クウマ-「お、出た出た。これが絶望に満ちた魂喰の魂か」
喰魔-クウマ-「どれどれ、あ~・・・んっ」
喰魔-クウマ-「ん~、これはこれでまた癖になりそうな味だなぁ。美味美味」
朔真 志生(さくま しき)「腹は膨れたか?」
悪食のベガ「まあ腹八分目ってところかねぇ」
朔真 志生(さくま しき)「丁度いいってことだな」
朔真 志生(さくま しき)「ところでガローバが言っていた『パース』と言う名。口ぶりからして仲間の魂喰か?」
悪食のベガ「勘違いするな、志生。魂喰に仲間なんて概念はねぇ」
悪食のベガ「が、ガローバがそいつから俺たちの情報を得ていたのは間違いないようだな」
悪食のベガ「お前の過去に何か関係があるかもな。志生」
朔真 志生(さくま しき)「あぁ、どうやらパースを探す必要があるようだ」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「二人ともぉ~、無事~?」

〇モヤモヤ
パース「あれが喰魔、ですか・・・」
パース「あのお方のおっしゃる通り一筋縄ではいかない相手の様ですね」
パース「悪食のベガ、朔真志生、そして喰魔。はてさてどうなります事やら・・・」
パース「うふふふ、あはははっ──!!」

〇寂れた雑居ビル
小泉 孝史(こいずみ たかし)「本当になんてお礼をしたらいいか。ありがとうございますっ」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「ありがとう二人ともっ」
朔真 志生(さくま しき)「気にしないでくれ。俺たちは俺たちの用を済ませただけだ」
悪食のベガ「そうだなぁ、どうしても礼がしたいって言うなら今度タダ飯でも喰わせてもらおうか、志生」
朔真 志生(さくま しき)「そうだな」
小泉 孝史(こいずみ たかし)「是非いつでも食べに来て下さいっ」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「家、けっこう美味しいって評判なんだからっ」
朔真 志生(さくま しき)「それは楽しみだ」
朔真 志生(さくま しき)「それじゃあ、俺たちはそろそろ行くよ」
小泉 歩(こいずみ あゆみ)「ありがとー、また来てね!絶対だよーっ」
朔真 志生(さくま しき)「あぁ──」
悪食のベガ「またな~」
  喰魔戦記ーーfin.

〇屋上のヘリポート
悪食のベガ「ん?この匂い──」
悪食のベガ「志生、向こうから魂喰の匂いがする」
朔真 志生(さくま しき)「わかった、行こうっ」

コメント

  • 炎に包まれた幼い子、あのワンカットが秀逸で、主人公の過去や背景が垣間見えて憑依されたいきさつなど様々な想像を掻き立てられました。
    また、いわば同族のような存在を食らうものを「悪食」と呼ぶネーミングセンスも素晴らしい

  • 設定やキャラクターの作り込みが深く、物語にも奥行きが出てとても楽しかったです。長編として志生とベガの以降の戦いも読んでみたくなります。

  • 人間なんて魂乗っ取られたら、意味のない存在になってしまいますね。乗っ取られやすい性格ってあるんでしょうか? 何より、兄妹が元の鞘に収まってよかったです!

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