この初恋に命を捧ぐ

彩京みゆき

#4. ヴァンパイアと狂犬病(脚本)

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〇古い競技場
国民「磔(はりつけ)されている あいつが魔女か・・・」
国民「かわいい顔して 恐ろしいやつだ」
父「おお、サラ、 何という事だ!? きっとあいつらに騙されたのだな!!」
母「サラが魔女だなんて事 あり得ませんわ」
サラ「お父様 お母様!!」
サラ「騙されてなどいません。 真実は必ず明らかになります」
  競技場の上階から
  国王が現れる
国王「静粛に」
国王「我が国では今 周知の通りヴァンパイア騒動に揺れている」
国王「国民が今となっては疑心暗鬼になり 隣人にまでビクビクしながら 暮らしている現状にある」
国王「残念ながら ヴァンパイアと魔女と人間の違いは わたくし達には判別が出来ない」
国王「そこで・・・」
国王「このヴァンパイア病に感染した狼に 天の采配を任せる事にする」
国民「ヴァンパイア病だって!?」
国民「感染したら動物も人も 日の光を恐れ凶暴化してヴァンパイア化するという病気」
国民「街で流行し始めた厄介な病気だな ヴァンパイアに噛まれると感染するという噂の」
国民「単なる噂だろう!?」
国民「まさかこの狼に 娘を襲わせるというのか!?」
母「まあ!! 何という!?」
国王「案ずる事は無い」
国王「いざとなったら この銃で狼を処分すればいいもの」
ニコラ「お待ちください 叔父上殿!!」
国王「何だ ニコラではないか」
ニコラ「いささかその案は 性急過ぎるのではないでしょうか?」
ニコラ「何よりサラは わたくしの大事な婚約者ですゆえ・・・」
国王「それは 公私混同では無いのか!? 大事な婚約者なら 首に縄を付けてでも大事に閉じ込めておけばよいものを」
ニコラ「そんなっ・・・!?」
ニコラ(どうしてこんな事に!?)

〇空
ルカ「お待ちください」

〇古い競技場
ルカ「その狼はヴァンパイアになど 感染しておりません」
国民「まさかあの二人が・・・」
国民「噂のヴァンパイアなのか!?」
ルカ「我が故郷の名医 ジョバンニ・ガンシーが それはヴァンパイアとは全く関係のない疫病だと研究中です」
国民「そんなの 根拠あるのかよ」
ルカ「いいのか? 噛まれて感染、発症すれば、致死率はほぼ100パーセントだが・・・」
国民「なんだって!?」
国民「感染源はコウモリだって言うじゃないか!? お前たちが操っている仲間じゃないのか!?」
ルカ「この狼はもはや自分の意志など無い 病気に犯されて凶暴化しているだけだ」
国民「嘘つけ」
国民「騙されないぞっ!!」
国王「くだらない戯言を そのデマがヴァンパイアという証拠なのでは?」
ルカ「そんな無茶苦茶な・・・」
国王「さあ狼よ」
国王「今こそ 解き放とう!!」
国王「お前たちがヴァンパイアなら この娘を助けられるのであろう?」
ルカ「サラっ!!」
サラ「ルカ!! 来てはいけないわ!!」
  ルカはサラの元に走り寄り
  彼女を抱きしめるように庇う
  制御を失ったように
  走り迫る狼
ルカ「さあ、 いい子だ」
  狼が一瞬立ち止まる
  銃声が鳴り響く
アンジェロ「護身用だ。 誰も助けてはくれぬようだからな」
アンジェロ「かわいそうだが この病は治ることが無いだろう」
アンジェロ「俺達の話が信用出来ないなら、 あなた達がこの狼を食って感染するかどうか 証明してみるがいい」
国民「ひーっ!!」
国民「そんなの出来るかっ!!」
  横たわる狼
ルカ「サラ、 もう大丈夫だ・・・」
  ルカがサラの縄を解く
国民「なあさっき あの男の目が赤く光ったよな!?」
国民「ああ 見たぞ!!」
国民「ヴァンパイアだっ!!」
ルカ(ああ)
ルカ(さすがに これまでだな・・・)
サラ「待ってください!!」
サラ「彼らは異国の地からいらしたのです 私たちの知らない人々が暮らす街です」
サラ「この国の人たちは 光の加減によって目が赤く見えるのです・・・」
国民「まさか」
国民「そんなのデタラメだ!!」
サラ「嘘ではありません!!」
サラ「それに今目に見えたものを 思い出してみてください」
サラ「国王様は何をなさいましたか!? 私たちを病の狼に襲わせた・・・」
サラ「彼らは 身を呈して私を助けてくださいました」
国民「仲間だからだろう!?」
国民「そうだそうだ!!」
サラ「私たち国民は 仲間ではないのですか!?」
サラ「私たちがヴァンパイアや魔女だという証拠がどこにあるのですか!?」
サラ「今までだってそうやって 罪無き人々が 魔女裁判にかけられ酷い目に遭って来たのではないですか!?」
ニコラ「通報したのは 私だ!!」
ニコラ「何かの勘違いだったようです!! 確かに証拠などありません」
ニコラ「叔父上、 わたくしの勘違いで騒動を起こしてしまい 申し訳ありませんでした」
国王「何だと!?」
国王「とんだ人騒がせだな、ニコラ まあよい」
国王「ただし、 旅の者二人は」
国王「国外追放とする・・・!!」
サラ「えええ!?」

〇空
アンジェロ「まあ仕方あるまい」

〇中世の街並み
ルカ「立派な馬車と当面の食糧もたっぷりと頂いたことだし・・・」
アンジェロ「まあ、 これでとっとと出て行けって事だろうけどな・・・」
ルカ「・・・」
ルカ「サラ・・・」
ルカ「これで本当にお別れだ・・・」
ルカ「助けてくれてありがとう」
ルカ「でも、さっきみたいな無茶は もう絶対にやめてほしい・・・」
サラ「ごめんなさい・・・ そうね、ルカとアンジェロがいなかったら、私どうなってたか・・・」
サラ「助けてくれてありがとう・・・」
ルカ「君には、 自分を大事にして欲しいんだ・・・」
サラ「分かったわ、 あなた達もね・・・」
ルカ「君の言葉が、人々を動かした。 君には、そんな力があるよ」
ルカ「さよなら、 サラ・・・」
サラ「ルカ・・・」
サラ「ぜったい、 またどこかで会えるわ・・・」
  馬車に乗り込むルカとアンジェロ。
  
  手を振るサラ
ルカ(ごめんな、サラ・・・)
ルカ(君が思うよりもずっと、 この世界は複雑なんだよ・・・)

〇空
「ちょっとそこの馬車、 待ちなさい!!」

〇中世の街並み
ジョバンニ「やっと見つけたぞ、 ヴァンパイア兄弟!!」
ルカ「あなたはっ!!」
ルカ「ジョバンニ・ガンシー!!」
サラ「あら、名医と名高いという あのお方?」
ジョバンニ「ははは、 お嬢さんありがとう」
ジョバンニ「久しぶりだな、探していたよ。 アンジェロ、ルカ」
ジョバンニ「私から逃げられるなんて思うなよ!!」
ルカ(こいつは、 とんでもなく名医だが・・・)
ルカ(とんでもなく、 ヤバいやつだ・・・っ!!)

次のエピソード:#5. 名医ジョバンニと復讐と

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