怪人

明里灯

怪人たちは踊る(脚本)

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〇荒れた倉庫
怪人α「うぅ・・・」
怪人α「ここは?」
怪人α「見知らぬ廃墟・・・」
怪人α「この身体は何だ!」
怪人α「・・・」
怪人α「何でもいい思い出せ・・・」

〇魔法陣のある研究室
博士「ふむ、できたな」
あけみ「タケル!」
怪人α(俺は・・・そうだ)
怪人α(博士に拉致され、 肉体を改造された)
怪人α「あけみ・・・」
怪人α(しかも幼馴染のあけみの前で・・・)
博士「人類は新たなステージに移る」
博士「今のお前はコアが潰されない限り死なない それだけじゃないぞ」
博士「トラックを軽々持ち上げ、 脳もワシ並みに賢い」
怪人α「もとに・・・戻せ・・・」
博士「は?」
博士「絶対に今の方がいいだろ」
博士「お前は一足先に新人類となった 宝くじに当たったようなもんだ」
博士「もっと喜べばいいものを」
あけみ「喜べるはずがないじゃない!」
博士「ふむ、これだからボンクラどもは・・・」

〇荒れた倉庫
怪人α「そうだ・・・あけみは?」
怪人α「うぅ・・・」
怪人α(頭が痛くてうまく思い出せない)
怪人α(この姿では目立つが、 早く探しに行かなければ・・・)

〇広い公園
怪人α「ここは・・・」
怪人α「確か高校生の頃あけみと・・・」

〇広い公園
タケル「俺、ぜってぇビッグな男になるぜ」
あけみ「あんたまだそんなこと言ってるの?」
あけみ「そろそろ現実見て、 将来どうするか決めないと」
あけみ「ホンット心配だわ」
タケル「何だよ、夢は大きいがいいだろ?」
あけみ「具体的なら、ね」
あけみ「あんたビッグになりたいしか 言わないじゃない」
あけみ「本当はなりたいものがないだけでしょ?」
タケル「うっ」
タケル「違うって本当は!」
タケル(消防士になりたいんだけど・・・ 俺なんかになれる訳ないから・・・)
あけみ「私は学校の先生になろうと思ってる」
タケル「はぁ、マジお前いつも現実的だよな」
あけみ「そりゃそうよ 私たちが生きているのは現実だから」
タケル「お前絶対に 俺とは結婚しないタイプだよな」
あけみ「・・・」
あけみ「当然よ! こんな甲斐性なし!」
タケル「俺だってお前みたいな冷徹女 ぜってぇえ無理だしぃ!」

〇広い公園
怪人α(いつものやり取りだったが・・・)
怪人α(今思えば後悔しかない)
怪人α(俺はずっとあけみが好きだったから・・・)
怪人α「こんな体になる前に、 気持ちを伝えられれば良かったのだが」

〇広い公園
怪人α「ん?」
怪人β「こんなところにいたのか」
怪人α「お前は?」
怪人β「お前を処分しにきた」
怪人α「?」
怪人β「逃亡したお前を処分しにきたんだよ」
怪人α「俺が素直に言うことを聞くとでも?」
怪人α「あけみはどこだ?」
怪人β「さぁな」
怪人α「貴様」
怪人β「反抗的な目だ」
怪人α「ぐあっ!」
怪人β「新人類にふさわしくない 失敗作は死んでもらう」
怪人α(一撃で防御した腕が折れた・・・ 何つーパワーだ!)
怪人β「怪人には突出した能力がある」
怪人β「俺の超パワーもその一つだ」
怪人β「だがお前は何も能力がないらしい だから失敗作なのだ」
怪人α「ぐぁあああああッ!!!」

〇公園の入り口
怪人α「うそ・・・だろ ここまで飛ばされるなんて」
怪人α(あばらもやられている 出血もひどい・・・)
怪人α(完全な機械の体ではないのか・・・)
怪人β「どうした? 同じ怪人として恥ずかしいぞ?」
怪人α(今のままでは勝ち目はない どうする・・・?)
怪人β「ザコをいたぶってもおもしろくない 早く立ち上がれ」
怪人α(こうなったら・・・)
怪人α「戦略的撤退!」
怪人β「・・・」

