召喚!キューピッド♡(脚本)
――これじゃダメだ。
どうにかしなくちゃ・・・。
「う・・・うん・・・?」
〇殺風景な部屋
ソラ(美しい顔だぁ・・・)
ウェスペル「起きたか」
ソラ「て、天使様・・・?」
ウェスペル「気は確かか?」
ソラ「天使様がいるということは ここはあの世・・・!」
ウェスペル「ダメなようだ」
キューマ「アッハッハッハ。 面白いね、キミ」
〇殺風景な部屋
ソラ「あれ? 制服だ・・・ということは人間?」
キューマ「なるほど同じものを着てても、 ウェスペルの場合は天使で、 俺はひと目で人間と判断されるわけか」
ソラ「ウェスペル・・・」
ソラ「・・・ウェスペル!? ウェスペル様がなぜここに!? っていうかここどこ!?」
キューマ(無視・・・)
ウェスペル「ここは保健室だ」
ウェスペル「覚えてないのか? キミは魔法を暴走させて気を失ったんだ」
ウェスペル「それで倒れたキミを 僕がここまで運んだのさ」
ソラ「そうだったんですか」
ソラ「私はソラ=メイキンスと申します」
ソラ「助けていただきありがとうございました」
ソラ「あのウェスペル様に 助けていただけるなんて光栄です」
ウェスペル「ハァ・・・ まだ意識が朦朧としているらしいな」
キューマ「いや、そうでもないだろ」
キューマ「だいたいの女の子は王子で顔もいい お前に対してこういう反応するし」
ウェスペル「頭はダメそうだが、体調の方はどうだ?」
キューマ(無視・・・)
ソラ「えーっと体調は──」
グー
ソラ「お、お腹が空いちゃいました・・・」
トントンッ
ガラッ
スートリン「ソラ。目が覚めてたんだね」
ソラ「殿下!?」
スートリン「違うよ、ソラ。僕を殿下と呼ばないで」
ソラ「殿下、どうしてここに?」
キューマ(あ、こいつも無視された)
キューマ(てかこいつ・・・いや、この人、 ヘイクラノル王国の王位継承者で、)
キューマ(なんなら第二王子であるうちの ウェスペル様よりも敬われないと いけない人だったよな)
スートリン「殿下と呼ばないでくれ」
ソラ「どうしてここに?」
スートリン「スートリンと呼んで欲しい」
ソラ「スートリン様、どうしてここに?」
キューマ(おぉ! 王子勝利!)
スートリン「うん・・・まぁそれでいいか」
スートリン「ソラの様子を見に来たんだ。あと──」
ガサッゴソッ
スートリン「お腹が空いてるだろうと思って、 パンを買ってきた」
キューマ(タイミング――!!)
キューマ(何この王子、胃袋管理でもしてんの? 気持ち悪ぃ・・・)
スートリン「よかったらそちらの三人もどうぞ。 たくさん買ってきましたから」
キューマ「お。太っ腹っすね。 ゴチになりまーす」
〇殺風景な部屋
ソラ「殿下、ごちそうさまでした」
スートリン「・・・・・・」
ソラ「あ・・・」
ソラ「スートリン様、ごちそうさまでした」
ウェスペル「・・・・・・」
ウェスペル「さて腹も満たされただろうし、 本題に入ろう」
ウェスペル「ソラ、キミは自分に何があったのか 覚えていないのか?」
ソラ「それが全然・・・そもそも、私は いったい何の魔法を使ったんですか?」
ソラ「他に巻き込まれた人は いなかったんでしょうか?」
ウェスペル「あぁ。被害はキミ自身だけだ」
ウェスペル「それと、これがキミが持っていた 魔導書だ。見覚えは?」
ソラ「・・・・・・あぁ!!」
〇綺麗な図書館
一時間前の昼休み。
図書室。
ソラ「召喚魔法、召喚魔法・・・」
ソラ「あ。あれかな・・・」
ソラ「くっ・・・ダメだ。全然届かない あ、あと20センチ・・・」
ソラ「うぅ・・・みんなは魔法で取るから 踏み台はないし・・・どうしよう」
「この本か?」
ソラ「ふぇ?」
ウェスペル「ほら。どうぞ」
ソラ「ウェスペル様!?」
ソラ(い、いけないいけない)
ソラ(相手はワルトナベル国の王子様。 きちんと落ち着いてお礼を言わないと!)
