200年後の約束(脚本)
〇宇宙空間
シッカ「ありがとう・・・ 僕たちの星を救ってくれて」
シッカ「200年後になるけど・・・ 僕は絶対に・・・この恩を返したい!」
太陽(たいよう)「何いってんだよ」
太陽(たいよう)「僕たちは友達だ」
太陽(たいよう)「地球では、友達が困ってるのを助けるのは当たり前なんだ」
シッカ「僕だって君の助けになりたいよ」
太陽(たいよう)「僕はすごい科学者になるから地球は大丈夫だよ」
〇大学の広場
桃香(ももか)「えっえええっ! あの噂の研究者の講演会が来週あるの!?」
沙羅(さら)「ホント、ホント!」
沙羅(さら)「あの研究者って確か今は60歳なんだよね」
沙羅(さら)「でも見た目が若くて20代か30代ぐらいで色々噂があるあの人が講義するみたい!」
桃香(ももか)「私も聞いたことある! 『寿命』の研究を自分で実験してるらしいじゃん」
桃香(ももか)「ウチの大学にいるのは知ってたけど・・・」
桃香(ももか)「本当にいたんだ」
〇大教室
星 太陽(ほし たいよう)「はじめまして 私は星 太陽といいます」
星 太陽(ほし たいよう)「この大学の皆さんは私の噂を聞いているでしょう」
星 太陽(ほし たいよう)「噂では・・・ 私がドラキュラだとか」
星 太陽(ほし たいよう)「怪しい劇薬を飲み続けてるとか・・・」
星 太陽(ほし たいよう)「クローン人間で体を入れ替えてるとか・・・」
星 太陽(ほし たいよう)「残念ながら・・・私は普通の人間です」
星 太陽(ほし たいよう)「但し、皆さんと違う点があります」
星 太陽(ほし たいよう)「私は皆さんと時間の進み方が違います」
星 太陽(ほし たいよう)「私の年齢は60歳ですが肉体的には30歳に相当します」
星 太陽(ほし たいよう)「それをどうして可能にしたのかと言いますと・・・」
星 太陽(ほし たいよう)「私は『1日4時間の活動制限』をして生活しているからです」
〇渋谷のスクランブル交差点
「私はこの研究を『スローアライブ』と名付け・・・」
「被験者は『AP(アライブプレイヤー)』と呼んでいます」
「人間の平均的な睡眠時間は7時間」
「もう少し長く8時間睡眠をとるとしても 起きている活動時間は16時間」
「私は20歳のある日から40年間・・・」
「1日に20時間の睡眠を必ずとり」
「1日24時間ある中で起きてる時間を4時間に制限してます」
「例えばそうだな・・・」
「おもちゃのスイッチをなるべく切って消耗を抑えるのに近いかな」
「APは今の段階では・・・」
「普通の人と比べて4倍も長く人体を保てる計算になります」
「私の肉体が10年老化する間に一般の男性の40年と同じ時間が過ごせることになります」
〇簡素な一人部屋
「でも・・・ただ20時間寝て4時間起きてたら肉体の年齢が保てるわけではないのです」
「安定した上質な睡眠が必要で」
「起きている間は睡眠のための生活をしなければいけない」
「まず『身体を維持するための食事』は欠かせません」
「私は起きた時と睡眠に入る少し前に30分ぐらいでしっかりした食事を摂るようにしています」
「次に『2時間程の運動』です これは続ける努力が難しい・・・」
「でも20時間も寝るには疲れも大切です」
「最後に最も大事なことは・・・」
「それは『眠れる心の管理と環境作り』」
「4時間の内、食事60分と運動2時間・・・」
「残りは1時間しかない」
「この時間で・・・」
「安定した睡眠ができる心のケアと」
「この生活を続けられる環境を維持しなければいけません」
〇大教室
星 太陽(ほし たいよう)「睡眠の質と時間を確保できれば、理論上は誰でも肉体を保ち寿命を延ばすことができます」
星 太陽(ほし たいよう)「しかし・・・ 1日の自由は1時間しかありません」
星 太陽(ほし たいよう)「APが自由に活動できるこの時間はとても貴重です」
星 太陽(ほし たいよう)「だから私はこの1時間を『ケア・アワー』と呼んでいます」
星 太陽(ほし たいよう)「今日の講演会・・・」
星 太陽(ほし たいよう)「私の1日1時間の『ケア・アワー』をフルに使って挑んでおります」
星 太陽(ほし たいよう)「研究を始めて40年・・・ 私が今になって、なぜこのような講演会をやろうとしたのか・・・」
星 太陽(ほし たいよう)「それは私が先の未来で『スローアライブ』を自分の寿命が尽きるまで続けるためです」
星 太陽(ほし たいよう)「それと・・・40年でやっとスローアライブの成果が認められまして」
