無能な聖女様による、生き残りからの生き返らせ生活

猫目 ひとつも

#1 自堕落聖女なので生き返りの魔法は使えません(脚本)

無能な聖女様による、生き残りからの生き返らせ生活

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〇荒廃した市街地
ハロロリア「はぁ・・・はぁ・・・」
スケル「逃がすな!」
スケル「追えっ! 回りこめっ!」
アンデッドボス「うぃぃっ!」
ハロロリア「はぁ・・・はぁ・・・」

〇荒廃した市街地
ハロロリア「はぁ・・・はぁ・・・」
スケル「絶対に探し出して殺せ!  きっちりと全滅させろ!」
スケル「いいなっ!?」
アンデッドボス「うぃぃぃっ!」

〇けもの道
ハロロリア「ここまできたら もう大丈夫だよね」
ハロロリア「回復魔法『ヒール!』」
ハロロリア「いやいや、やめとこう・・・」
ハロロリア「MPが0になっちゃう・・・」
ハロロリア「時間なくって 宝箱に亡骸を詰め込んじゃったけど・・・」
ハロロリア「待っててねみんな すぐに生き返らせてあげるから」
ハロロリア「・・・それにしてもお腹すいたな」

〇綺麗な教会
ハロロリア「だれかーっ! 誰かいませんかーっ!」
司教「おお修道女よ!  こんな夜中によくぞこんな辺鄙な教会へ」
司教「さあさ中へ」
ハロロリア「ありがとうございます!」

〇暖炉のある小屋
司教「それで、どんなご用件かな? ひどく空腹のご様子だが?」
ハロロリア「はいっ! お腹、とてもペコペコですっ!」
司教「ふふふっ ではすぐにでも準備させよう」
ハロロリア「でもっ!」
司教「なにか?」
ハロロリア「食事をいただく前に パーティのみんなを生き返らせたいんですっ!」
司教「食事の後でもいいのでは」
ハロロリア「司教様 私たち、ずっと5人で一緒にやってきたんです」
ハロロリア「だから・・・」
司教「うむ、あいわかった」

〇教会内
司教「宝箱・・・ というか 棺は全部で4つだな?」
ハロロリア「よろしくお願いします!」
司教「まかせておきなさい」
司教「ところで修道女よ」
ハロロリア「はいっ!」
司教「お布施はちゃんと足りるのかな?」
ハロロリア「へっ?」
司教「4人ともなると結構な金額になるぞ」
ハロロリア「えええっ?」
ハロロリア「お金とるんですか?」
司教「もちろん」
ハロロリア「同じ宗派なのに?」
司教「宗派とか、そういうの関係ないから」
ハロロリア「ちょっとケチくさくないです?」
司教「嫌ならやめておくか?」
ハロロリア「誰もそんなこと・・・」
ハロロリア「ちなみにいくらかかるんですか?」
司教「ほれっ 料金表だ」
司教「1人生き返らせるのに 2億エウロだ」
ハロロリア「はあっ??」
ハロロリア「1人2億エウロっ? 酒場のビアが1杯450エウロのご時世に?」
ハロロリア「ちょ、そ、そ、そ、それはいくらなんでも司教様」
ハロロリア「ぼったくり過ぎです」
司教「そうか? なんなら社員割引もあるぞ」
ハロロリア「社員割引?」
司教「4人だと8億エウロのところ ご関係者様特別価格で・・・」
司教「7億エウロ!」
ハロロリア「全然安くなってねーからっ!」
司教「大出血大サービスで 1億エウロも値引きしてるのに・・・」
ハロロリア「司教様」
ハロロリア「私たちは 神に仕える者として」
ハロロリア「慈悲の心を大切にと・・・ それが私たちの宗派だったじゃないですか」
司教「だってー」
司教「オレだってビア飲みたいしー 風俗だって行きたいしー」
ハロロリア(あぁ、残念な司教だ、こいつ)
司教「で、修道女よ」
司教「いくら持ってるんだ?」
ハロロリア「230エウロ・・・」
司教「はいっ?」
ハロロリア「だから230エウロですっ!」
ハロロリア「お金ばらまきながら逃げたら 逃げ切れる確率が上がるかと思って・・・」
司教「うわぁ・・・」
ハロロリア「全額差し出しますので 230エウロでなんとか・・・」
司教「修道女よ」
ハロロリア「はい」
司教「値切り方が下手くそだな」
ハロロリア「聖女なので」
司教「うむ 生き返らせるのはムリだが 230エウロで私がしてやれることがある」
ハロロリア「じゃ、じゃあそれをお願いします!」
司教「うむ、あいわかった」
ハロロリア「で、それはなにを?」
司教「これか? 魂の救済だ」
ハロロリア「魂の救済っ?!」
司教「知らんのか?  他の宗教だと『成仏』と言ったりもするな」
ハロロリア「知っとるわ!」
ハロロリア「そんなことしたら2度と生き返らせられなくなるだろうがっ、ボケッ!」
司教「痛いっ! やめろっ! この罰当たり修道女め!」

