逃げ切れ!妖狐ちゃん

戸羽らい

#3 対抗(脚本)

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戸羽らい

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〇屋敷の寝室
踊り子 フォクシー「・・・」

〇森の中
神父 ランド「君、妖狐でしょ?」
踊り子 フォクシー「えっ」
神父 ランド「龍神様の話、そして君が教会から現れたという話を聞いて確信した」
神父 ランド「君は堕天し、妖怪と化してしまった狐の神様だ。違うかい?」
踊り子 フォクシー「教会に降りたのはたまたまだし、それに妖怪って・・・」
神父 ランド「天から降りてきたのは本当なんだね」
踊り子 フォクシー「うっ・・・」
踊り子 フォクシー「でも、私、人間に危害を加えたいわけじゃないし、できれば仲良くなりたいなーと」
神父 ランド「分かってる。大丈夫、僕は君の味方だから」
踊り子 フォクシー「味方・・・?」
神父 ランド「本当はもっとお話していたいけど、あまり帰りが遅くなると怪しまれる」
踊り子 フォクシー「・・・」
神父 ランド「・・・占い師には気をつけて」

〇屋敷の寝室
踊り子 フォクシー「占い師・・・」
踊り子 フォクシー「そういえばアクエリアも「うんこを浄化する力」とか言ってたっけ」
踊り子 フォクシー「私を浄化する・・・元々清い存在なのにこれ以上浄化してどうするんだろ」
踊り子 フォクシー「・・・まあいいか、寝よ」

〇占いの館
???「・・・」
???「見える・・・見えるぞ・・・」
???「こいつの正体は・・・!」

〇おしゃれな居間
  翌朝
医師 クランツ「アリスちゃ〜ん、僕とお医者さんごっこしないかい?」
村娘 アリス「いいよ〜。私がお医者さんで、クランツさんは死体役ね。その汚い腹の中を私が解剖してあげるよ」
医師 クランツ「やめてぇ」
僧侶 アルカ「破廉恥です。こんな不道徳な茶番を人前で披露するなんて人狼では?」
商人 ルドルフ「解剖かぁ〜。臓器は金になりそうやな〜」
冒険者 マーベリック「・・・呑気なやつらめ」
神父 ランド「・・・」
踊り子 フォクシー「・・・おはよう」
神父 ランド「おはよ、フォクシーさん。昨日は眠れた?」
踊り子 フォクシー「・・・」
村長 ゴードン「全員揃ったようじゃな。つまり──」
村長 ゴードン「人狼は襲撃に失敗したということか」
神父 ランド「そのようですね」
冒険者 マーベリック「龍神の言っていた、狩人の力か?」
村長 ゴードン「うんこの可能性がある」
冒険者 マーベリック「あァ?」
村長 ゴードン「うんこ食べようとした可能性がある」
医師 クランツ「うんことは妖狐のことだな。人狼は妖狐を襲っても、襲えないらしい」
村娘 アリス「くさそう」
医師 クランツ「私たちは人狼にばかり気を取られているが、妖狐のこともしっかり警戒しないといけないぞ」
医師 クランツ「何故なら、妖狐は最後まで生き残ると、調子に乗って村の民を全員殺してしまうからな」
村娘 アリス「何それ怖い」
踊り子 フォクシー(そんなことしないよ・・・)
神父 ランド「人狼に・・・妖狐。もしかしたらこの村は呪われてるのかもしれませんね」
踊り子 フォクシー「・・・」
医師 クランツ「妖狐は占いの力で退治することができる。つまり、占い師はなるべく妖狐を狙って占うべきだ、と言えるな」
村長 ゴードン「アドバイスありがとう、人狼」
村長 ゴードン「今日はお主を吊るが、他に言い残すことはないか?」
医師 クランツ「はぁ?」
村長 ゴードン「わしは占い師じゃ! 昨晩、医師クランツを占った結果、人狼じゃった!」
医師 クランツ「何を言ってるんだこのボケ老人は! 私が人狼だと!? 妄想も大概にしろ!」
村長 ゴードン「処刑じゃ」
村長 ゴードン「医師クランツ、処刑じゃァー!」
僧侶 アルカ「・・・村長さん、貴方人狼だったんですね」
僧侶 アルカ「僕が真の占い師です。昨晩はクランツさんを占って人間でした」
商人 ルドルフ「ほほーう。面白くなってきたやん」
医師 クランツ「アルカさん、君が真の占い師だったか」
村長 ゴードン「なんじゃこいつ」
村長 ゴードン「女装だけじゃ飽き足らず、占い師まで騙ってきおったか。ごっこ遊びは一人でしておればいいものを」
村長 ゴードン「とりあえず今日はクランツを処刑する。皆のもの、異論はないな?」
村娘 アリス「ちょっと考えさせて」
冒険者 マーベリック「右に同じく」
神父 ランド「そうだね。僕たちも考える時間が欲しい」
踊り子 フォクシー「・・・」
村長 ゴードン「では夜にまた館に集合!」
村長 ゴードン「それまで、解散!」