星 太陽(ほし たいよう)「スローアライブが世界でも実用化できれば人類が新しい人生の可能性を選ぶこともできます」
星 太陽(ほし たいよう)「もしAPになってこの先の未来を100年や200年、300年生きられるとしたら・・・」
星 太陽(ほし たいよう)「君たちはどんな選択を選びますか?」
星 太陽(ほし たいよう)「さて・・・」
星 太陽(ほし たいよう)「少し長かったかな・・・」
星 太陽(ほし たいよう)「皆さん、講演会を聴いてくれてありがとう」
星 太陽(ほし たいよう)「もし私の研究に興味がある人がいたら・・・」
星 太陽(ほし たいよう)「2週間後にスローアライブを体験する応募があります」
星 太陽(ほし たいよう)「良かったら是非参加してみてください」
〇大教室
星 太陽(ほし たいよう)「おっと! もう後10分ですね」
星 太陽(ほし たいよう)「何か質問はあるでしょか?」
沙羅(さら)「ハーイ!」
沙羅(さら)「スローアライブは20時間寝るんですよね?」
沙羅(さら)「逆に身体に害はないんですか?」
星 太陽(ほし たいよう)「大事な質問ですね」
星 太陽(ほし たいよう)「APはまだデータが少ないので副作用等は正直なところまだ分かりませんが・・・」
星 太陽(ほし たいよう)「以前に動物でもスローアライブができるか試したことがあります」
星 太陽(ほし たいよう)「APとなったモルモットは少しだけ寿命が延びましたが・・・」
星 太陽(ほし たいよう)「私を含めた人間のような劇的な変化はありませんでした」
星 太陽(ほし たいよう)「実は私の他にも人間のAPが何名か存在します」
星 太陽(ほし たいよう)「まだ研究段階ですが・・・」
星 太陽(ほし たいよう)「モルモットと人間で違いがあるとすれば」
星 太陽(ほし たいよう)「『ケア・アワー』の違いが重要なのだと捉えています」
星 太陽(ほし たいよう)「無理に寝ようとしてもそれは上質な睡眠にはなりません」
星 太陽(ほし たいよう)「スローアライブが嫌だと感じたら、すぐに中止したほうがいいでしょう」
星 太陽(ほし たいよう)「しかし基本は長く寝ているだけなので」
星 太陽(ほし たいよう)「短い体験だけなら問題ありません」
桃香(ももか)「ハイ!」
桃香(ももか)「星さんはどうして長生きしたいんですか?」
星 太陽(ほし たいよう)「それは・・・」
星 太陽(ほし たいよう)「宇宙人に会うため・・・なんて・・・」
星 太陽(ほし たいよう)「・・・ウケませんね 失礼しました」
星 太陽(ほし たいよう)「未来の地球がどうなっていくか知りたい」
星 太陽(ほし たいよう)「私が長生きしたい理由は凄く単純なんです」
星 太陽(ほし たいよう)「そろそろ時間ですので、このあたりで終わりにしますね」
〇簡素な一人部屋
星 太陽(ほし たいよう)(本当は・・・)
星 太陽(ほし たいよう)(遠い未来に・・・いつかシッカたちが地球に来ても)
星 太陽(ほし たいよう)(笑い合えるような世界で・・・もう一度、会いたいだけなんだ)
星 太陽(ほし たいよう)「正直、会えるか分からないけど・・・」
星 太陽(ほし たいよう)「その時までには、人類が自分たちで地球を守れるように頑張らないとな!」
〇地球
地球観測センター
「すぐに連絡をとれ!大変だ!!」
「地球に『黒い星』が近づいている!!!」
「なんてことだ・・・気づかなかった・・・実体のない・・・『黒い星』だ・・・」
「マズイな・・・このスピードだと200年以内に地球に到達してしまう・・・!!!」
〇大学の広場
桃香(ももか)「ねぇ、ねぇ スローアライブの体験どうしよう?」
沙羅(さら)「私はちょっと怖くて・・・」
沙羅(さら)「興味はあるんだけどな・・・」
沙羅(さら)「桃香は?」
桃香(ももか)「私は、もしできたら・・・」
桃香(ももか)「本当に未来の世界を見れるなら」
桃香(ももか)「この目で見てみたいな〜」
現実の話だと、睡眠中も脳や心臓に血液を循環させ続けなければならないのですが、本作のような”省エネモード”が可能になったら、寿命や生活サイクル、人生設計も大きく変わりそうですね。次話も気になります。
睡眠時間20時間、、、そんなに人は眠れるのでしょうか、、でも何かに対する強い思いがあると、不可能はないとはこのことでしょうか。楽しく読ませて頂きました。
睡眠時間がすごく長いみたいですが、人間ってそんなに眠れるのものなんだなぁと思いました。
人によって違うと思いますが、私も睡眠時間は長い方ですが、14時間くらいが限界です。
先生すごい。