〇綺麗な教会
司教「勇者が持っておるこの剣を売れば・・・」
ハロロリア「売りません!」
司教「ならば 魔法使いが持っておる杖を・・・」
ハロロリア「売りませんっ!」
司教「・・・・・・まあよい」
司教「1年間死んだままにするなよ 石化して 2度と生き返らせられなくなるからな」
ハロロリア「・・・」
司教「迷える修道女に神のご加護を」
ハロロリア「うっせーわっ!」

〇けもの道
ハロロリア「まったく 宗教って金に汚すぎる・・・」
ハロロリア「はっ」
スケル「いたか?」
アンデッドボス「いいえ こっちには・・・」
スケル「ならば貴様はあっちを探せ!」
ハロロリア「・・・お腹すいた」

〇怪しげな酒場
酒場の主人「らっしゃい!」
客A「こりゃ! 宝箱じゃねえか! それも4つも」
ハロロリア「触らないで!」
客A「いいじゃねえか 盗ろうってんじゃねえんだから」
ハロロリア「触らないでって言ってるじゃないの!」
客B「まあまあ 固いこと言わずに」
「なっっ! 死体じゃねーか、これっ!」
客B「おいねーちゃん 酒場に死体持ち込むとか どーゆー神経してんだ」
ハロロリア「でも これは私の仲間なんです」
客A「こんなのがあっちゃ せっかくのビアがマズくなっちまうだろーが」
酒場の主人「どれどれ」
酒場の主人「っ!」
酒場の主人「聖女様 申し訳ないんだけど・・・」
ハロロリア「っ! 持ち帰りだ!  持ち帰りなら大丈夫なんでしょ?」
ハロロリア「死にそうなんです お腹が空きすぎて」
酒場の主人「ええ お持ち帰りなら」

〇教会内
司教「生き返らせるのはムリだが 230エウロで私がしてやれることがある」

〇怪しげな酒場
ハロロリア「あの時 全部払っちゃったのか・・・」

〇中世の街並み
ハロロリア「またご飯にありつけなかった・・・」
酒場の主人「待ってください聖女様っ!」
ハロロリア「マスター」
酒場の主人「聖女様 これを」
ハロロリア「いいのですか?」
酒場の主人「ぜひ」
ハロロリア「やだ・・・ マスター。ステキ♥」
酒場の主人「えっ へへへ・・・」
ハロロリア「神のご加護がありますように」

〇美しい草原
ハロロリア「えへへ・・・ おイモおイモっ♪」
  ちらっ
ハロロリア「んっ?」
  ちらちらっ
ハロロリア「どうしたのですか?」
ハロロリア「こっちへいらっしゃい」
ハロロリア「っ!  お前はアンデッド!」
ハロロリア「・・・ お腹、空いてるの?」
アンデッド「ええ・・・」
ハロロリア「おいで 一緒に食べよう」
アンデッド「よいのですか?」
ハロロリア「お腹がすいたら 悲しい気持ちになるのは同じだよね、きっと」
アンデッド「あ、ありがとうございます」
ハロロリア「ふーん」
ハロロリア「アンデッドもこういうの食べるんだー」
アンデッド「大好きです」
ハロロリア「じゃあ、私も いただ・・・」
ハロロリア「あああああっ!」
ハロロリア「全部食べたっ!  一人で全部食べやがった!」
ハロロリア「いくら私が 慈悲深い聖女だからって・・・」
アンデッド「ごめんなさい・・・ とてもお腹、空いていたので」
ハロロリア「だからって」
アンデッド「ごめんなさい 代わりにこれを」
ハロロリア「なにこれ 豆じゃない?」
アンデッド「許してください」
ハロロリア「はっ!  もしかして」
ハロロリア「一粒でお腹いっぱいになるとかいう 伝説の豆だったり・・・」
ハロロリア「いっただっきまーすっ!」