〇荒れた倉庫
怪人α「ちくしょう! 怪人なのに能力ないってどういうことだよ!」
怪人α(あけみ・・・)
怪人α(早く助けに行かないと やつらに何をされるか・・・)

〇汚い一人部屋
タケル「よっしゃ! このゲームもクリアだぜ!」
あけみ「タケルあんたマジで ゲームばっかしてないで勉強しなさい!」
タケル「うっせー! 息抜きも大事なんだよ!」
あけみ「息抜きしてるとこしか 見たことないんだけど?」
あけみ「ほら、勉強するよ」
タケル「へいへーい」
あけみ「何よ、うれしそうに」
タケル「だってあけみの教え方うまいからさ」
タケル「一人で勉強するよりは 楽しいんだよなぁつって!」
あけみ「ほめても何もでないぞ」
あけみ「500円くらいなら・・・」
タケル「ガキのお小遣いかよ」
タケル「つか、ほめたら500円出すのかよ」
タケル「あけみ・・・お前・・・」
あけみ「何?」
タケル「よく見ると美人だなぁ」
あけみ「なっ!」
タケル「つーわけで、500円ちょーだい!」
あけみ「もうマジでお前嫌い!」

〇荒れた倉庫
怪人α(早く助けに行かないと!)
怪人α(だが焦ればより危険になる 体を治すのに専念しよう)
怪人α「そういえば・・・」
怪人α「あの怪人は、 怪人には一つずつ能力があると言っていた」
怪人α(気づかれていないだけで 俺にも何かあるかもしれない)

〇荒れた倉庫
怪人α(さすが怪人、身体の治りも早い)
怪人α(しかし、こんな身体にされて もっと取り乱すと思ったが・・・)
怪人α(今は自分のことなんか 考えている暇がないからな・・・)
怪人α「ひとまず身体を動かしたい パンチを打ってみるか」
怪人α「な!」
怪人α「明らかにパンチ力が上がっている!」
怪人α(まさか俺の能力は相手の能力のコピー?)
怪人α「能力なしと思われる訳だ これなら行けるかもしれんぞ」

〇入り組んだ路地裏
怪人α(連日雨で助かった 人目は少ない方がいいからな)
怪人α(記憶を辿って 研究所を探さねば・・・)

〇汚い一人部屋
タケル「あけみ!!」
あけみ「はいはい」
タケル「試験合格だってさ!」
あけみ「やったじゃない」
あけみ「しかし、あの勉強嫌いのタケルが、 消防官採用試験受けるなんてね」
タケル「実は前からの夢だったんだ」
あけみ「まさか・・・両親の?」
タケル「そう、親父たちは火事で死んだし、 あん時は消防士を恨んだよ」
タケル「でも、俺を助けるだけでも 命懸けだったんだ」
タケル「今はすげぇカッケー人たちだと思ってる」
あけみ「本当はしっかり考えてたのね」
あけみ「前々から言ってくれていれば、 もっと効率よく教えれたのに!」
タケル「バーカ、敵を欺くにはまず味方から! だろ?」
タケル(ホントは自信なくて 言えなかっただけなんだけどね・・・)
あけみ「お前は何と戦っているんだ」

〇入り組んだ路地裏
怪人α(両親が死んでやさぐれても あけみは俺のそばにいれてくれた)
怪人α(最低だった俺が曲がらず生きれたのは、 あいつのお陰なんだよな)
怪人α「だから・・・」
怪人β「見つけたぞ 腰抜け」
怪人α「今度は逃げないさ」
怪人β「ふん」
怪人α「お前に勝てたら 研究所の場所を教えろ」
怪人β「いいだろう できればいいな、ザコ」
怪人α(打撃をさばききった!)
怪人β「ほう」
怪人α(行ける! やはりこいつと同格のパワーが出せてる!)
怪人β「ギアを上げる必要がありそうだな」

