読切(脚本)
〇実家の居間
ママ「またゲーム?友達と遊んできなさい!」
〇〇「あいつらと話あわねぇもん」
パパ「ただいま あ!1人でやるなよ!」
パパ「また「ああああ」?名前にこだわりないな」
〇〇「キャラクターは心 名前はどうでもいい」
パパ「心?変わってるなー」
〇実家の居間
パパ「次は映画?」
ママ「勉強もしないでブラウン管にかぶりつき なんとか言って下さい」
パパ「いいじゃないか」
パパ「もしかしたらそのうち映画監督になるかもしれないぞ!」
〇劇場の舞台
司会「映画祭グランプリは史上初の高校生が受賞しました!」
○○「あきらめなければ必ず夢は叶う!そう信じてよかったです!」
〇レンタルショップの店内
???「サイン会?こんなとこで?まずあいつ誰?」
???「ああ、高校生でグランプリ獲ったってあの」
???「観たあの映画?つまんなかったぁ」
???「高校生だからってチヤホヤされてただけ」
???「サイン会ってあいつにファンいるのかよ」
???「もう終わった奴なのに」
???「サイン下さい!」
○○「・・・誰かに頼まれたの?親は?」
××「○○監督でしょ?僕ファンなんです!」
○○「君が?」
××「そうだよ!○○監督が来るって聞いて来たの!」
○○「・・・俺の作品子供レベルって事か」
サインを書く
〇スーパーマーケット
イチモト「世界の平和は僕達が守る!」
〇デパートの屋上
イチモト「なんだよこの本!演じるこっちの身にもなれやバ○!」
イチモト「内容が幼稚すぎ!子供ですら満足させられてねぇじゃねぇかボ✕!」
○○「だけど僕が伝えたいのは夢や希望を・・・」
イチモト「古クセぇんだよ!見てみろ現状!ただでさえ客こねぇのに来たら来たでブーイング!学べよバ○が!」
ああああ「15点の売れない□そ役者の10点の批評なんか聞く必要はない お前の才能に気づけないゴ✕の声など無視しろ」
アサムラ「もういいじゃない 次がんばろ」
イチモト「飲み行くぞ」
ああああ「あんな△ズ連中とは飲みに行くなよ 売れてないしこれからも売れない奴の売れない話を聞く程無駄な時間はない」
アサムラ「私はあなたの味方だからね!」
〇撮影スタジオのセット
監督「テメェ何やってんだく✕が」
プロデューサー「一回○ね」
音声「使えねぇんだよ△ズ」
撮影「消□ろよできそこない」
主演「こ□すぞ」
○○「すみません!」
ああああ「てめぇら誰も見ねぇような□そ映画撮って偉そうにプロ気取ってんじゃねぇよバ✕が!」
〇施設の休憩スペース
ああああ「偉いぞ!バ△共の休憩中お前は努力を怠らない!天才だ!絶対に報われるぞ!」
ヒダリ「君、助監督?」
○○「はい」
ヒダリ「この映画の脚本を担当しているヒダリです お忍びで撮影見に来ました」
○○「え?でも」
ヒダリ「普段ペンネームで活動してるから」
○○「そうなんですね・・・」
ヒダリ「君、高校生でグランプリ獲った子だね?」
ヒダリ「この世界長いから顔見たらわかる だいぶ年とったみたいだけど」
ヒダリ「休憩中だろ?何書いてるの?」
○○「あ、ヒーローショーの作演もやっていてそれの構想を・・・」
ヒダリ「おお!今度見にいっていい?」
○○「はい・・・!」
ヒダリ「よろしくね!」
ああああ「これはチャンスだぞ!やっぱりあきらめずやり続ける事に意味があるんだな!」
プロデューサー「何サボってんだゴ✕が!働けバ○!」
○○「はい!」
〇稽古場
イチモト「その手を離せ怪人!」
○○「そこはもうちょっと早く動いて・・・」
イチモト「ああ!?気持ちがノってねぇのに早く動けるか!」
ああああ「それっぽい事言うなお前ごときが」
イチモト「あんたの言う演出じゃメソッドが・・・」
ああああ「はい出た役者気取り発言!そもそもメソッドの意味わかって・・・」
○○「うるさい!」
○○「いいから僕の言う通りにやってよ!」
イチモト「わかったよ・・・」
ああああ「すげーじゃん!あいつを黙らせたぜおい!」
〇古いアパートの部屋
アサムラ「今日かっこよかったよ」
○○「今度すごい人が観に来るから気合い入っちゃった」
アサムラ「何それ?」
○○「現場でプロの脚本家とあってショー観たいって」
アサムラ「ええ!?すごいじゃん!」
アサムラ「大好き」
○○「君といるともう1人の僕が出てこないから癒されるなぁ」
アサムラ「ホント変わり者だね」
アサムラ「また自分の映画撮ってみたら?」
○○「シナリオのコンペには一作応募したけど・・・」
アサムラ「それもいいけど映画を撮りたいんでしょ? 辛い思いしたかもしれないけど やりたい事やった方がいいと思う」
○○「・・・やりたい事」
アサムラ「がんばれ!」
〇デパートの屋上