〇空

〇美しい草原
ハロロリア「ちっとも お腹いっぱいにならないじゃない!」
ハロロリア「ひもじい・・・」
ハロロリア「おまけに なんだか眠くなって・・・」
ハロロリア「あいつね あいつがくれたあの豆が・・・」
ハロロリア「あああっ! アンデッドなんかに優しくしなきゃよかった・・・」
スケル「これはこれは 死にぞこないの聖女様」
スケル「そして 死んでしまった残念なお仲間たち」
スケル「まさかまさか こんなところでお会いするとは・・・」
ハロロリア「あんたの差し金でしょ」
スケル「さて何の話かな?」
ハロロリア「豆よ豆 あんたの手下が私によこした豆」
スケル「いや、ガチで知らないのだが」
ハロロリア「そうなの?」
ハロロリア「でもね。いい?」
ハロロリア「私はね すっごく眠くて すっごく腹ペコで すっごく機嫌が悪いの」
ハロロリア「立ち去ったほうがいいかもね」
スケル「私は、そこの残念なお仲間たちを 動けるようにしてやろうとしてここへ来たのだがな」
ハロロリア「うそ ちょっとあんたいいとこあるじゃない」
スケル「アンデッドとして 私の部下にしてやろう」
ハロロリア「バカなの?  そんなの認めるはずないじゃない」
スケル「止めたければご自由に」
ハロロリア「こんのーっ!」
ハロロリア「ぐへっ」
スケル「そういえば聖女様は役立たずでしたね」
ハロロリア「仕方ないでしょ 回復役なんだから」
スケル「じゃあ そこで指でも咥えて見ていなさい」
スケル「ほぉ、これはこれは まだまだコキ使えそうな勇者ですねえ」
ハロロリア「やめろっ!」
スケル「そしてこちらは・・・」
スケル「魔法使いですか 闇の魔法でも習得させましょうかねえ」
ハロロリア「やめろっ!  仲間に触るな!」
ハロロリア「こんのーっ!」
ハロロリア「ぐへっ」
スケル「私にはかないませんよ」
ハロロリア「ぐぬぬ・・・」
ハロロリア「そういえばあんた アンデッドだったわよね」
スケル「ええ あなたには太刀打ちできない 最上級カテゴリーのね」
ハロロリア「ふふふ・・・」
ハロロリア「聖女様を甘く見るんじゃないわよ」
ハロロリア「浄化魔法『トランスヘブン!』」
スケル「ちょっ それ使えるって聞いてないから」
ハロロリア「『トランスヘブン!』 『トランスヘブン!』 『トランスヘブン!』」
スケル「えっっ! えええええーっ!」
ハロロリア「な、なんとか追い払った・・・」
ハロロリア「どこか安全に眠れるところを探さなきゃ・・・」
ハロロリア「それにしても お腹すいた・・・」
アンデッド「・・・・・・」

次のエピソード:#2 自堕落聖女なので、ここはどことか気にしません

コメント

  • たしかに僧侶一人生き残ったら、復活のお金を稼ぐのに困りますよね。
    この聖女さまはちょっとポンコツっぽいので、よけいに大変かと。
    でも、人に愛されるタイプの人ですよね。
    アンデッドにまで好かれてるようですし。笑

  • わかる〜〜!!蘇生、お金かかりますよね〜!レベルが高いと特に!
    聖女ちゃん悲惨・・・はやくお腹いっぱいご飯を食べてほしい・・・

  • 会話もテンポよくて登場人物も個性的で楽しい展開のお話ですね。でも、お腹がすいたままなのはやっぱり切ないですね…。まずはお腹いっぱい食べて欲しいです。

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