〇低層ビルの屋上
怪人α(跳躍して距離を取り、 スペースがある場所へ)
怪人α(ギアを上げると言った 片腕犠牲にしてでも受けて)
怪人α(能力をコピーして カウンター・・・それしかない)
怪人α(コアが残ってれば再生できる 恐れるな・・・絶対大丈夫!)
怪人β「いくぞ」
怪人α(しかし、何か違和感がある)
怪人α(今はそれどころじゃない 戦いに集中しろ!)
怪人β「必殺!」
怪人α「あがっ!!!」

〇荒廃した教会
怪人α「まさかここまで吹き飛ばされるとは・・・」
怪人α(ガードした左腕が崩れていく)
怪人β「ほう、受け切ったか」
怪人α「俺はな・・・負ける訳にはいかないんだよ」
怪人β「・・・」
怪人α「俺はあけみが好きだ」
怪人α「死ぬほど好きだ!」
怪人α「でも、その気持ちを伝えられないまま こんな身体にされてしまった」
怪人α「せめてあけみを助けたい この身体がすべて崩れても」
怪人α「あいつはクズみたいな俺の ずっとそばにいてくれたんだ・・・」
怪人α(あれは中学の時、 親父たちか死んですぐのことだ・・・)

〇汚い一人部屋
タケル「ギャーギャーうるせぇんだよ!」
あけみ「黙ってられる訳ないじゃない! 警察に呼ばれたんだよ!」
タケル「弁償したんだからいいだろ?」
あけみ「そういう問題じゃない!」
タケル「いでっ!」
あけみ「天国のおじさんもおばさんも きっと悲しむ」
タケル「・・・」
タケル「こういうときって普通平手打ちだろ?」
あけみ「あんたはグーで十分よ! むしろ足りない!」
タケル「あでっ!!」
あけみ「バカでも優しかったあんたは どこいったのよ!」
タケル「・・・」
タケル「こんにゃろ!!」
タケル「お前がいつもの調子でまとわりつくから!」
タケル「グレることだってできないじゃないか!」
あけみ「タケルは強がりだから・・・」
タケル「な、なに抱き着いてんだ!」
あけみ「泣いていいんだよ?」
タケル「お、おい・・・」
タケル「マジでうぜぇんだよ・・・」

〇荒廃した教会
怪人β「・・・」
怪人β「最後の言葉は終わりか?」
怪人α「あぁ、俺は絶対にお前を倒す」
怪人α「そしてぜってぇにあけみを助ける!」
怪人α(腰を落とした構え・・・ これが最後の一撃になる)
怪人α「いくぞ!」
怪人β「こい!」

〇荒廃した教会
怪人α「・・・」
怪人α「勝った・・・のか?」
怪人β「タケルとかいうお前・・・」
怪人β「見事な一撃だった・・・」
怪人α「研究所の場所を教えろ」
怪人β「教える だがその前に・・・」
怪人β「これをもっていけ」
怪人α「これは?」
怪人β「俺の身体に内蔵された盗聴機械も 壊れたようなので言うが・・・」
怪人β「俺のコアだ」
怪人β「お前の身体に組み込めば より強いパワーが出せるだろう」
怪人α「何故、力を貸してくれる?」
怪人β「どうせ死ぬのだから・・・ 最後は博士に一矢報いたい」
怪人β「こんな身体にされ、新人類? 笑わせるな・・・」
怪人β「怪力や不老不死が人間の進化ではない」
怪人β「そう思わないか?」
怪人α「同感だ」
怪人β「俺は爆弾が埋め込まれていて 博士に逆らえなかった」
怪人β「だが失敗作とみられていたお前は違う 発信機も爆弾も埋め込まれていない」
怪人β「どうか・・・博士を倒してくれ」
怪人α「約束する・・・」
怪人β「それから・・・」
怪人β「あけみという女は・・・ きっと幸せだろうよ」
怪人β「お前の叫びに少し心が揺れた」
怪人β「少しだけだ」
怪人α「・・・」
怪人α「ありがとう」

