半ズマンは歩いていた

美神輝希

半ズマンは退屈していた(脚本)

半ズマンは歩いていた

美神輝希

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〇けもの道
  半ズマンは歩いていた。
半ズマン(輝希)「今日も平和かな・・・ あーあ、つまんないなあ。」

〇けもの道
  それを陰で見ている怪しい二人組がいた。
オニジャ「あれがこの星を守っているヒーローか!?」
口無し女「正確に言うと検索しても出て来ないような、下の下の下のヒーローの一人だがな。」
口無し女「ん!?なんだ緑色の顔を赤くして?」
オニジャ「いや・・・本当に可愛い・・・じゃなくて弱そうだな・・・あれでヒーロー務まるのか?」
口無し女「なんだ惚れたのか? まあそれはお前の自由だが。 念のためいっとく。アイツは男だぞ。」
オニジャ「う、嘘だろ!? どこに男の要素があるんだ?」
口無し女「この性別判定プログラムで解析した結果。」
口無し女「見た目は女子。だが身体は男だからトイレも男子用。戸籍上も男だ。恋愛対象も女子。性自認は本人も揺れ動いてるらしい。」
オニジャ「なんだ性自認って?」
口無し女「自分がどっちの性だと思ってるかだ。見た目が女子だから心も女子かと思えば、そうでも無いらしい。」
口無し女「そして本名は輝希だ。この星では一般的に男の名前だ。そしてヒーロー名の『半ズマン』というのも男だろう?」
オニジャ「なんか複雑だな・・・ 俺はどうすれば良いんだ・・・」
口無し女「あーん。どうすればって、奴を倒すんだろう?それともデートに誘うか?」
オニジャ「い、いや、そういう意味じゃなくてだな。あんなか弱そうな奴倒しても、余り意味が無いんじゃないかと・・・」

〇けもの道
半ズマン(輝希)「どっかに可愛い僕に倒される、醜い悪者いないのかなあ。」
半ズマン(輝希)「僕のキュートさがめっちゃ引き立つグロテスクな奴、出てきてよお!」
半ズマン(輝希)「そういう奴を倒してバズらないと、僕はいつまで経っても検索で出て来ないよお。」

〇けもの道
オニジャ「なんかあいつ、性格悪そうだな・・・」
オニジャ「しかもバズるためにヒーローやってんのか?正義の為とかじゃなくて・・・」
口無し女「なんだ?がっかりしたのか?」
オニジャ「い、いや・・・ ただ感想を言っただけだ。」

〇けもの道
半ズマン(輝希)「あっ・・・」
半ズマン(輝希)「エッ!?植物・・・めっちゃびっくりしたあ・・・」
半ズマン(輝希)「なんかが僕の太ももに触れたから、敵が不意打ちしたのかと思っちゃった。エヘヘ。」
半ズマン(輝希)「この太ももに付けてる金のリング。これが僕の弱点なんだ。これを取られると僕はやられちゃう。」

〇けもの道
オニジャ「お、おい・・・ アイツ、なんで自分の弱点を大声で喋ってんだ?」
オニジャ「しかも恥ずかしそうに・・・」
オニジャ「弱点なら隠しとけば良いじゃないか!?なんでわざわざ半ズボン履いて丸見えにしてるんだ?」
口無し女「名前が半ズマンだからだろう。」
オニジャ「はあ?」
口無し女「例えば『ピンクマン』とか言って、身体の色が『マゼンタ』だったら看板に偽りありだ。ヒーローとして駄目じゃないか。」
オニジャ「うーん、良く分からんが・・・」
口無し女「もし奴が『長ズマン』に改名して長ズボン履いたらどうする?」
オニジャ「それは困る!!」
口無し女「本音が出たな。奴の半ズボン姿がそんなに嬉しいか?」
オニジャ「い、いや、だから・・・ 長ズボン履いたら弱点隠れるだろう!!」
口無し女「まあ、そういうことにしといてやる。ククク。」

〇けもの道
半ズマン(輝希)「あーあ。めっちゃ疲れたなあ・・・」
半ズマン(輝希)「お腹すいたなあ・・・」
半ズマン(輝希)「牛スジか馬刺しかハツかシャトーブリアンでも食べたいよ。」

