〇学校の廊下
「石塚さーん!!」
石塚ゆら「ん？」
クラスメイト「聞いたよー！インターハイ出場なんだって？」
石塚ゆら「あ、うん・・・」
クラスメイト「すごいよね、まだ１年なのに」
石塚ゆら「アハハ、いやいや」
クラスメイト「てか、石塚さんが山岳部なのも初めて知ったよ～」
クラスメイト「確かに！石塚さん、ちょっと謎っていうか・・・」
石塚ゆら「謎？」
クラスメイト「だって４月中に、クラス中の男子に告りまくってたじゃん!!」
石塚ゆら「それは忘れて～!!黒歴史だから!!!!」
クラスメイト「黒歴史てwww」
クラスメイト「でも話してみたらフツーでよかった!!」
クラスメイト「ねえねえ、山岳部って普段何やってるの？」
石塚ゆら「えっとね、石をリュックに詰めてね・・・」
石塚ゆら（あ、今フツーに女子と話せてる・・・）
石塚ゆら（こういうの嬉しいな・・・）

〇学校の部室
黒木「はーーー・・・」
石塚ゆら「あれ。なにしてんの、女子の部室で」
黒木「・・・お前に負けるなんてなあ・・・」
石塚ゆら「オホホ、悔しかろう!!」
石塚ゆら「って、別にあたしに負けたわけじゃないでしょ。 男子チームは10校中で２位なんだから十分すごいじゃん？」
黒木「そのあと一歩ってところがさあ・・・」
石塚ゆら「あーインターハイ楽しみだな～めっちゃ青春てかんじ～」
黒木「チキショー!!」
黒木「部長や矢間先生にしごかれて泣いても知らねーからな!!!!」
石塚ゆら「・・・矢間先生・・・」
石塚ゆら「矢間先生な～～～～」

〇山の中
　　時はさかのぼって──
　　県大会２日目 閉会式
「えー、県大会女子の部、優勝校は・・・」
「南高校!!おめでとう!!」
石塚ゆら「やっ・・・やったーーー!!!!」
部長「やったわね!!!!!!」
副部長「ま、実力ですな～」
石塚ゆら「ハッ!!死にかけたりして忘れそうになってたけど・・・」
石塚ゆら「矢間先生のところに行ってきます!!!!!!」
石塚ゆら「先生ーーー!!」
矢間「おう」
矢間「やったな」
石塚ゆら「軽っ!!」
石塚ゆら「『ご褒美』!! お願いしゃーーす!!!!」
矢間「・・・」
石塚ゆら「ほめてほめてほめて!!!!」
矢間「・・・さ、さっき褒めただろ」

〇山間の集落
矢間「よく頑張った!!!!!!」

〇山の中
石塚ゆら「ち・・・ちがーう!! あれはあれで嬉しかったですけど～～～」
矢間「・・・しかたないな・・・」
石塚ゆら（来い!!頭ポンポン・・・!!!!）
　　スッ・・・
　　ギュッ
石塚ゆら「・・・」
石塚ゆら（あ・・・握手・・・!!!?）
矢間「・・・優勝おめでとう」
矢間「最初はとんでもない馬鹿が入ってきたと思ってし、今もついていけない部分はあるが・・・」
矢間「お前が山岳部に来てくれてよかったと思ってるよ」
石塚ゆら「・・・!!!!!!」
　　パッ
矢間「はい、ご褒美おわり」
石塚ゆら「あ・・・ありがとうございます」

〇学校の部室
石塚ゆら「クソかっこよかったし嬉しかった・・・でも握手じゃないんだよ～～～!!!!」
黒木「な、なんか知らんが頑張れよ・・・」
石塚ゆら「っしゃーー!!優勝するぞインターハイ!!!!」
黒木「いやいきなりインターハイ優勝は、相当きついぞ」
石塚ゆら「そうなの？ なんか県大会優勝できちゃったからこの勢いでいけるかなって・・・」
黒木「県大会での女子チーム自己採点は、80点台だっけ？」
石塚ゆら「うん・・・気象テストでたぶんミスったのと、テントがちょっとたるんでて減点されたのが大きかったかなって」
黒木「インターハイの上位校は、ほぼ満点らしいからな」
石塚ゆら「ま、満点・・・!!!?」
黒木「来週の強化山行は、女子チームのインターハイ対策も兼ねてるみたいだぞ」
黒木「男子チームも合同で登るからな!!頑張ろうな!!」
石塚ゆら「え～～嫌すぎる・・・男子臭そう・・・」
黒木「思っても言うなよ・・・」

〇学校の廊下
石塚ゆら「・・・楽しいな、学校」
石塚ゆら「最初はいろいろ無理してたけど（15人連続告白とか）」
石塚ゆら「今、すごく楽しい・・・」
　　『あんたなんかどこ行っても変わんないよ』
　　『役立たず』
石塚ゆら（最近はもうあんまり思い出さなくなってきたし・・・）
「あれ？ゆら？」
石塚ゆら「・・・!!」
サヤカ「え、ウケる」
サヤカ「南高だったんだ？」
石塚ゆら「サヤカ・・・!?」
石塚ゆら「なんでここに・・・」
サヤカ「うちの高校と南高の水泳部の合同練習だよ」
サヤカ「・・・エリとかマキも来てるよ？」
サヤカ「もうすぐ着替えてここ来るから、 逃げたほうがいいんじゃない？」
サヤカ「中学のときみたいにさ」
石塚ゆら「!!」
石塚ゆら「・・・!!」
サヤカ「ふん・・・ぜんぜん変わってないじゃん」
サヤカ「あんたなんかどこ行っても変わんないんだよ」