始まり-2(脚本)
〇古いアパート
仕事が休みでよかった。
キャリーに自分の荷物を詰めて、家を出た。
そう。俺は追い出されたのだ。
彼女のせいで
凛「良い引っ越し日和ですね!」
真「良い引っ越し日和ですね! じゃないんだよ!」
凛「良い天気ですね」
真「言い方の問題じゃなくて!」
彼女がとてもワクワクしているように見えるのは気のせいだろうか。
凛「どうしますか!」
真「というか凛ちゃん学校は?」
凛「開校記念日です」
真「いやいや! じゃあ一昨日は?」
凛「開校記念日です」
真「試しに聞くけど、昨日は・・・」
凛「開──」
真「開校記念日ね」
多分彼女は学校を休んでいるのだろう。
今更学校行け、だなんて深くは突っ込まない。
凛「それではお部屋探し、しましょ!」
〇事務所
不動産「いやあ、ちょっとねえ・・・」
不動産に来て、賃貸の物件を探そうにも
中々見つからない。
女子高生と二人というのも怪しまれると同時に、凛ちゃんは身分証を持っていない。
さすがにどこへ行っても、渋い顔をされるばかりだった。
〇街中の道路
凛「ま、まぁ。七転び八起きという言葉もありますから・・・」
これで7連敗。
さすがにもう心が持たない。
凛「酒井さん、元気出して!」
凛「野宿のやり方なら任せてください!」
真「それは嫌だ!」
愛莉「あのー」
凛「あら、可愛らしい女の子」
知らない女の子が声をかけてきたが、俺と凛ちゃんとは面識がない子であることは間違いない。
凛ちゃんと目を合わせ、首を傾げる。
愛莉「すみません突然! えっと、その、もしかしてお家とか 探してますか?」
凛「そうなんです! でもなかなか上手く行かなくて・・・」
愛莉「だったら、私が住んでる家に 来ませんか?」
真「それは一体どういう?」
愛莉「お家、住む方募集しているので・・・ よかったらな、って」
凛「酒井さん、いいお話じゃないですか!」
とりあえず俺と凛ちゃんは、彼女──
小鳥遊愛莉(たかなしあいり)ちゃんから
話を聞いた。
そして、試しにその家に行ってみることにした。
何事も百聞は一見に如かずだしな。
〇昔ながらの一軒家
愛莉「こちらです!」
凛「立派な一軒家ですね」
愛莉「はい! 今は私とお母さんとお姉ちゃん二人で住んでます」
凛「あら、女の子がいっぱいなんですね!」
いや、ちょっと待て。
真「ごめん、愛莉ちゃんだっけ? 家族で住んでるの?」
愛莉「はい! 家族ですよー!」
凛「家族・・・・・・」
〇広い玄関(絵画無し)
愛莉「ただいまー!」
凛「お邪魔します」
真「お邪魔します」
舞美「あら、愛莉ちゃんおかえりなさい」
舞美「あら、そちらの方々は?」
愛莉「道で拾ってきましたー!」
扱い雑だな。
舞美「ダメよ。人様にそんなこと言ってしまっては」
愛莉「はーい!」
舞美「申し訳ありません。家の愛莉が何かご迷惑などはかけていないでしょうか?」
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女の子がいっぱいの、いわばギャルゲー的な同居生活、どんなことになるのか気になります。それと「家族になる」とはどういうことか、次話が楽しみです。