始まり-1(脚本)
〇店の事務室
「君、高校生だよね?」
凛「え、18歳です!」
真「ごめん。うちは高校生働けないんだ」
凛「でも募集には18歳以上って・・・」
真(制服着てるし・・・)
真「うちはね、その接待のお店だからさ 高校生はダメなの」
凛「存じております」
真「いやごめん。存じております、じゃなくて 高校生は働けないし、そもそも君制服着てるじゃん」
凛「募集には制服を着ると書いてあったので!」
真「それはお店の衣装的なね。 君のは本物じゃん」
凛「だって現役ですもの」
真「いやいや現役宣言しちゃってるし!」
真(どうするかなぁ)
真「ごめんね、君の事情はわからないけど うちでは雇えない」
凛「ぐすっ」
真(まじか、ここで泣くんか!)
真「ごめん泣かないでくれ。 うちでは働けないけど、何か助けになれたらなるから!」
凛「ありがとうございます!」
真「涙止まるの早いな」
凛「住む家をください!」
真「いやごめん言ってる意味がよくわからん」
凛「今日帰る家がないんです」
真「家出中?」
凛「sorry. I don't know Japanese.」
真「誤魔化し方独特だな!」
凛「わかりました。ご迷惑をかけてごめんなさい・・・」
真「まあ、まだ高校生だし 家出もほどほどにね」
凛「我不会说日语」
真「だから誤魔化し方独特だな!」
〇古いアパート
仕事が終わり、やっと家に帰ってこれた。
今日も疲れた。
のだが、後ろに気配。
凛「すっごい偶然ですね!」
真「な訳あるか!」
凛「たまたまお見かけしたので!」
真「そんなたまたまがあってたまるか」
凛「これからお帰りですか?」
真「なんでそんなストーカーみたいなことしたんだよ」
凛「ど、どこですか? ストーカーなんて怖い!」
真「君しかいないのよね」
真(というか、こんな夜中に制服着ている女の子と一緒だなんて危なすぎる。 色んな意味で!)
真「とりあえず俺ん家入るか こんな時間だし」
凛「ありがとうございます!」
〇古いアパートの一室
とりあえず家に入ると、彼女はキョロキョロと周りを見渡していた。
凛「随分と狭いですね」
真「随分と失礼ですね!」
真「あんまりジロジロ見ないでくれよぉ」
凛「えっと、あなたが優しい人でよかったです!」
どう見ても高校生の彼女を俺は放っておけない。
このまま俺よりもっと危ない大人もいっぱいいる。
真「今日は泊めてあげるけど、もうこういうのやめなよ」
凛「わかってます。自分の身が危ないってことだって。 でも、帰れないんです」
凛「えっと、お名前・・・」
真「俺は真。酒井真(さかいまこと) 君は?」
凛「凛(りん)です。九条(くじょう)凛です」
真「凛ちゃん、君の事情はさ深くは聞かないけど 本当に危ないよ」
凛「無理なんです。どうしても無理なんです。 酒井さん、しばらく泊めてもらえないですか?」
凛「身体でもなんでも、言うことを聞きますので・・・」
彼女はこうやって、色々なところを渡り歩いてきたのだろうか。
自身の身体を傷つけてまで。
真「ごめん、俺はそういうことはできないし 泊めることもできない」
凛「そう、ですよね。 酒井さんはそういう方ではないのに、ごめんなさい」
真「とりあえず今日は寝なよ」
俺は紙切れに自分の電話番号をメモにして彼女に渡す。
真「明日から泊めてはあげられないけど、何か力になれたらなるから。 なんかあったら、電話して」
凛「ありがとうございます。 酒井さんは優しいですね」
優しいんじゃない。
そう言いかけたが、野暮なことだと飲み込んだ。
〇古いアパートの一室
朝目覚めると、彼女の姿はどこにもなかった。
テーブルの上に、一枚のメモ。
酒井さん、昨日はありがとうございました。
色々とご迷惑をかけてごめんなさい。
彼女は家を出たみたいだった。
心配はしたが、関わらない方がいいと頭が警告している。
人に必要以上に関わりすぎると、良いことなんて一つもない。
仕事の準備、しなきゃな。
〇店の事務室
これで、今日の売り上げ計算おしまい。
仕事も終わり、一休憩を入れようとタバコの箱を手にした時、携帯が鳴った。
Telllllllll
「もしもし」
電話の相手は警察からだった。
〇交番の中
真「凛ちゃん!」
凛「あ、お兄ちゃん!」
お、お兄ちゃん?!
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凛ちゃんの素性とか家庭環境が気になりますね。そんな凛ちゃんに巻き込まれた真はどうなってしまうのか、続きを読みたくなります。
凛ちゃんに完全に取り込まれてしまいましたね。彼女に関わらないほうがいいと思いながらも突き放すことができない彼にこれからどんな展開が待っているのか目が離せません。