〇けもの道
オニジャ「ところでアイツ、なんでさっきから同じ場所を行ったり来たりしてるだけなんだ?」
口無し女「ここが奴の管轄だからな。」
オニジャ「はい?」
口無し女「この第三惑星は太古の昔から侵略者に狙われまくりだ。だからヒーローもたくさんいる。」
口無し女「今やコンビニや歯医者よりヒーローの方が多いくらいだ。だからああいう下っ端はここの半径100mしか守らせて貰えない。」
オニジャ「オイオイ。そんな奴倒しても侵略者としてハクはつかんだろ!?」
口無し女「フッ。案ずるな。どんな奴だろうと第三惑星のヒーローを倒せば我々のランクは上がる。」
オニジャ「そういうもんか!?」
口無し女「ではこれを奴に投げる。」
オニジャ「そんな拾った石でどうするんだ?」
口無し女「奴の戦闘能力は不明だ。まずはこれで様子を見る。避け方を見れば大体解析出来るからな。」
オニジャ「なるほど。よし俺が投げよう。」
オニジャ「エイッ!」
口無し女「あー、そんな優しく投げて… あんなんじゃ子供でも避けられる。 駄目だなコイツ…」

〇けもの道
半ズマン(輝希)「うわあっ!・・・あぁ!!」
  不意を突かれた半ズマン。敵の投げた小石は半ズマンのお腹を直撃した!
半ズマン(輝希)「あっ・・・あっ・・・」
半ズマン(輝希)「ふうん・・・」
半ズマン(輝希)「すうっー」

〇けもの道
オニジャ「お、おい。失神してるぞ!?」
オニジャ「弱っ!!」
オニジャ「お、おい!?そんな物騒なもんどうするんだ?」
口無し女「何寝ぼけたことを。とどめを刺すに決まってるだろ!?」
オニジャ「ま、待て!ここは慎重に、まずは弱点のリングを外してだな・・・」
口無し女「失神してるんだ。必要ない。 ・・・それとも触りたいのか?」
オニジャ「ふ、ふざけるな!俺は・・・俺は・・・別にコイツの寝顔が可愛いなんて思ってないからな!!」
口無し女「フン。図星か。引っ込んでろ!!」
オニジャ「あー。頭来た!お前を先にぶちのめす!」
口無し女「やれるもんなら、やってみろよ!」

〇けもの道
半ズマン(輝希)「ん・・・ううん・・・」
半ズマン(輝希)「あれ?僕どうしてたんだろう!?」
半ズマン(輝希)「何この化け物!?キモッ。死んでるし・・・」
半ズマン(輝希)「あっ、思い出した。僕お腹になんか当たって、意識が遠くなって・・・」
半ズマン(輝希)「コイツらの仕業か!?」
半ズマン(輝希)「でも僕の余りの可愛さに、僕の奪い合いになったんだ。それでコイツら同士討ちしたんだな。アハッ!!」
半ズマン(輝希)「今日も僕のお陰で平和は守られた。やっぱ可愛いは正義だなあ。さっ、帰ろっと。」
  こうして半ズマンの活躍でこの半径100mの平和は守られた。ありがとう、半ズマン。
  しかし、新たな危機が迫っていることに、誰も気が付かなかったのだ…
あお味「フフフ。半ズマンよ。可愛さなら、僕の方が上だ。お前はしょせん二番目だ。」

次のエピソード:半ズマンは自粛していた

コメント

  • コミカルなやりとりが楽しいです!
    半ズマンだけでなく、オニジャや口無し女の個性も立っているので、どのシーンの会話面白かったです。
    長さも程よく、良い意味で肩肘張らずに読めるので、続けていくつもエピソードを読みたいと思いました。
    あお味との絡みも気になります、続き期待しています!

  • タイトルやあらすじ、キャラ紹介からぶっとんでいて、どんな作品なのか楽しみに読めました。実際の物語も、異星人だったりヒーローの設定だったりぶっとんでいましたが、キャラクターの会話も面白く、笑えました。特撮風の設定を、コメディにした感じの世界観づくりもとても面白いです!

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