1.恒例のワクワク(脚本)
〇アパレルショップ
寒さがまだ残る2月の終わり──。
アパレルショップで働く私、春宮志帆(はるみやしほ)はこれから始まることにウキウキしながらお店の閉店作業を終わらせた。
近いうちに来るとは思っていたけれど、それがまさか今日だとは・・・・・・。
春宮志帆「ふふふ〜ん🎶」
結城叶多「春宮ちゃん、ご機嫌だね」
笑いながら私に声をかけてきたのは、結城叶多(ゆうきかなた)。
人懐っこい性格で、少し癖のある茶髪は毎日格好よくセットされている。右耳にはアメジストのピアスが光っていた。
春宮志帆「もちろんだよ!なんと言ったって今日はあれが届いたんだからね」
私は、バックヤードの隅にたくさん積み重なって置いてあるダンボール箱を指さしながら言った。
〇備品倉庫
結城叶多「あぁ、そっか──あれね」
春宮志帆「結城くんもやるでしょ?」
結城叶多「うん、もちろん・・・・・・でもあいつもまたいるの?」
結城が嫌そうな顔をした直後、黒縁メガネをかけている長身の男が肩越しに顔を出した。
外崎大雅「春宮をお前にまかせるとでも?」
結城叶多「うおっ!? おまっ──、背後で気配消すなよ! そもそも、春宮ちゃんはお前のじゃない!」
春宮志帆(私よりも背が高いのはもちろん、結城よりも少し高い)
ストレートで短髪な黒髪は、とても清潔感がある彼は外崎大雅(とのさきたいが)。ツンデレも兼ね備えた、俺様気質のある人物だ。
ちなみに、黒縁メガネは目付きが悪く見えてしまうのを隠すためにかけているらしい。
春宮志帆(このふたりと私は、歳が近いこともあり、すごく仲が良かった)
仕事終わりに飲みに行ったりもするし、休日遊びに行くこともあるくらいだ。
そして、今日みたいな日にはふたりとも必ず最後まで残ってくれている。
何かを言い合っている結城と外崎を放っておいて、私はダンボール箱の開封を始めた。
中を開けると、ビニールに包まれた真新しい春服が詰め込まれているのが見える。
ここにあるダンボール全てに、今度の新作である春服の見本が入っているのだ。
この状況にワクワクしないはずがない。
私は一瞬で周りが見えなくなり、自分の世界に飛び込んだ。
春宮志帆「今期の服も素敵なのばかり! このトップスにはこのスカートでも合うし・・・・・・」
そもそも、洋服が好きでアパレル店員になったのだ。
流行を一番に追うことのできる、仕事終わりにあるこの新作チェック会は毎回欠かさない。
ブツブツと呟きながら、ビニールを外して服を広げていく。
洋服を見るのに必死な私には、この時の二人のやり取りは全く聞こえていなかった。
とてもシンプルな文章だけど、その場の雰囲気や登場人物の性格がすぐにイメージできる好感がもてる描写でした。さて、彼らの会話が気になりますね!
羨ましい!同期2人に愛されているのが伝わります。当の本人は分かってなさそうてますね(笑)
良いところで終わってしまったので、続きが楽しみですね。