廻香記 〜白栴咲話〜

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第九話 新たな誓い(脚本)

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〇大樹の下
九魔羅「空聖ッ──────!!!!!!!!」
  九魔羅は、掌に自身に残る邪の気を集中させ──
  
  空聖にその掌を押し当てた!
空聖「ぐっ・・・!?」
九魔羅「我、独りが人間になるなどっ!! 許せぬっっ!! 道連れにしてやるっ!!」
  九魔羅の渾身の邪の気を押し当てられた空聖の体で、聖の気と邪の気が明滅する。
空聖「グワァァッッ──!!!!!!」
  空聖が苦しみの咆哮を上げると──
  空気が弾け、空聖はその場に倒れた。
白栴「く、空聖さんッ!!!!」
「空聖──!!!!」
空聖「・・・」
白栴「ヤダ・・・!! 空聖さん!! 空聖さん!! 起きて──!!」
  ガクガクと空聖を揺さぶる白栴。
  すると──
  白栴の腕の痣が光出し・・・
  空聖を包み込むと・・・
  
  空聖の瞳が開き、その瞳に白栴を映す。
空聖「・・・勝手に人を殺すんじゃねーよ・・・」
白栴「空聖さんッ!!!!!!」
九魔羅「チッ! 生きてたか!」
九魔羅「・・・だが、その様子だと・・・ 力は失ったようだな!」
空聖「九魔羅!! よくもやってくれたな!!」
九魔羅「はっ! 力を失くして、ただの人になったお前など! 我の敵ではないわっ!」
空聖「そのセリフ、そっくりそのまま 返してやるぜ!」
白栴「と、止めた方がいいのかな・・・?」
蓬戒「ほっといていいんじゃない? ってか、九魔羅も空聖も・・・本当に・・・ 人になっちゃったのかな?」
天玉「九魔羅からは・・・ 邪気は感じ取れない・・・。 空聖は・・・」
簾浄「・・・微かだが・・・ まだ身の内に妖力を感じるぞ・・・!」
白栴「本当!?」
天玉「空聖ほどの妖力の強い者は、そうそう いないからな・・・。 九魔羅の攻撃で一時的に妖力が なくなったのかもな・・・」
白栴「な、ならば!!」
蓬戒「は、白栴ちゃん!?」
  白栴は、殴り合う九魔羅と空聖に向かって走り出した!
白栴「空聖さんッ!! 受け取って──!!!!!!」
空聖「!?」
  空聖の背中に白栴は聖なる気を叩き込んだ!
  
  すると──
空聖「!!!!!!!!」
九魔羅「なっ!? 元に戻った・・・だと・・・!?」
空聖「白栴!! でかした!!」
空聖「九魔羅・・・!! 歯ァ、食い縛れ!!」
  空聖の一撃が、九魔羅を吹っ飛ばし・・・
  九魔羅は気絶した。
空聖「っしゃ──!! 終わったぜー♪」
白栴「空聖さん!」
空聖「おぅ!白栴!! ありがとなっ! 助かったぜ!!」
  ぐりぐりと、空聖は近付いて来た白栴の頭を撫でた。
白栴「へへ・・・。 無事で良かった!!」
  そこへ、わらわらと仲間たちが集まって来る。
「空聖!!」
空聖「おぅ! とりあえず、これで九魔羅も大人しくなるだろー?」
空聖「宝樹の樹とジイさんは・・・」
白栴の爺様「ふぉっ!ふぉっ! おかげさまで無事じゃよ」
空聖「じゃあ、ひとまず家に帰ろうぜ!」

〇古いアパートの居間
白栴の爺様「皆、疲れたじゃろ? ゆっくり休むがよい」
蓬戒「ほんっと疲れたよ・・・!! で? 何で九魔羅まで連れ帰って来ちゃったの!?」
白栴「いや、だって・・・ あのまま置き去りには出来ないし・・・」
白栴「目が覚めたら 麓の村人を怖がらせていた分と 今までの分 きっちり反省してもらいます!」
簾浄「村人と言えば・・・ 先程はすごかったな?」
天玉「ああ。 あんなに食料を分けてもらってよかったのだろうか?」
白栴の爺様「皆、殭者の存在に怯えておったからのぅ。 その殭者を倒したお前さん達は英雄じゃ。 村人の気持ち、受け取ってやっておくれ」
白栴の爺様「ほれ、白栴にも茶菓子をもらったぞ。 そんな隅に居ないで、受け取りなさい」
白栴「えっ!? 私にも!?」
白栴の爺様「今まで、その痣が・・・ 気味が悪くて遠巻きにして悪かった・・・と。 謝っていたぞ?」
白栴「・・・」
空聖「良かったじゃねーか!! もらっとけ!もらっとけ!」
白栴「・・・うん。 ──って・・・あれ?」
  白栴が、腕の痣を見ると──
白栴「なんか・・・痣・・・ 薄くなって・・・る?」
白栴の爺様「んん? どれどれ・・・? ほぅ。 確かに薄くなっているようだの・・・」
空聖「ま、あんだけ力を使ったんだ! 薄くなってもしょーがねーさ!」
白栴(このまま消えちゃうのかな・・・? だったら、ちょっと寂しいな・・・)
空聖「んん? 白栴、なんて顔してんだ? 痣、失くなった方が嬉しいんじゃねーのか?」
白栴「空聖さん! 心を読まないで!!」
白栴の爺様「確かに・・・お前さんにとって・・・ その痣は 不便なものじゃ。 失くなった方が良いのではないか?」
白栴「・・・前まではね・・・ 失くなった方がいいって思ってたの」
白栴「でも、この痣のおかげで・・・ こうして 皆と出逢えたし!」
白栴「この痣がなかったら 私、皆の役に立ってなかったし・・・ この痣が失くなったら・・・」
白栴「やっと出逢えた皆との ”絆”までも消えちゃいそうで・・・。 今は、皆とお揃いのこの”蓮の花紋”が 誇りなの!!」
天玉「功徳様ッ!!」
空聖「へへッ! なんか、嬉しーな♪」
空聖「じゃあさ! また、”約束”しようぜ!」
白栴「”約束”?」
空聖「ああ。 前は、白檀との約束だったが・・・ 今回は”白栴との約束”だ♪」
空聖「たとえ、蓮の花紋が消えても・・・ オレ達はずっと仲間だ! この先、白栴が困っていたら必ず助ける!」
「ああ。 この花紋に誓おう!」
白栴「皆・・・!」
白栴「ありがとう!!」
九魔羅「その誓い・・・ 我も加わって良いか?」
空聖「九魔羅・・・ 良い所に水を差すなよ・・・」
九魔羅「今まで・・・その・・・悪かった・・・。 もう我には邪の力はない・・・」
九魔羅「だから・・・ 残りの余生は・・・ 白栴と共に生きたい・・・!!」
白栴「・・・えーと・・・ 何? 告白!?」

次のエピソード:第十話 甘露水のおまじない

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