イチモト「愛と平和は僕らが守る!」
○○「おはようございます! あの!どうでし・・・」
ヒダリ「どうでしただと?なめてんの?」
ヒダリ「何も成長してねぇなお前 ちょっとでも期待した俺がバカだった」
○○「でも!一生懸命考えて・・・」
ヒダリ「△そみたいプライド出してくんじゃねぇど素人が!」
ヒダリ「誰に向けて書いてんだ? 何を伝えたいのかさっぱりだ」
ヒダリ「誰か一人に向けて書いてんだろ?だからおもしろくねぇんだよバ~○」
ヒダリ「大衆向けじゃねぇヒーローショーなんて聞いた事ねぇ 金返せ」
ヒダリ「早くしろ」
ああああ「気にするなあんな□ズ 大体ペンネーム使う奴など信用できん あいつら飲み会で実は俺こういう名前で活動してるんだと」
ああああ「バ○な女からの「キャー❤」が欲しいだけの下半身野郎 本名で顔出ししてるお前は奴らの何倍も覚悟がある」
アサムラ「何するのよ!」
イチモト「なんでプロの脚本家来るって言わなかった!あんな△そみたいなショーみせて!業界干されたらどうすんだ!ああ!」
ああああ「安心しろ 業界はお前の事一人も知らねぇよバ~□」
オーナー「もう来なくていいから」
○○「え!?だってまだ契約が・・・」
イチモト「てめぇのせいで仕事無くしたじゃねぇか!」
ああああ「散々文句言っといて仕事無くなった途端にこれか!ダセェ奴だ!」
アサムラ「やめてよもう!」
○○「ごめんなさい ごめんなさい・・・」
〇開けた交差点
慎重に検討させていただきました結果
貴殿の作品は残念ながら・・・
ああああ「早まるな 俺達は最高のコンビ! いつか絶対報われる運命なんだ! 負けるな!」
〇古いアパートの部屋
○○「ただい・・・」
「あん・・・もうだぁめ」
「好きなくせに」
「っていうか今日やりすぎだよね」
「あれは殴りたくなる顔してるあいつが悪い」
「良い人なんだけどねぇ」
「いやお前知ってたなら脚本家来る事言えよ」
「それは○○君に悪い」
「お前あいつの味方すんの?」
「だって彼女だし」
「じゃあ俺は?」
「ん~友達?」
「なんだよそれ」
「〇〇君の事は好き これ浮気とかじゃないじゃん? なんていうか別腹?」
「別腹って💦」
「そんなに気にする事? 寿司もチョコも食べたいって思ってるだけなんだけどな~ 人間なら普通の事でしょ?」
「すげぇなお前 まぁそういう所がいいんだけど!」
「あんっ・・・もう~」
ああああ「やめろ お前はお前の物語の主人公 俺とお前が同化して大魔王を倒しに行く 勇者がいなくなれば世界の平和を守れなくなるぞ」
〇SNSの画面
どーも〇〇です!だ~いぶ久しぶりの更新となってしまい申し訳ありません😔
さて!何十年かぶりの新作映画を撮影する事が決定いたしました!
それでですね!その記者会見というか発表会という・・・
そんなのを開催しようと久々にアップした次第です(笑)
燃えてます!命かけてます!熱い思いぜひ感じてくれい!開催場所は
〇デパートの屋上
イチモト「あの時の脚本家さん?おはようございます!あいつまだ来てないみたいで・・・」
イチモト「映画の仕事あげるって言うから来たのに・・・」
ヒダリ「何?私は彼に大金が入ったから映画を撮りたいと 私が脚本で彼が監督 その打ち合わせにここへ・・・」
イチモト「そうなんですか? もうあいつと合わないかと思ってました・・・なんで?」
アサムラ「オーナーは○○君に土下座されて自分の引退公演を開いて欲しいと頼まれたって だからお客さんを呼んだって・・・」
ヒダリ「監督やプロデューサーもいる 顔見知りのスタッフだ」
イチモト「あそこの記者っぽいのと ・・・一般人みたいな連中は?」
アサムラ「この投稿みて」
イチモト「新作映画の発表? だけどあいつのために人集まるか?」
ヒダリ「きっと俺みたいに金で釣ったんだろう」
ヒダリ「い、いや!なんでもない・・・」
イチモト「お前はなんて言われて来た?」
アサムラ「私はその・・・あ!」
イチモト「この画像・・・てめぇらもこいつと関係を!?」
イチモト「どういう事だ!」
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これ、シナリオライターだけでなく、誰にでも起きそうな話ですよね…
自分が創りたいものと世間に買ってもらえるものとの乖離とか、一発当てた後に燻ってしまうアーティストとか、よく聞く問題だけれど、このお話はとても切なく胸に迫ってきて好きです。
たしかにアマチュアの間は「俺得」でいいんですが、仕事となるとそれだけではどうにもならなくなってくるんですよね。
出来るだけたくさんの人に共感されるものが好まれます。
しかし、それでも自分を保ち続けた彼はすごいと思います。