ソラ「私はソラ=メイキンスと申します」
ソラ「助けていただきありがとうございました」
ソラ「あのウェスペル様に 助けていただけるなんて光栄です」
ウェスペル「気にしなくていい」
ウェスペル「困っている者がいたら 助けるのは当然のことさ」
ソラ(うぉぉ、さすがウェスペル様!)
ソラ(この見た目で中身が親切で 人当たりがいいなんて、もはや無敵!)
ウェスペル「ところでその魔導書は 最上位の召喚魔法のようだけど・・・」
ソラ「あ、はい・・・ ちょっと調べたいことがあって・・・」
ソラ(あの”キューピッド召喚魔法”を 使おうとしてるなんて知られたら 止められちゃうかも・・・!)
ソラ「それではウェスペル様、私はこれで。 ありがとうございましたっ」
ウェスペル「・・・・・・」
ウェスペル「あの魔導書の魔法は危険なものが多い。 追ったほうが良さそうだ」
〇殺風景な部屋
ソラ「・・・・・・!」
ウェスペル「口が開けっ放しになっているけれど、 大丈夫?」
ソラ「じ、自分が大丈夫じゃないことに 気付きました・・・」
ソラ(私さっきウェスペル様に 会ったばっかだった!)
ソラ(しかも自己紹介一言一句同じだった!)
ソラ(そりゃウェスペル様も 私の頭を心配するはずだ)
ウェスペル「気付きを得たのは進歩だね」
ウェスペル「何か気にかかることはある?」
ソラ「さっきから気になっていたのですが ――そちらの方はどなたですか?」
ミディ「はぁ?」
ソラ(怖っ!)
ソラ(殿下のパン食べてた時は にこにこしてたから、勇気を出して 聞いてみたらこれだよ)
ミディ「寝ぼけたこと言ってんじゃねぇよ」
ミディ「オレはおまえに召喚された キューピッドのミディ様だ」
ソラ「・・・・・・」
ソラ「・・・・・・え?」
ミディ「おまえが召喚したんだろうが!」
ウェスペル「反動はあったようだけど、 召喚自体は成功していたんだ」
ミディ「こんな小娘がこのミディ様を 召喚できたとは驚きだが・・・」
ミディ「契約は契約だ。 望み通りおまえの恋を叶えてやるよっ」
ミディ「相手の名前を教えろ」
ソラ「・・・・・・」
ソラ「・・・ごめん、忘れちゃった」
ウェスペル「は・・・・・・?」
ミディ「おいおい冗談だろ」
ミディ「長年キューピッドしてきたが、 そんなこと言ったやつはおまえが 初めてだぜ?」
ウェスペル「まずいな」
ウェスペル「召喚したキューピッドは 願いを叶えるまで帰れないし、」
ウェスペル「その間はずっと術者の魔力を 吸い続けることになる」
ソラ「そんな!」
ソラ「わ、私、頑張って思い出します! できるだけ早く!」
ミディ「急がなくて構わねぇよ」
ミディ「この世界の食いもんはうまいしな。 クククッ」
肝心の人の名前を忘れるとは!
キューピッドさんがなんかすごくてインパクトありますね。
乙女ゲーの世界のようで、読んでてうきうきします。
どのキャラもかっこよくて!
ソラちゃんは記憶がどこまで確かなのか、基本どういう性格と知能が備わっているのか、一瞬で魅力をアピールできる女の子ですね! イケメンに囲まれて、今後どんな展開があるのか楽しみです!
ラブコメ好きなので、斬新な設定で思わず引き込まれました。一体誰だったんだろう、、、