〇魔法陣のある研究室
怪人α「ようやく・・・たどり着いた」
博士「ほう、失敗作か」
怪人α「あけみはどこだ?」
博士「何を言っている?」
怪人α「あけみだ! 俺と一緒にいた女性だ!」
博士「ほほーそういうことかぁ」
博士「ワシを倒せば教えてやるぞ」
怪人α「お前みたいな老人 一発でお陀仏だ!」
博士「そうだろうな だから・・・」
怪人ゼロ「新人類になるさワシも」
怪人α「何!」
怪人α「貴様はどこまでも最低だな」
怪人α(相手は俺を失敗作と侮っている だから一撃で決める)
怪人α「必殺!」
怪人ゼロ「ぐぁあああああああ!!!!」
怪人ゼロ「な、何だ! この強さは・・・!」
怪人ゼロ「一撃でワシの身体が!!」
怪人α(コピーした超能力 更にさっきの怪人のコア)
怪人α(負ける気がしねぇぜ!!)
怪人α「あけみはどこだ!」
怪人ゼロ「はは・・・ぎゃはははは!!!」
怪人α「何がおかしい?」
怪人ゼロ「お前のいとおしいあの女も ワシが新人類にしてやったぞ!」
怪人α「な、何だと・・・!」
怪人ゼロ「爆弾をつけてお前を追わせた! 始末しろ、とな!」
怪人α「ま、まさか・・・」

〇荒廃した教会
  違和感はあった・・・
  本来、あいつは
  俺をすぐに仕留められたはずだ
  それだけのパワーがあった
  だが、怪人パワーの説明をし、
  まるで戦い方を教えるかのように戦った
  あいつは──
  恐らく会話とかも筒抜けで・・・
  だから、敵のフリをして倒された
  そうだよ・・・
  あけみは教えるのが得意だった
  何で戦っている最中に
  気づかなかったんだ!!

〇魔法陣のある研究室
怪人α「うわぁああああああああああ!!!」
怪人α「俺は! 俺はこの手であけみを!!」
怪人ゼロ「ぎゃはっははははははは!!!!」
怪人ゼロ「あぎゃ!」
怪人ゼロ「ぎゃぁあああああ!!!」
怪人ゼロ「ワシを倒しても・・・もう遅い」
怪人ゼロ「13人の新人類が世に放たれた・・・」
怪人ゼロ「これで・・・ ワシを見下したやつらも・・・」
怪人α「あけみ・・・」
怪人α「何?」
怪人α「え?」
怪人α「だから何よ?」
怪人α「もらったコアから声が?」
怪人α「私も誤算だったけど・・・ コアがあれば生きていられるみたい」
怪人α「マジか!」
怪人α「だからほら、メソメソしてないで!」
怪人α「あ、はい!」
怪人α「13人の怪人、倒しにいくわよ」
怪人α「何で!?」
怪人α「そりゃ、力がある私たちにしか できないことだからよ!」
怪人α「姿は変わってしまっても、 人の心を失っちゃダメよ」
怪人α「ははっ!」
怪人α「何笑ってるのよ?」
怪人α「いや、あけみらしいなって思って」
怪人α「私だから当然でしょ!」

〇渋谷駅前
  こうして俺たちは、
  13人の怪人倒しの旅に出た
  姿は変わっても、
  あけみはあけみだ
  俺も俺だ
  だからきっと大丈夫
  この大きな仕事もやり切れるさ
  というか俺・・・
  よくよく考えると告白しちゃったんだな
  言えないまま終わるよりはいいか!
  はははははは・・・
  おしまい

コメント

  • あけみちゃん…あんたいい女だよ(;ω;)
    博士は…地獄で詫びろ!(ライブ・○ライブより)

  • あけみちゃんが生きてて本当によかったです。ドキドキでグッドなストーリー、良きでした!

  • コア!なるほど!この短いストーリーの中でとてもハラハラして、泣いて、「良かった、良かった」と喜ぶ。盛り沢山で楽しかったです!

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