〇寂れた村
村娘 アリス「・・・」
冒険者 マーベリック「村の犠牲者たちか。何度見ても凄惨な光景だな」
村娘 アリス「・・・」
冒険者 マーベリック「罪もない人たちを片っ端から襲いやがって」
冒険者 マーベリック「人狼め。絶対に俺がこの手で仕留めてやる」
村娘 アリス「・・・冒険者さんはどっちが真占いだと思う?」
冒険者 マーベリック「さっきの話か? そうだな。俺は村長が本物の占い師だと思う」
冒険者 マーベリック「なんだか、村長からは真のパッションを感じたからな」
村娘 アリス「・・・でも、もし村長さんが真なら、既に狼が2匹とも露出してることになるよね」
村娘 アリス「お医者さんを守るために、仲間の僧侶さんが占い師を騙った──」
冒険者 マーベリック「そうだな。俺はその2人が人狼なんじゃねーかなと、今は思ってる」
村娘 アリス「うーん。私は人狼がそんな分かりやすい動きをすると思わないけど」
村娘 アリス「「人狼は医師と僧侶ですよ〜」って自分から言ってるようなものだし」
冒険者 マーベリック「・・・言われてみれば、そうかもしれないな」
村娘 アリス「私は僧侶さんが本物だと思うな」

〇森の中
神父 ランド「僕は村長が本物の占い師だと思う」
踊り子 フォクシー「・・・どうして?」
神父 ランド「クランツさんとアルカさんを人狼だと仮定すると、あの2人ってああするしかなかったんだよね」
神父 ランド「片割れが占い師に占われて、あのまま何もせずに村長の真を認めてしまったら──」
神父 ランド「狩人に村長を護衛されたまま、もう片方の人狼もいずれ占われることになる」
踊り子 フォクシー「・・・」
神父 ランド「だから、アルカさんはあそこで占い師を騙るしかなかった・・・」
神父 ランド「僕には初手で追い込まれた人狼が、なんとか足掻こうとしてるようにしか見えなかったよ」
踊り子 フォクシー「じゃあこのまま行けば人狼を退治できるってこと?」
神父 ランド「そうだね。でも──」
神父 ランド「占い師の力はこれ以上放置できない。だって、君が占われたら溶けてしまうから」
踊り子 フォクシー「溶ける?」
神父 ランド「妖狐はね、呪術に弱いんだ。占いの力を浴びると、その身体を現世に留められなくなってしまう」
踊り子 フォクシー「え・・・」
神父 ランド「だから、君のためにも占い師は殺さなくてはならない」
踊り子 フォクシー「・・・ってことは」
神父 ランド「うん」
神父 ランド「今日は村長を処刑しよう」

次のエピソード:#4 信念

コメント

  • 溶けるのか、妖狐ちゃん…

  • 人狼あるあるも出てきて、物語が動きだしている感ありますね!

  • うーん妖狐ちゃんの弱点が判明して緊迫感増…駆け引きが面白くなってきたッ!

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