ご機嫌斜め!エレナ登場!(脚本)
〇校長室
キューピッドを召喚した次の日。
校長室。
校長「一日に二度もこんなことを 起こされては困る」
校長「退学してもらうしかなくなってしまうよ」
スートリン「退学・・・ですか」
スートリン「それはご自分の仕事を放棄する ということですか?」
スートリン「未熟な魔法使いに、魔法の制御を 教えるのも学校の役割でしょう」
校長「・・・・・・」
校長「とにかく、 キミの顔に免じて許すのも今回限りだよ」
スートリン「・・・・・・」
スートリン「失礼します、校長先生」
ガチャ
校長「まったく。問題児だらけで困ったものだ」
〇城の廊下
同時刻。
校長室近くの廊下。
ウェスペル「ん?」
ウェスペル「あれはスートリン様・・・?」
キューマ「校長室から出てきたな」
ウェスペル「スートリン様が校長室に何の用だろうか?」
キューマ「まさか密談?」
ウェスペル「・・・滅多なことを 言うものではない、キューマ」
キューマ(でも目は探っとけって言ってるんだよなぁ)
ウェスペル「何事もなければそれでいい」
〇おしゃれな教室
昼過ぎ。
ソラの教室。
エレナ「ちょっとソラさん!」
ソラ(うわっ、エレナさんだ)
ソラ(うー・・・エレナさん苦手なんだよね。 なんとなく嫌われてる気がするし)
エレナ「あなた一言くらい謝ったらどうなの?」
ソラ「・・・ごめんなさい?」
エレナ「今、理由が 分からないまま謝ったでしょ!?」
エレナ「ふざけないでよ!」
エレナ「それに!」
エレナ「朝から気になってたけど、 その粗暴な見た目の男はなんなのよ!?」
ソラ「あ、キューピッドのミディっていうの」
エレナ「キュ、キューピッドですって!? 恋を叶えるっていうあの!?」
エレナ「・・・ずるいわよ! 魔法で人の気持ちを変えるなんて!」
ソラ「あ、いや・・・キューピッドは」
ミディ「――キューピッドは そんな便利な能力じゃねぇよ」
エレナ「え?」
ミディ「あくまでも縁を結ぶための 手伝いをするだけ」
ミディ「お互いを知らないまま終わっちまう 関係に知り合うチャンスを」
ミディ「どれだけ相手のことが好きなのかを 上手く伝えられねぇって場合には 直接相手の脳内に想いをぶち込む」
ミディ「術者の魔力に応じてできることは 変わってくるが、それでも限界はある」
ミディ「おまえ魔法学校の生徒なのに そんなことも知らねぇのか」
ミディ「勉強不足なんじゃねぇの」
ソラ「ミディ!」
ソラ(エレナさんプライド高いから、 そんなこと言ったら何をするか・・・)
エレナ「・・・そんなのは些末なこと!」
ソラ(よかった。 流す方を選んでくれた)
エレナ「問題はなんでキューピッドが ずっといるのかってところよ」
エレナ「キューピッドなんて召喚したら とっとと縁を結んでもらって いなくなるのが普通でしょ!」
エレナ「なんで朝からずっといるのよ!」
ソラ「それが・・・誰を好きだったのか 忘れちゃって、」
ソラ「願いをかなえてもらうにもらえない 状況になってて」
エレナ「・・・・・・」
エレナ「あ、呆れた。 そんなことある?」
エレナ「キューピッド召喚しておいて、 誰との恋を叶えてもらいたかったか 覚えてないなんてことある?」
エレナ「バッカじゃないの!?」
ミディ「それには同感だ。バカなやつだ。 ダッハッハッハッハ」
エレナ「だったら中庭のカエルとでも 適当に縁を結んでもらえばいいじゃない」
ソラ「ひいっ! カエル嫌い、カエル嫌い」
ミディ「馬鹿言っちゃいけねぇな、小娘」
ミディ「オレはカエルとだって縁を結べるが、 それにはきちんと術者の想いが必要だ」
ミディ「じっくり観察し一匹一匹見分けて、 どの個体が好きか選べるか?」
ソラ「む、りー!!」
ミディ「つーわけで、 オレもむ、りー!! なわけだ」
スートリン「盛り上がってるね」
エレナ「スートリン様!」
スートリン「誰でもいいのであれば、とりあえず 僕を指名してみるのはどうかな?」
ソラ「殿下を!?」
ソラ「む、無理です! 恐れ多すぎます!」
ソラ「ど、どうするんですか、万が一にも キューピッドの力で婚約ということに でもなったら」
ソラ「引き返せませんよ!?」
ソラ「殿下はもっとご自分の立場を 考えてください!」
スートリン「・・・・・・」
ソラ「殿下?」
ソラ「・・・あ、いえ、スートリン様!」
ソラ(スートリン様、 殿下って呼ばれるの拒否するんだよね)
スートリン「・・・違う。いや、それでいいんだけど ・・・今はそういうことじゃない」
ミディ「術者がおまえだったら話は シンプルだったんだろうな」
スートリン「・・・そうかもしれないね」
スートリン(とはいえ、 きっと僕の魔力量ではキューピッドを 召喚するのは不可能だから、)
スートリン(実質この問題はソラでしか起こりえない)
スートリン「・・・僕が言いたいのは、困ったときは 僕を思い出してくれってことだよ」
ソラ「・・・スートリン様!」
ソラ「なんてお優しい! さすが我が国の 次期国王様。懐の深さが青天井」
ミディ(こりゃ、伝わってねぇな)
スートリン「・・・ところでソラ、おなか空いてない? 屋上でランチにしよう」
ソラ「は、はい!」
ミディ(餌付け作戦・・・?)
スートリン「ミディ。キミも来るだろ」
ミディ「話が分かるな。王子様」
「・・・・・・」
エレナ「腹立たしい・・・絶対に追い出してやる」